先日アクアリウム業界に大きなニュースが飛び込んできました。
オフィス用品通販最大手のASKULが、同社が手掛ける個人向け
ネット通販LOHACOにおけるペット関連の商品を強化するために
チャームを完全子会社化しました。
手法としては株式の100%取得です。
さて、大きなお世話ではあると思いますが、これが何を
意味するのかを考えてみたいと思います。
アスクル自体は2012年に第三者割当でヤフー傘下になっていて、
その後2015年の自社株買いで、ヤフーの議決権割合が
上昇したため、連結子会社となっています。
BtoBの成長再加速とBtoCを一気に拡大させるため
だったようです。
そのBtoCの拡大の一環としてLOHACOがあったのですが、
そこで自前でペット関連を強化するよりは、ペット関連の
ECとして成功しているチャームを買収した方が効率が良い
と言う判断だと思います。そんなに単純では無いので
しょうけど、知識のない外野からしたらそんなところです。
ざっと流れを見てみましたが、アスクルのリリースから
読み取れることがあります。
まず、チャームの説明の中で
「犬・猫のペットフードやペットシーツ、アクア用品、熱帯魚」
とあります。
これがアスクルの見ているチャームの取扱品目の
序列であると考えられます。
次にLOHACOとのシナジーの説明で
「チャームのお客様の約6割が女性であり、」
とありますが、観賞魚店ではありえない比率です。つまり
チャームの商品構成のメインは既に犬・猫・小動物に
なっていると考えるのが自然です。
また、ロングテール品の品揃えが課題だったということは
元々の商品群に幅を持たせたかったのだと思いますが、
そう言う細かい需要を拾うには、今までの蓄積がある
チャームはもってこいなのかな、と想像します。
ただし、この場合どう考えても熱帯魚は含まれません。
最後にeコマースにおけるペット用品の成長性、という
ところでは
「ペットの家族化」を背景とした高額化・高付加価値化が
進み…
とありますが、ここでも熱帯魚、ましてや水草などは
事業の成長性を考えた場合には含まれないであろうことが
想像できます。成長性の裏付けがペットの家族化ですし、
そもそも家族化、と言うのは主に犬・猫を指している
はずです。
また、
「ペットフードやペットシーツなどの多くのペット用品は
定期購入が必要であり…」
とありますので、ペット用品のメインはその辺りであり、
定期購入が見込める高額・高付加価値の商品が狙いです。
交換濾材が売りたくて仕方ないわけではありません(笑)
以上のことから、アスクルとしては観賞魚関連は特に
魅力的に映っているようには見えず、こちらに居る
私から見てもリスクでしかない生体の販売を継続する
理由はあまりないように思います。
もちろん、雇用や以前からのステークホルダー、
チャーム自体のアイデンティティと言いますか、
チャームのチャームたる所以と言った部分が
担保されるような契約で売却しているのかも
しれませんので、当面は大きな変化は無いのでは
ないかとも想像しています。
水草の通販で名を馳せたチャームさんですが、
個人的には一時期、水草専門店はチャームさんしか
無いという印象を持っていました。なぜかというと
多くの水草専門店で、実はいわゆる小型美魚や
レッドビーがメインであったり、メンテナンスが
メインであったりすることが殆どだった中で
本当に水草の通販だけ、と言う印象があったからです。
行ったことも利用したことも、お話したことも
ありませんから本当はわかりませんが(笑)
もちろん、当店も含め多くの水草専門店と言う看板を
掲げていたショップの推移を見ればわかるように、
そんなものの上限は知れています。
事業規模の拡大とともに、取り扱いアイテム数と
ジャンルは増加せざるをえません。
その結果、年間売り上げ129億円(どこかの10倍?)と言う
凄まじい規模となったわけですが、それと引き換えに
水草や熱帯魚の専門ではなくなりました。
それが良い悪いではありません。
ただ、熱帯魚と水草だけではこうはならないです。
個人的には、アクアリウムに限界を感じた結果だと
思っていて、チャームとして店舗は存在しますが、
概念上、観賞魚業界からの撤退、事業的には
イグジットだと思っています。
こう言うことは昨日今日で決まることでは無いと
思いますので、かなり前から模索していたのだと
想像します。ただし、台所事情はわかりかねますので、
個人としてはイグジットでも企業としては
出口戦略と言ったところなのかもしれません。
その辺りは外部からはわかりません。
いずれにせよ、この業界の矮小化は今もなお進行中では
ないかと考えられるのではないでしょうか。
2017年5月28日日曜日
2017年5月16日火曜日
