現在、流通する多くの水草は海外から輸入されている物が多くを占めております。
低価格帯の物は主にシンガポール、タイ、インドネシア等からやってきており、
比較的新しいところでスリランカ、台湾、中国等もあります。
中~高価格帯のものでは、オランダ、ドイツ、デンマーク、チェコ(最近途絶えております)等が
あります。
東南アジアと比較して、距離的にも気候的にも、欧州ではコストがかかると言うのは
理解が出来ます。管理の良さや梱包の方法などから着状態も比較的良いので、
価格が多少割高になることも頷けるところであります。
もちろん、その価格の中にはある程度の信用が含まれてもしかるべきかと考えます。
ところが、10年以上も前から欧州勢の日本に対する姿勢には疑問を持たずには
いられない部分が存在しております。
それは“種の誤り”です。
ただし、これは単なる“誤り”ではなく、“確信犯的誤り”と言う風に受け取ることが
出来るものであります。
これが、以前のトロピカ社のラージマヤカ(Mayaca sellowiana)で販売していた種が
実はロタラ ナンセアン(Rotala sp. Nanjeshan/Rotala nanjean)であると修正を
行ったことがあります。
これはかなり珍しい事例であり、トロピカ社の信用度が高いことを裏付けることと
なります。
しかしながら、その他のファームでは明らかに異なる種名を付けて送ってくることがあり、
しかもそれが継続的である上に、修正する姿勢すらないのが現状であります。
すでに10年にも亘って続いている例もあり、未だに混乱を招いております。
以前にも取り上げたことがあるかとは思いますが、下記のものは現在もなお
流通している代表的な例です。
流通名(入荷名) 実際の種類
クリプトコリネ ブローサ(オランダ)・・・・・・スリランカ産狭葉系(ウェンティ?)
クリプトコリネ モエルマニィ(オランダ)・・・スリランカ産狭葉系(ウェンティ?)
アヌビアス グラキリス(オランダ)・・・・・・・耳の無いやや狭い葉(グラブラ?)
エキノドルス ホレマニー(ドイツ)・・・・・・・エキノドルス ウルグアイエンシス
問題はこれだけではありません。
水草を主力商品としている専門店では、これらは判別できる筈なのです。
もちろん、その旨をユーザーに伝えてから販売することはなんの問題もありません。
しかしながら、その購入希望者が、ショップから見てその判別が出来ない、または
そのような知識が無いと判断できる場合は、しっかりと伝えるべきであります。
残念ながら欧州のみならず、日本国内においてもそのようなことが意識される
事自体が稀であるのが現状であります。
また、輸入業者においても「この名前で来ているからこれ」という言い訳は
初回や2回目程度ならまだしも、10年も通用させてはいけないと認識すべきで
あると考えます。
極一部の輸入業者では、そのような判別を行いつつあるところも見られます。
しかしながら大手でも未だに改善する姿勢が見られないところがあるのも、
これもまた、残念ながら事実となっております。
近年は様々な水草が容易に入手できるようになった反面、供給側に
そのような情報・知識の蓄積・そしてそのアナウンスの重要さをまったく
理解出来ていない(知らない)、または誤りを黙認するような場合がしばしば
見られるのは、非常に危ういことだと考えるものであります。
同様にユーザーの、古くからの慣習及び現状に対する認識も更に高いものに
なればと、願って止みません。