2016年5月25日水曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part4-1

さて、今回で4回目になりました、クリプトコリネの
魅力ですが、ひとまずPart4で最後にしたいと
思います。。。が、書いてるうちにとんでもなく
長くなったので2回に分けます(笑)

記念すべき最終回にふさわしくクリプトコリネ
最大の魅力、いや、魔力について。


―――――溶ける。


これですね。
溶けを語らずしてクリプトコリネは語れません。

ある日突然、昨日まで瑞々しく開いていた葉は
見るも無残な姿に。。。
「なぜ。。。?先週の換水の時にはなんとも
なかったのに。。。急に溶けるなんて!」

クリプトコリネの水中育成を行っていると
誰しもいつかは通る道です。たまに聞く声で
「いや、溶けたことないんですよ。」と言うのが
ありますが、それはラッキーです。そしてまた
溶けを経験せずにクリプトコリネを育てた、
などと言ってはイケマセン(笑)
。。。すみません、冗談です、と言いたいところ
ですが、「溶け」は、クリプトコリネ育成の
必修科目です。

でもこの溶けこそが、クリプトコリネ最大の
特徴と言っても過言ではありません。
同じ水草で、ホシクサや有茎草なども
環境の変化などで溶けるように枯れますが
それとは別次元のものです。


まず溶けは突然やってきません。そこには
必ず理由があります。いつもと違うほんの
些細なことがトリガーとなって、クリプトコリネは
まるで自らの意思を持っているかのように
その葉を溶かします。
そしてその前にしばしばシグナルを出しています。

ヒュードロイの葉。よく見るとそばかすのように
斑点が出ているのがわかります。
溶ける前にはこの斑点が出ることがあります。

手前の葉はかなり多くの斑点が見られます。
もちろん、他の葉にも出ていますね。
こうなるともう大溶け前夜です。
個人的に「死の斑点」と呼んでます(笑)

上の画像のように、溶ける前に葉の表面に斑点が出ることが
あります。これが出てしまうと溶け確定と思っても良いので
見つけた時には覚悟して対処に入らねばなりません。

ここで、溶けた様子を。。。と画像と動画で解説したかったの
ですが、15年12月末に大溶けやらかしたので、これは
ブログのネタに、とは思ったものの精神的にカメラを
向ける気になれずサンプル撮れず。。。スミマセン。
ブロガー失格ですね(笑)

。。。で、何も無しと言う訳にいかないので、サンプルとして、
15年維持しているヒュードロイ水槽の話を。。。
この水槽は120x45x45(cm)と言う大きめの水槽で
底床は大磯と言うこともあり、非常に安定しています。
ただ、管理者がその安定に胡坐をかくことがありまして、
1~2年に1度のペースで大幅に溶けています。
もちろん、数えきれない株数が繁茂しているので、
キャパ的に頭打ちになった時にクリプト自身が数(割合)の
調整を行うように溶けているだろう側面も感じますが、
多くの場合は確実に栽培者の怠慢やミスが原因です。

この水槽に限ってではありますが、その例をいくつか
挙げてみましょう。

※基本的に「大溶け」を前提に話を進めています。
 日々の小規模な溶けに関しては、大溶けの要素を
 見つめ直せばある程度は良いのだと思います。
 まぁ安定した環境づくりです。

・液肥の添加
これは水質に直接働きかけるので影響は出やすいです。
一番酷かったのは、120x45x45の本水槽にECA1滴で
溶けました。
これは水自体が原因となるので、換水で対処すれば
OKです。

・底床肥料の添加
近年はもう年に1度イニシャルスティックを入れるか
入れないかとなっていますが、昔の成長期におこしを
1個埋めたらそこから同心円状に溶けが広がりました。
とりあえず底床内の肥料濃度を下げなければ
いけないので吸出し、すなわち換水。

・炭酸ガスの過剰添加
これも気付かない時は気付かない。一番酷かったのは
タイマーのピンのOFFが利いておらず、24時間添加に
なっていた時です。延々と溶けが続き、かなり長期間
毎日換水し続けたのですが、原因に気付いたら収束に
向かいました。この水槽で一番キツかった出来事です。
対処としては炭酸ガス量を適正に戻すか、止めて
しまえば良いのですが、溶け自体は進行するので
やはり換水。

