2018年7月29日日曜日

重箱の隅

水草のファームと呼ばれるものが海外にはいくつも
あります。
それらを相対的に見た時に、それぞれ役割なり
立ち位置みたいなものがあって、例えば高品質で
最先端の水草を提供する、または比較的安価で
多くの種類を供給する、などでしょうか。

こちら側からすると、それぞれの立ち位置を
勝手に想像していて、出来ればそのように
行動して頂きたいのですが、なぜかは不明ですが
謎のこだわりみたいなものがあります。

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トロピカはレッドシャープリーフをランセアであろうから
南米産ではなくアジア産とか言ってますが、あの時期に
アラグアイア産の水草が多数入荷してましたし、あの中に
1種だけ日本産が入っているのも変な話です。
しかもトロピカはランセアっぽいと言うだけで
ランセアと断言して販売しているわけではない(販売名に
Hygrophila lanceaとは記載していない)のに
アジア産にしているのは不思議ですね。
すでに海外のインターネットでは殆どがシャープリーフを
Hygrophila lanceaとして紹介しています。
仮に、学術的にシャープリーフがランセアだったと
しても、新たな分布域が見つかった、ではなく
南米産は誤りだ、と言うのはどうなのでしょうか。

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古い話になりますが、ロタラ ナンセアンと言う
ロタラがありますが、当初トロピカはこれを
「マヤカ sp.」として販売していました。
少し水草をやった人間からするとマヤカと
ロタラは間違えることは無いと思うのですが、
生産しているにもかかわらずなぜかマヤカ扱い
だったんですね。
これは後に訂正しています。

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当店でも栽培していますが、デナリーの
エキノドルスに「エキノドルス sp. E136
と言うのがあります。
E136と言うのはデナリーの水草コードで
E=Echinodorusで、136が番号です。
クリプトならC~、アヌビアスならA~となります。

このE136は「sp.」となっているので、つまり
種小名がわからず、エキノドルスの1種で
ファームのコード番号である136と呼んでいる
と言う事です。
これは1990年のカタログから未だにsp.のままで
E136なんですね。
もう調べる気が無く、コードが商品名に
なってるパターンでしょうか。

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これは長らく言い続けていることですが、
アクアフルールのクリプトに「ブローサ」や
「モエルマニィ」、「ネビリィ」などがあります。
古くからのマニアなら、あぁ、あれね(笑)
なるのですが、そういう事情に詳しくない場合は
気付くことは無いと思います。

フルールのブローサはスリランカの狭葉系で
確かウェンティだったように思います。
モエルマニィもそんな感じだったような。。。
ネビリィは、まぁ昔からのことを考えると
仕方ないかな、と思うので除外しても良いかも
しれません。
結局それらは本物ではないと言う事です。
もう10数年そのままなので、訂正するとか
見直すとか言う発想自体が無く、こちらも
商品名として使用しているんだと思います(笑)
なので、フルールのブローサを育てても
あの激しくデコボコした厳つい葉にはなりません。

数年に一度、ブローサを買ったのですが、
ルーツさんのとちょっと違うんですよね、と
言われることがありますので、たまに
書いておいた方が良いかもしれないと(笑)



。。。と言った具合に、謎のこだわり?!が
色んなファームにあるのです(笑)
まぁなんとなくヨーロッパのファームには
その辺はある程度きちんとやって欲しいなぁ、と
思うのは私だけでしょうかね。

2018年7月19日木曜日

逆に長期維持/番外編 水槽から消えるクリプトコリネ

かつてはレイアウトの主役であったクリプトコリネの
存在が急速に薄れてきたように感じています。

現在は主に組織培養カップで販売されています。
もちろん、昔ながらのポットでも流通していますが、
かつてのようにあちこちのショップで多種のポットを
見ることは殆どありません。
更に昔は鉛巻やバラ株などがあり、店頭でも
バラ株を直植えにして1株単位で販売されていました。
特殊な種類ではなく、ウェンティやルーケンス、
バランサエと言った種類が、です。

問屋での在庫量・販売数量も近年は激減しており、
需要が無くなっていることがよくわかります。

ソイル系の底床が全盛となった昨今、先日の記事にも
書きましたが比較的短期間でのリセットが
当たり前となり、長期間向き合うことで魅力が
発見できるクリプトコリネには厳しい環境と
なっているように感じます。

短期間で結果を出すことが求められる場合は
イレギュラーが起こる蓋然性が高く、何かあった時の
修正に時間を要するクリプトコリネは使用されないことが
多いのではないかと想像します。