魔法の言葉
以前より、業界の低迷・矮小化について見ていますが、
最近感じることがあるので少し触れてみたいと思います。
ここ数年で起こった植物のムーブメントは、今なお
その波に乗ろうとする人々によって増幅されており、
一昔前では考えられないくらい、いろんな植物を
目にする機会が増えました。
そこで話題になったのが「ビザールプランツ」と言う
言葉です。
沸騰ワードでも取り上げられたこの言葉は、植物に
多少なりとも興味があったり、インテリアとしての
植物を扱っている層に拡大していったと思います。
すなわち、植物を探しているであろう層には
「ビザールプランツ」という言葉でアピールするのが
商売上手っ取り早いと言うことです。
metaタグにもハッシュタグにも仕込んでおけば、
新規のお客様が期待できるかもしれません。
そして、水草界隈にも登場しました。
「パルダリウム」
これぞ魔法の言葉です。
もう今はここに寄せておけばOK(笑)
先日のイベント会場もなぜかBBの会場、
雑誌も矢継ぎ早に特集を組む。
個人的には昔のFMを見て、水草水槽と
パルダリウムの繋がりに興味を持ちましたし、
その記事の模索具合も好きでした。なので
楽しいジャンルであるのは間違いありません。
そして自由に様々な楽しみ方が発見できると
思っています。
しかしながら、水草水槽からの派生として
「アクアテラリウム」と言うものがあります。
そして90年代、あの熱い時代に生まれた
「オープンアクアリウム」と言うものがあります。
これらも想像力と創意工夫でいくらでも
楽しめるのですが、すべてを「パルダリウム」
として飲み込んでしまうことは、個人的には
少し違うんじゃないかと感じてしまいます。
現状、「パルダリウム」の概念や定義が
こう言うものだ、と言うコンセンサスが
取れていない。
せっかく何十年ぶりに再び多くのユーザーに
注目され始めたのですから、本気で
広めたいのなら、まずはそこからじゃないかと
思います。
この業界の最も苦手な「啓蒙」ってやつです。
やってるの見たことないですが。。。
最近感じることがあるので少し触れてみたいと思います。
ここ数年で起こった植物のムーブメントは、今なお
その波に乗ろうとする人々によって増幅されており、
一昔前では考えられないくらい、いろんな植物を
目にする機会が増えました。
そこで話題になったのが「ビザールプランツ」と言う
言葉です。
沸騰ワードでも取り上げられたこの言葉は、植物に
多少なりとも興味があったり、インテリアとしての
植物を扱っている層に拡大していったと思います。
すなわち、植物を探しているであろう層には
「ビザールプランツ」という言葉でアピールするのが
商売上手っ取り早いと言うことです。
metaタグにもハッシュタグにも仕込んでおけば、
新規のお客様が期待できるかもしれません。
そして、水草界隈にも登場しました。
「パルダリウム」
これぞ魔法の言葉です。
もう今はここに寄せておけばOK(笑)
先日のイベント会場もなぜかBBの会場、
雑誌も矢継ぎ早に特集を組む。
個人的には昔のFMを見て、水草水槽と
パルダリウムの繋がりに興味を持ちましたし、
その記事の模索具合も好きでした。なので
楽しいジャンルであるのは間違いありません。
そして自由に様々な楽しみ方が発見できると
思っています。
しかしながら、水草水槽からの派生として
「アクアテラリウム」と言うものがあります。
そして90年代、あの熱い時代に生まれた
「オープンアクアリウム」と言うものがあります。
これらも想像力と創意工夫でいくらでも
楽しめるのですが、すべてを「パルダリウム」
として飲み込んでしまうことは、個人的には
少し違うんじゃないかと感じてしまいます。
現状、「パルダリウム」の概念や定義が
こう言うものだ、と言うコンセンサスが
取れていない。
せっかく何十年ぶりに再び多くのユーザーに
注目され始めたのですから、本気で
広めたいのなら、まずはそこからじゃないかと
思います。
この業界の最も苦手な「啓蒙」ってやつです。
やってるの見たことないですが。。。
2017年5月8日月曜日
「ホレマニー」と「ウルグアイエンシス」 Part4
今回で4回目となりますが、やはり書き始めると
あれもこれもとなりますね。。。
さて、前回までは入荷の歴史と言いますか、
今までの流れみたいなものを見てきましたが、
今回はそこに付随して、ファームにおける
本種の扱われ方と言いますか、どういう形で
入荷があったのかを見てみましょう。
Part2でも触れましたが、ホレマニーグリーンの
メイン?の入荷はオリエンタルアクアリウムの
組織培養と思われる小さな株でした。
このホレマニーは本当に出回らず、存在を知っている人、ましてや
複数回入手できた人は水草マニアで間違いないのではないでしょうか。