・換水不足
最近溶けた原因です。絶好調の時期が2年近く継続
しており、完全に油断して怠りました。
だいたい定休日に発動してくれるので、気付くのは
遅れます。。。見つけた時は近年最大の溶けで、
溶け方(量もですが質ですね)もかなりヤバい感じでした。
そのため、思い付きはしたのですが画像と動画を撮る
精神状態にはなれず。。。
この理由の場合は、クリプトが耐えて耐えて。。。。。
「もう無理っ!」と言って溶けるのでスピードが速い。
やるべきことは。。。原因が換水不足なので、当然
換水しかない。


さて、鋭い読者の皆さんならもうお気付きでしょう。
溶けた時にやらねばならないこと。それは

「換水」

です。
これしかありません。

いや、秘策があと1つあります。それは
ステラコリン!。。。ではなくてですね(笑)
クリプトに話しかけることです。
まぁオカルト的なことになりますが、あいつら、
話聞いてます(笑)
上記4つの溶けの原因にプラスして、こちらの
「発言」があるんです。冗談みたいに聞こえますが、
ヒュードロイの水槽の前で軽く見るような発言を
すると、数日後に決まって調子が崩れました。
だから日々褒めてやってください。

あ、私病んでませんよ(笑)


。。。Part4-2に続く


2016年5月13日金曜日

コマーシャリズム

まぁとにもかくにもあちこちで植物だのボタニカルだのと
賑わっております。
私が数年前に感じて予想した、植物を道具とした
マーケットの創出と言うものが、見事に顕在化した
わけです。(と、思いこんでます(笑))

※参照
見えざる手

何年もかけて醸成し、しっかりと果実として実りつつ
あるようで。想像通り、様々な業界から進出したり、
既存の業者が業務拡大したりと、ここぞとばかりに
盛り上がっているようです。


ただし、そこに趣味的理想や過度な思い入れを持って
接したりそれらを期待するのは間違いです。
先んずれば人を制す、先手必勝。
どういう形であれ他より先に需要のあるものを
供給する。ましてや既に需給が逼迫しているものや、
新たな市場であればなおのこと。
こんなことは水草でも繰り返されていることです。
もちろん、もっと前から園芸の世界でもそうでしょう。
ショップもこぞって店頭に並べております。

その際に、「レアもの」と称されるもの等は、最初に
どんなに珍しくてもそれが増えないものなら
いざ知らず、丈夫でよく増えるなら以前にも書いた通り
答えは既に出ているのです。それはほどなく
「レアもの」ではなくなります。
また、簡単に現地で数が採れるものであっても
同様です。
そして時には、「何故このチョイス?(笑)」と言う
種が組織培養で大量生産されることもあります。

そこに需要があるなら供給できる人が勝ちですので
スピード勝負でしょう。その植物がどういう物かは
別問題です。そして、それをコントロールすることなど
出来るわけもありません。
1人の意思で動かしているわけではないのだから。
(ただし、そう言うジャンルも存在するのも事実ですが、
そんなものは一般レベルに降りてきません。)


また、マニアの世界ではなく一般層にまで広めようと
考えた場合、そこに商業的ドラマがあれば更に興味を
持たれやすくなります(例えばプラントハンター)。
もちろん、現在のムーブメントは世間一般が対象なので、
その点は必要であるのですが、マニアが望むような詳細な
情報は無用の長物です。
例えば、殆ど人が訪れない島で首狩り族が居た村から
命からがら1株持ち帰ったとか、その昔、貴族に雇われた
最初のプラントハンターが採って来た植物が同じ場所で
200年ぶりに発見され持ち帰られた、とか。
そう言うのは大切なのですが、それがアグラオネマなのか
チューリップなのかは、世間的には大した問題では
ありません。
なので、それらの名称やそれに関する情報などは
間違っていて当たり前くらいに思っていた方が良いです。
グランデでもスペルバムでも、どっちでも良いんです。
「森の王冠」の方がキャッチーでしょ?


