2020年5月5日火曜日

アヌビアス ~きれいな水槽植物~ Part 2

ナナとバルテリィの知名度とは逆に他の種類が
あまり知られていないアヌビアスですが、かつては
ナナは熱帯魚水槽の高嶺の花、他の種類はマニアックな
水草でありました。
しかしながら現在はアヌビアスが主役になることは殆ど無くなり
レイアウトに登場するのはナナかプチナナで、用途はもっぱら
着生する性質を利用しての目地埋めくらいです。

かつてはアトラスレイアウトと呼ばれる水槽が存在しており、
水草、魚の産地を揃えて統一感のあるレイアウト水槽として
作られることがしばしばありました。
その中で西アフリカ水景を作る際に主役となり得るのが
アヌビアスの仲間です。
増殖させたナナをライデン通りよろしく流れるように配置、
中景にタイガーロータスとクリナムを左右に振り分けて
メインに据え、後景にバルテリーやヘテロフィラ、
ランケオラータの区画を作りボルビティスを中後景に
上手く配置する、と言ったイメージでしょうか。
そう言った熱いレイアウトを見ることが無くなりました。

しかしながら現在は小型水槽かジオラマ的なレイアウト、
NA風レイアウトが主流となり、アヌビアスのポテンシャルを
余すことなく引き出すことが難しいスタイルが殆どです。
そんなわけでアヌビアスを使うことが無くなっているため
紹介されることも無くなった次第です。

では、ナナとバルテリィ以外は入手出来ないのでしょうか。
基本的にアヌビアスの仲間はファーム物で調達することに
なります。
最近入手できるものにどういった種類があるでしょうか。
代表的なものを見てみましょう。

ナナとその改良品種(通称) 
バルテリィとその改良品種
ハスチフォリア
グラブラ
アフセリィ
ヘテロフィラ
ランケオラータ
コンゲンシス
コーヒーフォリア

この辺りは問屋さんの在庫リストでみかけます。


アクアフルール社のヘテロフィラ。
葉脈の感じがそれっぽい。

こちらもフルールがリリースしている
コンゲンシスで入荷するもの。
この名前で来るものは比較的この形状が
維持されているように思う。
東南アジアからも入荷します。


こちらはトロピカ社のグラキリス。
現在のところ本種が安定して入手可能なのは
トロピカだけと思われます。

フルールのランケオラータ。
この種小名はどうやら有効ではなさそうですが
昔から馴染みのある細葉の代表的なものです。



昔からよく知られた、図鑑でも見かける種類は現在でも
ヨーロッパ、東南アジアのファームから継続して
入荷が見られます。ただし、問屋さんのリストに
掲載されているからと言って、店頭で見かけるかどうかは
また別問題です。
欲しい種類は取り寄せてもらった方が早いです。
アヌビアスを楽しむためには能動的に動ないといけません。
そういう意味ではやはり今でもナナとバルテリィ以外は
マニアックな領域なのかもしれませんね。


。。。続く

2020年5月4日月曜日

アヌビアス ~きれいな水槽植物~ Part 1

古くから水槽用の水草として親しまれているものにアヌビアス属が
あります。その存在はエキノドルス、クリプトコリネと共に
3大水草グループと言えるでしょう。
このブログでもクリプトコリネ、エキノドルスと取り上げて
来ましたが、さすがにアヌビアスをやらないわけにもいかないので
そろそろ書き始めます(笑)

アヌビアスの仲間は西アフリカ産サトイモ科の水草で
よく見かけるものはアヌビアス ナナと呼ばれる種類で
正確にはAnubias barteri var. nanaと言う学名になっています。
現在は小さな水草が数多く紹介されており選択肢は
いくつもありますが、昔はこのナナが比較的小型の水草と
されて用いられていました。

また、このナナとバルテリィと呼ばれる種類(An.barteri var. barteri)は
丈夫な水草としてアマゾンソードやミクロソルムと共に水草初心者や
熱帯魚飼育水槽の装飾品として推奨されてきました。
かつての熱帯魚水槽にはナナやミクロソルムが着生した流木が
転がっており、そこにラムズホーンがのそのそと這い、ネオンテトラや
パールグラミーが泳いでいる。底床付近にはプレコや赤コリがもぞもぞと
餌を探していると言ったイメージですね。え?違います??(笑)

古くは高級品だったアヌビアス ナナも今では丈夫な水草の代表種となり
バルテリィと共に二酸化炭素が添加されていない砂利の水槽に投げ込まれて
販売されています。
アヌビアスと言えばどうしてもそういうイメージを持たれますが、
水草好きとしてはちゃんと鑑賞・栽培対象の水草として捉えて
いきたいと思います。

アヌビアス ナナは色々と使い勝手が良い。


安価で販売されるナナとバルテリィ(それでも一時期よりも上がった?)以外の
種類は見かける頻度も少なく、水草をそれなりにやりこんでいないと
レイアウトを少しやってます程度では名前すら知らない人が多いのでは
ないでしょうか。
実はアヌビアスと言う水草は、ナナの知名度とは裏腹にあまり知られていない
水草なのだろうと思っています。
その理由の1つにナナをある程度効果的に使った、またはプチナナを
多目に配置したレイアウトは見たことがありますが、

「アヌビアスをメイン」「殆どアヌビアスだけ」、または
「ナナ、バルテリィ以外を効果的に配置」

と言ったレイアウトを20年以上見たことがないのです。
なぜそうなるかと言うと、アヌビアスの種類を知らない、使い方がわからない
と言ったこともあるでしょうし、いつも私が主張する水槽の小型化の弊害も
大きいでしょう。また、いわゆる流行りのレイアウト手法に馴染まないと
言う部分もあると考えられます。

一見メジャーに見えて実はマイノリティ。そういうアヌビアスの仲間を
見ていこうと思います。


。。。続く