更には近年定番となったレイアウトのかたちである
前景や中央を化粧砂で埋め尽くすスタイルや
尋常じゃない量の石や木を利用して立体的に組み上げる
スタイルのためにそもそも水草を植える場所が無いので
クリプトコリネは選択肢に入らないと言う事が
考えられます。

例えば最も有名なレイアウトコンテストの
2017年の水槽を見てみましょう。
1~7位までは主な使用水草の記述があるので確認すると
1位にパルバ、2位にウェンティグリーンがあるだけです。
そして、いずれも主役や準主役ではありません。
もちろん、上位の方々クラスになると。種類や数量、
ボリュームなどは緻密な計算で決定していると
思いますが、やはり代替えが利きそうな使用法です。

優秀賞27位までは使用している水草が不明なので
写真から判断するしかありませんが、恐らくは
1~2作品程度ではないでしょうか。

かつては前・中・後茎すべてに用いることが出来る
優秀な水草であり、長期に渡って複数種が同一水槽内で
見事に繁茂していることが水草水槽管理能力の高さの
象徴であったクリプトコリネが殆ど使用されなく
なったことは、レイアウト水槽が基本的に
短期思考になっていることの証左であると
考えることが出来ます。

更には大磯等と違い、ソイル系の底床は基本的に
使い捨てなので、短期でリセットすることにより
消耗品的な扱いとなります。
乱暴に言えば、例えばエアリフト式投げ込みフィルターや
外掛けタイプのフィルターの交換濾材と同等の扱いと
なるわけです。
つまり、その部分は短期間で交換してもらうことが
大切なのです。

ちなみに、クリプトコリネはミスト式と言う手法には
全く不向きなため、そのような下準備を行う
レイアウト水槽には用いることはできません。
(もちろん追加することは可能ですが)

これらのように、双方向での短期思考化の中では
残念ながらクリプトコリネが主役にはなることは
無さそうです。

2018年7月14日土曜日

逆に長期維持 <4>

前回は長期維持で水槽に個性が出るという話に
なりました。
それが具体的にどういう事なのかを見てみましょう。


水草水槽を維持してそれなりに時間が経過すると
ソイル系の場合は初期のブーストが終わるころに
水草の生育に変化が見られます。
短期思考の水槽の場合はここでリセットですが、
長期維持の場合はここからです。
ちなみに大磯などの砂礫系の底床の場合は
この辺りからようやく良くなり始めます。
短期のゴール時期=大磯長期のスタートライン
と言った具合ですね。

変化の中で育ちが悪い水草を引き抜き、新たな
水草を買ってきて植えてみる。その繰り返しを
行っていくうちに不思議と綺麗に育つもの、
以前とは異なる草姿ではあるものの良い雰囲気に
なるもの、毎回いじけるものなど、様々な
パターンが見られるようになります。

いつも登場する大磯水槽です。
設置は2000年か2001年なので
17年くらいは経過してますね。



これは作り手の日々の管理、その地域の水道水の水質、
使っている底床や素材の材質や量、添加する栄養素や
その使用頻度など、それらが複雑に絡み合って
得られる結果のため、その人のその水槽でしか
あり得ない状態になります。

マニアやショップの維持された水槽を見たときに
「同じ水草なのに何かが違う。」
「設備は普通なんだけど。。。」
「なぜ間延びせずに育ってるのだろう。」
「水は同じく透明なのにどこか違う感じがする。」
「この水草ってこんなに繊細だったかな?」
など、感覚的に「おや?」と感じることがあると
思いますが、まさにそれがその管理者が産み出す
その「水草水槽」の色なのです。

いつものイエローアマニア(笑)
上の大磯水槽より先にセットしてるはず
なので2000年設置だったと思います。
なのでこちらは18年。
アマゾニアパウダーがメインです。





















つまり、水草水槽を長期維持すると言うことは、
管理者の能力やクセ、水槽のある環境などが反映される
ことであり、その結果自分の管理で、自分の水槽で、
どの水草が美しく育ち、どの水草が合わないのか
と言うことがなんとなく見えてきます。
もちろん方向性が見えてからも模索を続けるわけですから、
それを踏まえての修正・微調整を継続していくことにより
次のステージへと進むことが出来ます。