今、再び珍奇植物としてもてはやされているチランジアも
昔にエアプランツとして大量に輸入され、大量に消費
されたもので、そのブームの去り際などは換金するのに
投げ売りされたと聞きました。
そう言う時期を経て 本当に好きな人たちだけがやる様に
なったのかと思いますが、再度こういう流れになったので、
また同じ事が繰り返されるでしょう。

これらもその一例と言うべきかわかりませんが、朝の
ワイドショーにも取り上げられるようになった盗難や
専門業者や日本だけには止まらない採集や販売の
広がりなどが見られます。


アクア関係では引き続きと言いますか、再びと
言いますか、ドラマやトーク番組などのセットに
水草?水槽が置かれていることが目立ちます。
また、大野君(嵐)のドラマでは社長室でメダカが
飼育されています。ショップの水槽の前で思い悩む姿も
ありました。まぁメダカブームですからね。

不思議なのは、水草(やアクアリウム)はメディアに
登場しても確実に広がらず、テレビに出ようが、
映画の題材になろうが、本が出ようが日本と業界固有の
理由があるので確実に無理なのですが、なぜか時々
取り上げられるんですよね。
あれを見て「流行ってる!」と見るのは早計で、特定の
業者等の利害関係で成り立っていると見るのが
自然じゃないかと思います。なのでビジネスチャンスが
ある!ってことにはならないでしょう。
もちろん個人で上手く立ち回る分には別ですが。

そして今年も例の本が発売されるようです。
見出しだけ見ましたが、乗っかってますね、珍奇植物(笑)
まぁ以前から言い続けている水草界の筆頭である
レースプラントは出てると思います(笑)
あとはなんでしょう?タヌキモやウォーターローンと言った
食虫あたり、溶ける水草クリプトコリネでしょうか。
切れ込みのある葉なんかもそうですかね。ブセなどの
着生するものとか。
しかしながら、すべてが馴染み深すぎて、珍奇も何も
無いです(笑)水草好きならみーんな知ってる草です。


もちろん、乗るのも背を向けるのも自由です。
商業的な行動を否定するものではありません。
多くの人の目に触れることによって、興味を持つ人が
居て、その中から愛好家が生まれるのは何度も
見てますから。なので当然ビギナーの取り込みは
重要ですから、それはそれに相応しい形でやれば
良いのです。

継続できるのであれば。

2016年5月2日月曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part3

クリプトの魅力は尽きることが無い、と言う訳で。。。
今回で3回目。レイアウトについての概要などを。


諸事情ありまして、すっかり小型水槽が定着してしまった
我が国ですが、そんな中でもクリプトコリネは楽しむことが
出来る、言わば万能選手なんです。

Part1Part2にも書きましたが、様々な種類があり、
増殖形態から密生することが多いので、レイアウト向きの
水草なんですね。
そして、クリプトが群生するとその個所をベースに
レイアウトを考える。基本植え替えない。
そう、水槽のレイアウト全体をクリプトの群生を中心に
考えるんですね。恐らく近年はこの発想は無いでしょう。
クリプトの群生はそのくらいの価値があるんです。
水草がご主人様!と言う訳ですね。


例えば小型水槽で人気のありそうなサイズの
30x30x30、いわゆる30キューブですが、
こういった水槽でもクリプトの育成やレイアウトは
可能です。コブラグラスやヘアーグラスの代わりに
パルバが使えます。
もちろん、1ポットから始めるとそれらより何倍も
時間を要します。
そして、定番の前景種なら茂りきる前にバッサリと
トリミングしてしまいますが、パルバの場合は、
茂るまでのことを考えると勿体なすぎて切れない。。。
そう、パルバ残しの他変更、となりますね。
すなわち手がかからないとも言えます。これは
水槽維持にとても重要なことです(笑)

これは使いまわし。。。パルバです。
これは6045でクリプトレイアウトを作った時の
画像ですが、400株くらい買ったかな。
植えたのは画像の面積の5倍くらい。
全体の画像を残してないのが悔やまれる。。。
(底床はアマゾニア)