結局育った姿は一度も見たことがありません。
しかしながら、この時点でオリエンタルがホレマニーの元株を
所有していたことになりますが、当然のように入荷は止まります。
そして、入荷ルートはヨーロッパに移ります。
もうこのファームを知っている人の方が少ないでしょう。
オランダのストッフェルズ。
ここの水草を覚えているというのは水草マニアとしては
なかなかのステータス(笑)
水草の最先端は何事とも同じで東京でしたが、ストッフェルズに
関しては、色々あってむしろ関西での存在感の方が強かった
かもしれません。
ホレマニーグリーンが日本に上陸した数は恐らく
ここがトップ。あれだけ入荷したのにどこに
行ったのやら。。。
後に来る南米有茎ブームの裏で廃棄されて
しまったのかもしれませんね。
ナローリーフではありましたが、しっかりと
ホレマニーグリーンしていたと思いますので、
ストッフェルズ自体はホレマニーの本物を
ちゃんと認識していたと言えます。
次はオランダからドイツになるわけですが、
我々はデナリーにオーダーを入れ続けていました。
エキノドルスに強いファームな上に、カタログには
レッド、グリーンともに掲載されていましたから
当然いつかはと期待していましたが、なかなか
入荷しませんでした。
ようやく来たと思った水上葉は水中葉が出ると
なんと赤系の改良品種と思われるものでした。
その後、本物が来たかどうかは忘れてしまいましたが
まともに来た記憶は無く、もしかしたら数株あったかも
しれません。これに関しては記憶が両方に振れています。
すみません、もう20年くらい前の話なので(笑)
そのずいぶん後にホレマニーとしての入荷はありました。
しかしながら、ホレマニーグリーンは私の知る限り
ウルグアイエンシスでした。しかしながら、やや変わった
個体で、見たことのないタイプのようでした。
デナリーのホレマニーを待っている間にバースの入荷が
始まり、本物のホレマニーグリーンが入荷することとなりました。
これは確かブロードだったと思います。
さて、この写真ですが…気付いた方は鋭い(笑)
そう、ストッフェルズと同じなんですね。
当時バースのファームは輸出を始めたばかりで、
恐らくはタグの準備が完全に出来ていなかったと
思われます。
後にオリジナルタグに変わりますが、その頃には
ホレマニーが来ていなかったような記憶があります。
最後に来たのがチェコのラタイです。
多くのエキノを記載しているラタイ氏のファームと
いうことで期待が高まりました。
ラタイから様々なエキノドルスがもたらされましたが、
玉石混淆であり、良さげなものだけ抜粋するのも
大変でした。もちろん、ここからしか入荷しなかった
種類もありました。
そこでホレマニーですが、記憶が殆ど残っていない。
個人的な興味のメーターが振れたものは必ずどういう形であれ
記憶に残っているのですが。。。
結局ウルグアイエンシスがホレマニーレッドであったので
かすかな記憶を手繰り寄せるとホレマニーはウルグアイだった
ように思います。
その後確かラタイの入荷が途絶えるかどうかの頃だったかに
オリエンタルと思いますが、東南アジアのファームから
ワイルドのホレマニーグリーン(ブロードリーフ)と
同タイプもホレマニーが一度だけ入荷しました。
恐らくこれは日本から増殖株があちらに渡り、生産を
試みたのだと思います。しかしながらその後二度と
入荷することはありませんでした。
結局、ホレマニーは商業的に生産するには不向きな
エキノドルスで、ファームでもトライするものの
長続きしないのが実情だと思われます。
水草自体が飛ぶように売れて、ホレマニーのような
非常に効率の悪い水草もアイテムの1つとして
作っておくか、と言う余裕が世界的になくなり、
なんでもかんでも効率や採算、利益が最優先課題と
なってしまいました。いずこも同じ。
ホレマニー同様、当たり前のようにあった水草も
ラインナップから人知れず消えていっているのが
現状です。
。。。たぶんPart5に続く
あれもこれもとなりますね。。。
さて、前回までは入荷の歴史と言いますか、
今までの流れみたいなものを見てきましたが、
今回はそこに付随して、ファームにおける
本種の扱われ方と言いますか、どういう形で
入荷があったのかを見てみましょう。
Part2でも触れましたが、ホレマニーグリーンの
メイン?の入荷はオリエンタルアクアリウムの
組織培養と思われる小さな株でした。
同じ画像ですがオリエンタルのカタログからです。 ちゃんと'Green'と書いてあるのがポイントですね。 |
複数回入手できた人は水草マニアで間違いないのではないでしょうか。
結局育った姿は一度も見たことがありません。
しかしながら、この時点でオリエンタルがホレマニーの元株を