そうなると更に他人の水槽とは明らかに異なる
水草水槽が出来上がります。
それこそが「水草水槽」の「個性」なのです。
そして、短期思考のレイアウトとは異なり、
恐ろしいことに明確な「ゴール」がありません(笑)
5年、10年と時間の経過と自身の管理により
常に変化し続け、その「水草水槽」はいつも
違う顔を見せ続けてくれるのです。

ここはプラチナソイルを試してみたかったので
初期のアマゾニアから一度リセットしています。
なので比較的新しいですが、それでも5年以上は
経過していると思います。藍藻時代が数年
あったような気がするので。。。(笑)





















弛まぬ努力と時々の手抜き、あるいは無謀な挑戦、
新たな水草の導入やある種の栽培の追及。
そう言った様々なことを1本の水槽、同一の底床で
延々と楽しむことが出来るのです。

私はそんな水草水槽を見て
「う~ん。。。やられた。こりゃマネできん(笑)」
と思いたいんです。


逆に長期維持  終わり

2018年7月12日木曜日

逆に長期維持 <3> 

引き続き長期維持についてです。
前回は近年のレイアウトは主に短期思考で
作られることが殆どであり、使用する器具や水草も
同じようなものであるために、水槽としての
性質は似たような状態に収斂したところで
終了するとしました。

その場合、個性と言うものはレイアウトのみで
表現されることになり、問われるセンスは、
どのような材質の素材(木や石)をどう組み合わせて
どう並べるか、そしてどこにどの水草を配置するか、
と言うことになります。

もちろん、それも発想の自由度や新しさ、
組み合わせの妙みたいな部分で個性が出せると
思います。
しかしながら私の考えるところの

「水草水槽の個性」

と言うのはまた別の部分なのです。
そしてそれを見るためには、それ相応の時間が
必要になります。
それこそが、「水草水槽」を「長期維持」する
楽しさと言うことになるのです。

短期思考での水槽は、もちろん技術も大いに
関係するのですが、主に底床や器具が作り出す
「性能」が反映され、その似た環境で生育する
定番である数種類の水草の状態を見ていることが
多くなってしまいます。

アマゾニアですね。
どのくらいの年数か定かではありません。。。
恐らく7~8年くらいは経っているはず。



















そこでなぜ長期維持の水草水槽に個性が
出るのかを考えてみましょう。

まず、大きな違いとして底床の扱いがあります。
主にソイル系の場合はある期間を経過すると
ソイルの持ついくつかの力が減衰します。
そうなると、そこからの水草育成は、管理者の
影響がより大きくなり始めますが、
短期思考の場合は、そうなった底床は
賞味期限切れとされ、リセットにより新たな
ソイルに入れ替えられることが殆どです。

しかしながら長期維持の場合は、その
賞味期限切れ以降も使い続けます。
そこから引き続き自分の良いと思う管理や
生活ペースに合わせた管理を継続すると、
更に水草の様子が変化したり偏ったり
することでしょう。
そこがその管理者の「水草水槽」の個性に
なりうる部分なのです。

大磯の場合はどうでしょうか。
近年は大磯などの砂礫を底床に用いて
レイアウトを作る人は殆ど居ないと思いますが
せっかくなので少し触れておきます。

大磯ではありませんが。。。
アクアセラミックと言う商品で、
最近どこかの思い出話にも登場していました(笑)
セットしたは良いものの、一般的なレイアウトには
完全に不向きでした(笑)これで19年目。
当然セットしてから入れ替えてないです。





















例えばソイル系の底床を使ってレイアウトを作り、
そのセオリーに沿って管理して見ごろ迎えるとします。
仮にその期間を4ヶ月とした場合、大磯を使用した
水槽はその頃から少し良くなってくるかな、と
言ったところですので、そもそも短期思考の水槽に
不向きな底床なのです。


長くなりそうなので、予定を変更して続きます(笑)

2018年7月10日火曜日

逆に長期維持 <2>

引き続き長期維持の話ですが、少し目線を
変えます。

<1>の冒頭に書きましたアプローチが
画一的であるということですが、やはりそれは
情報のソースがインターネットであることが
多く、検索エンジンが上位に拾い上げるものは
同じものであることがあるため、と言う事が
一因と思います。

また、レイアウトも良いとされるものの
出所が1カ所で、専門誌にもそれに倣った
レイアウトばかりが紹介されるため、
「水草レイアウト」自体がそう言うものだと
認識されている、言い換えれば、レイアウトを
作るならこういう物を作るのが当たり前で、
綺麗なレイアウトとはそういったものだ、
と言ったことになっている印象を受けます。

