2017年4月15日土曜日

蜘蛛の糸は見えているのか

以前から当ブログでは、熱帯魚業界、もちろん
水草業界の矮小化について指摘してきました。
その流れは止まることなく、今もなお進行しています。

もちろん、その中でも住人達は生き残らなければならず、
その手段を模索し続けているわけです。
しかしながら、以前より危惧している水槽の小型化や
流通する生体(水草・熱帯魚)とショップの没個性化は
更に加速しています。

この業界の良くない点と言えるかもしれませんが、
売れるものや売り方を創造せず、売れているものを
教えてもらってそれに追随する。
そしてアピールしようとしても、残念ながら
内向きのベクトルしか持ち合わせていない。


水草業界、そしてその中にある異端な範疇である
私が身を置くこの狭い世界では、時として傑出した
ジャンルが発生します。もちろんそれには理由があり、
あたかも自然発生的に突如取りざたされたように
見えますが、概ね説明がつきます。
そして、そのジャンルは徐々に盛り上がりますが、
極々狭いエリアでやっているので、絶対数に限りが
あるため、ピークアウトしてきます。
歴史的にはその膨張と破裂の繰り返しで成り立って
いるのですが、以前の記事にも書いたように、
もう何が売れるかわからないこのご時世、隣で
売れているものをよくわからないまま取り入れて
とにかく売る。最近はそう言った状況かと思われます。

個人的には水草水槽の限界を感じつつ、何年も
前からダッチアクアリウムの時代からある楽しみ方を
もう一度見直そうと考え、また、Patrick blancに
感銘を受けたこともあり、それらを日本的な楽しみ方、
水草水槽的遊び方に出来るのではないかと言う
発想の下に、10年ほど前からアイテムの幅を
広げると共に、そこから生まれる様々な角度からの
アプローチで水草水槽と水上育成・観葉植物との
連続性を考慮した楽しみ方を模索していました。

しかしながら、こう言うことがアクア業界では
ないところから起こったために我々の範疇でも
大きく動きがありました。ここ2~3年のドタバタ劇は
皆さんの記憶にも新しいでしょう。
私の考えていたことは概ね外れておらず、そういった
流れになったのはある意味では良いのですが、
前述したように何が売れるかわからない水草業界に
食い込んできた特殊な観葉植物の動きは、
ショップを動かし、問屋を動かし、そしてメーカーを
動かします。

先日、とあるイベントへ足を運んだのですが、
そこでは様々なことを感じざるを得ませんでした。
当然ながら業界には先の見えない状況があり、
それを何とかしたいと思う少数の人たちが居て、
そして何年も前から感じていた植物のムーブメントを
利用しなければならない状況が混在しているのですが、
プレイヤーそれぞれの各指標の乖離が激しかったり、
現状の認識にズレがあったりと、かなりちぐはぐな
状況があります。

これには様々な理由が存在しており、その一端を
垣間見てきたわけですが、現状を見る限り
なかなか難しいように感じました。
もうしばらくこの業界に居ますので見続けて
いこうと思います。

2017年4月5日水曜日

「ホレマニー」と「ウルグアイエンシス」 Part3

前回はホレマニーについて、どのような流れで
現在に至るのかを駆け足で振り返りました。

もちろん、それと並行してウルグアイエンシスの
入荷も継続してあるわけですので、ホレマニー同様、
そちらもざっと見てみることにしましょう。


細長くなるエキノドルスで割と親しみがあるのが
このウルグアイエンシスではないでしょうか。
一応黄緑のカテゴリーに入れたくなる色彩では
あるのですが、葉の質感はアマゾンソード等とは
また趣が異なりますので、やはり黄緑と深緑の
橋渡し的な存在のようにも感じます。

ウルグアイエンシスは昔からファームものが
安定して入荷しており、入手する機会は多い部類です。
かつて、ホレマニーの入荷が無い時代には、本種の
タイプ違いがホレマニー、またはニューホレマニーと
して流通したようですが、ホレマニー同様、私が
リアルタイムでかかわっておらず、情報に曖昧さが
生じますので、割愛致します。


基本的なウルグアイエンシスは、スラっとした
印象で、細いストレートな葉となっています。
多くの場合は、普通に入手するとそのタイプです。
東南アジアやヨーロッパのファームの元株が
そのタイプであったのだと思いますが、残念ながら
各ファームの本種を同時に確認できておらず、
その時期のタイプ違いは未確認となっています。

パラナ産で入荷したウルグアイエンシス。
葉の縁には波打たず、ストレートな印象。
こういうタイプがメインになっているようです。

そうこうするうちにAppo工房によるワイルドの
ホレマニー等の入荷と共に、ウルグアイエンシスの
入荷も見られるようになりました。
その際に入荷した中で葉の形状が異なるものがあり、
タイプ違いの存在を確信することとなりました。
それらの入荷と同じ時期に別のルートで
「クラシックブロード」と呼ばれるウルグアイエンシスを
入手することがあり、それはどうやら昔のニューホレマニー
(またはホレマニー)とされていたタイプのようで、
これは葉のウェーブが顕著な装飾的なタイプでした。
※クラシックブロードの画像を探したのですが
見つからず。。。アクアプランツの1号にその雄姿は
掲載してあります。

同時期に同じくAppo工房よりチェコのRatajファームの
Echinodorus africanus」と言う種が入荷しました。
学名から、当時未入荷だった西アフリカ産Alismataceaeの
Limnophyton fluitansかと色めきたったのですが、
どうも昔の写真と雰囲気が異なるものでした。
※後にカメルーン便で本物のリムノフィトンが入荷
したため、別種であることが確定しました。
Ratajからやってきたアフリカヌス。
リムノフィトンではなかったものの、
これはとんでもなく変わったタイプ。
お店での初便を維持しています。
あくまで「維持」だけですが。。。(笑)

Rataj便が問屋ルートでも入荷するようになり、
アフリカヌスに酷似したベロニカエと言うエキノが
入荷しましたが、恐らくこれはアフリカヌスではないかと
思われます。
また、Ratajで「Echinodorus uruguayensis」が入荷
していましたが、これはレッドタイプのホレマニーでした。
Ratajはエキノドルスの記載に多く携わっていますが、
見解がかなり独特なようです。

赤系としては、Appo工房より「ウルグアイ レッド」と
「ウルグアイエンシス レッドタイプ」の入荷がありました。
価格が圧倒的に高かった前者は、増殖され、比較的短期間で
流通量が増し、あちこちで見られるようになりましたが、
実はエキノドルスとして面白いのは後者の方で、圧倒的に
見る機会が少なく、恐らくホレマニー・ウルグアイエンシスの
系統で屈指の変わった種類でした。

写真があまり良くありませんが。。。
ウルグアイ レッドです。葉柄がやや長く、
葉との比率がウルグアイエンシスとは少し
異なる感じで、ウルグアイっぽくない雰囲気です。

その後、前回のホレマニーと同様、Appo工房の終了と共に
ワイルドのウルグアイエンシスの入荷も途絶えました。
そして数年後、AZ便甲斐さんによって、ホレマニー同様
ウルグアイエンシスがもたらされ、最後のワイルド株の
入荷となりました。
現在はファームもの自体は普通に入荷は見られますので、
一般種としての入手機会は今まで通りとなっています。

かなり端折ってますが、また掘り下げたい部分が
ありますので、そちらは続編をお待ちください。

。。。Part4に続く