所有していたことになりますが、当然のように入荷は止まります。
そして、入荷ルートはヨーロッパに移ります。
もうこのファームを知っている人の方が少ないでしょう。
オランダのストッフェルズ。
ここの水草を覚えているというのは水草マニアとしては
なかなかのステータス(笑)
水草の最先端は何事とも同じで東京でしたが、ストッフェルズに
関しては、色々あってむしろ関西での存在感の方が強かった
かもしれません。
オランダのストッフェルズ社のタグです。 ホレマニーのグリーンとレッドがあります。 大阪の業者2社が輸入していたため、珍しく 関西発信のファームだったのではないでしょうか。 |
ホレマニーグリーンが日本に上陸した数は恐らく
ここがトップ。あれだけ入荷したのにどこに
行ったのやら。。。
後に来る南米有茎ブームの裏で廃棄されて
しまったのかもしれませんね。
ナローリーフではありましたが、しっかりと
ホレマニーグリーンしていたと思いますので、
ストッフェルズ自体はホレマニーの本物を
ちゃんと認識していたと言えます。
次はオランダからドイツになるわけですが、
我々はデナリーにオーダーを入れ続けていました。
エキノドルスに強いファームな上に、カタログには
レッド、グリーンともに掲載されていましたから
当然いつかはと期待していましたが、なかなか
入荷しませんでした。
古い方のカタログ(英語版)です。 写真を見る限りは本物、しかもブロードです。 しかしながらまとも入荷せず。下のE141は ホレマニーレッドです。 |
ようやく来たと思った水上葉は水中葉が出ると
なんと赤系の改良品種と思われるものでした。
その後、本物が来たかどうかは忘れてしまいましたが
まともに来た記憶は無く、もしかしたら数株あったかも
しれません。これに関しては記憶が両方に振れています。
すみません、もう20年くらい前の話なので(笑)
そのずいぶん後にホレマニーとしての入荷はありました。
しかしながら、ホレマニーグリーンは私の知る限り
ウルグアイエンシスでした。しかしながら、やや変わった
個体で、見たことのないタイプのようでした。
プラのタグがホレマニーレッド、紙タグが ホレマニーグリーンです。デナリーのタグは 昔はすべて右側の紙タグでした。個人的には プラよりデナリーらしいので紙の方が カッコイイと思ってますが。。。 |
デナリーのホレマニーを待っている間にバースの入荷が
始まり、本物のホレマニーグリーンが入荷することとなりました。
これは確かブロードだったと思います。
緑に輝くHBDのロゴ。 |
さて、この写真ですが…気付いた方は鋭い(笑)
そう、ストッフェルズと同じなんですね。
当時バースのファームは輸出を始めたばかりで、
恐らくはタグの準備が完全に出来ていなかったと
思われます。
後にオリジナルタグに変わりますが、その頃には
ホレマニーが来ていなかったような記憶があります。
最後に来たのがチェコのラタイです。
多くのエキノを記載しているラタイ氏のファームと
いうことで期待が高まりました。
ラタイのタグです。どうにもホレマニーの 記憶が無いのですよ。。。と言うことは。。。 |
ラタイから様々なエキノドルスがもたらされましたが、
玉石混淆であり、良さげなものだけ抜粋するのも
大変でした。もちろん、ここからしか入荷しなかった
種類もありました。
そこでホレマニーですが、記憶が殆ど残っていない。
個人的な興味のメーターが振れたものは必ずどういう形であれ
記憶に残っているのですが。。。
結局ウルグアイエンシスがホレマニーレッドであったので
かすかな記憶を手繰り寄せるとホレマニーはウルグアイだった
ように思います。
その後確かラタイの入荷が途絶えるかどうかの頃だったかに
オリエンタルと思いますが、東南アジアのファームから
ワイルドのホレマニーグリーン(ブロードリーフ)と
同タイプもホレマニーが一度だけ入荷しました。
恐らくこれは日本から増殖株があちらに渡り、生産を
試みたのだと思います。しかしながらその後二度と
入荷することはありませんでした。
結局、ホレマニーは商業的に生産するには不向きな
エキノドルスで、ファームでもトライするものの
長続きしないのが実情だと思われます。
水草自体が飛ぶように売れて、ホレマニーのような
非常に効率の悪い水草もアイテムの1つとして
作っておくか、と言う余裕が世界的になくなり、
なんでもかんでも効率や採算、利益が最優先課題と
なってしまいました。いずこも同じ。
ホレマニー同様、当たり前のようにあった水草も
ラインナップから人知れず消えていっているのが
現状です。
。。。たぶんPart5に続く
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