もちろん、ポットもので販売されているスリランカ産の
狭葉系、タイの細葉系なども使用できます。
大きくなりそうなら条件を徐々に絞ればよいだけです。


レギュラー60(60x30x36)だと背景はトンキネンシスや
カウディゲラあたりでしょうか。
中景~はウェンティ系、キー、アフィニスと言ったタイプ。
上手くやれればブローサ、アウリクラータ、ストリオラータ等。
一般種だと面白い所でポンテデリフォリアやコルダータ。
前景は。。。パルバ(笑)、またはウィリッシィ。
今ならホビットもありですが、これもパルバと同じく
必要なだけ買わないとダメっぽいです(笑)
。。。とまぁ、60くらいになると殆ど使えますね。
恐らくクリスパチュラvar.クリスパチュラ。
バランサエほど強烈ではないので水槽の
サイドからバックにかけて使いやすい感じ。
(底床は大磯)
キーです。前回の画像の寄りですね。
葉柄が伸びないので、間の抜けた感じに
ならず、上手く密生してくれています。
下草は南米コブラですが、パルバと思って
見て下さい(笑)まぁこんな感じです。
(底床は大磯 かなり前の状態です)

オリエンタルからペッチィで入荷する種。
よくあるウェンティと比べ細葉でやや頼りない感じ。
色彩と雰囲気は一般的なウェンティ系とは異なる。
(底床はアマゾニア)

大型水槽の前景付近の場合はパルバの3倍速以上で育つ
トロピカ社のルーケンスが使いやすいかもしれません。
まともに成長すると30センチ近くにはなるはずなのですが、
そこはあれですよ、トリミング(笑)

ポンテデリフォリアの水中葉です。
大磯水槽でよく育ってくれました。
魚がタイガープラティと言うところがまるで
洋書の1ページ(笑)産地合ってないですが。。。
60でも使えますが大型水槽の方が
魅力は伝わる種類だと思います。
(底床は大磯)

アクアソイルが出来て、クリプトの育成も容易になった
部分が大きく、パルバの生育はかなり違うと思いますし、
スリランカ狭葉系なんかも成長は速いです。
なので、かなり楽にはなっていますが、基本的に
クリプトの育成はじっくり楽しむ方が面白いと思います。

小型水槽の場合は、二酸化炭素も極僅かに添加する
だけで良く、それだけで順調に育ってくれます。
小型の高圧ボンベなら1本を2~3ヶ月で使い切る
程度の添加量で良いと思います。
有茎草と違って、煩雑なトリミングに追われることは無く、
のんびりと向き合うことが出来ます。
もちろん、クリプトコリネは条件の下方への適応力が
高いので、二酸化炭素の添加を行わなくても、
定期的な換水と、生体の存在で育成することが
可能です。

ソイル系の底床がよく育つのですが、大磯などの
底床でも特に問題はありません。
ただし、二酸化炭素の添加が無い場合、ソイルよりも
更にじっくりと育てることが必要になります。
また、種類によってはソイルの方が何倍も育てやすい
ものがありますので、その辺は下調べをしても
良いと思います。




クリプトコリネの自生地は主に東南アジアであるため、
その地域の魚と合わせることによって、レイアウトの
収まりが更に良くなります。
個人的には現地へ訪れたのは数回で、あまり
見る機会もなかったのですが、サラワクで見た
旧ゾナータのそばを数匹の群れで泳ぐペンタゾーナは
忘れられません。
見た場所は異なりますが、クリプトコリネの自生地
付近では馴染みのある熱帯魚たちが生息しています。
マレーシアではレッドラインラスボラやマキュラータ、
スリランカではブラックルビーやフィラメントサスに似た種、
ベトナムではリネオラータ、グリーンバルブなども
見れました。

使いまわしてスミマセン。。。歴代PCがクラッシュしてるので
画像があまり残ってません。。。
この水槽はスリランカのクリプトをメインにしたレイアウト
だったので、魚はチェリーバルブになっています。
ホント、この水槽の画像を残してないとかどうかしてますね。。。


やはりクリプト・レイアウトにはバルブ系がよく似合う。
小型水槽なら、ボララス、小型のダニオあたり、
60あたりからはプンティウス、旧ラスボラなんかが
良いですね。
アクセントに小型のグラミーやおとなしめのローチ
なんかも良いでしょう。
こういうのを考えてるだけでも結構楽しいんです。
現地のイメージを想像させる水草もなかなかありませんよ。


。。。続く