そういったスタイルのレイアウトには
すでにセオリーやメソッドが存在しており、
それ自体がタイムテーブルに沿って最終形を
目指すタイプです。
決まった期間で結果を出す、つまり短期間で
作り上げるための方法となっています。

また、近年見られる「ミスト式」と呼ばれる
水草の植え付け方法があります。
近年の水草レイアウト自体が前述の通り短期思考で
ある場合が多く、そのための1手法として
用いられていると思います。

しかも、ミスト状態の期間は「水草水槽」ではなく、
注水前と後では環境が大きく変わってしまうため、
純然たる水草水槽の立ち上げとは考えらません。
つまりミスト期間は水草水槽ではないため、
水槽維持の期間には含まれず、水槽の維持期間は
更に短いものとなります。

つまり、現在よく見るレイアウト水槽は
概ね同様の短期思考で作られることが多く、それは
目立った情報がそれしかないことに起因していると
考えられます。そして、そのレイアウトには
ゴールがあるため、結果が出た段階でそのレイアウトは
終わりを迎え、多くの場合はリセットとなります。

以上のようなことから、多くの人が同じような道具、
同じような水草を使い、同じような工程、同じような
期間で終着駅に辿り着く形で水槽を作ることに
なります。

もちろんセッティングからレイアウトの
完成(見ごろを迎える)までが全てマニュアル化
出来ていて、多くの人がその通りにやれば
同じゴール(綺麗なレイアウト水槽)へ向かうことが
出来ると言うのは非常に素晴らしいことで、
こう言った方法の確立は水草への入口を広げることに
大いに役立っていると考えています。

ただ今回は別の話で、それがどういう事かと言うと、
レイアウト自体は当然それぞれ異なるのですが、
水槽自体は同様の過程を出来るだけ短期間で作るため
誰が作っても似たような性質に収斂された段階で
終わってしまうと言えるのではないでしょうか。


。。。続かないとまとまらないので続きます



2018年7月7日土曜日

逆に長期維持 <1>

水草水槽の楽しみ方は様々だと思います。
近年は道具が豊富・安価となり、調達もインターネットを
使えばどこからでも可能です。

しかしながらそれに反して、アプローチはどこか
画一的になっているような気がします。
恐らくはインターネットで検索すると上位には
同じような情報が常に並んでいます。
それを参考にすることによって、大多数の人が
同じ情報をお手本にしていることが考えられます。

また、前述したように道具が非常に良くなったため、
水草水槽自体を作り上げていくと言う作業があまり
必要でなくなりました。
それに加えて、ある意味仕方のない状況とは言え
業界全体が向かった水槽の小型化と、ソイル系底床の
誤った情報の伝播によって、短期間でリセットを
行うことが前提となってしまっています。

2000年くらいに設置しました。
アクアプラントサンドです。
新たに足すことも殆どしてませんが
粒も残っていてまだまだ使えます。




















かつては大磯と呼ばれる海産の砂利が底床の
主流でした。ヨーロッパでは珪砂に近いものが
利用させていたようですが、水草器具のメーカーから
石英を原料にした水質に影響を与えない砂利も
発売されていました。

確か2001年くらいに設置しました。
大磯の細目がメイン、アクアプラントサンド少々、
最下層にアクアグラベルの小粒が入っています。
もちろんリセットは行っていません。
状態の良い時も悪い時ありますけどね。





















これら砂利と呼ばれるものを底床に使用した場合
水草が根を下ろし、底床内が有機的に機能するまで
それ相応の時間を要しました。
そのため、ある程度の期間維持するのが前提で、
ある日を境にどことなく、または劇的に環境が
良くなる(いわゆる立ち上がった状態)瞬間を
目指して、試行錯誤したものです。

しかしながら、ソイル系の底床材の登場で
その立ち上げのプロセスのかなりの部分を
ショートカットしているような状態になっています。
この時点で数か月程度の管理を端折ったことになり、
ゴールとは言えないのですが、ゴールに近い状態に
ワープするような結果となります。

大磯などの底床でようやく立ち上がった水草水槽は
そこからが本番で、いよいよ本命の水草を導入したり、
クリプトコリネなどが美しくなり始めることかと思います。
そこまでの過程とようやくたどり着いたその状態を
そこから数か月でおいそれと壊すと言う事は
非常に勿体ないことです。
なぜなら、ようやく水草水槽として機能し始めた
ということですし、そこから楽しくなってくるからです。


続く予定。。。