久々に良記事に出会ったのでオマージュを。
誌面ではないので、一般的な認識から外れます。
※確かAL2014年2月号だったと思います。
新しい水草の魅力
最近はなかなか入荷がないのが残念ではあるが
入荷状況を緻密に見つけていくことで、何かしらの
出会いはあるはず。
偶然または必然、努力の賜物で引き当てた
新着水草を自分の水槽で育て上げる喜びは
育成派側の人間には格別であると思う。
もちろん育成条件不明の難種を克服した時の
達成感・充実感は何物にも代えがたいが
結果的に育成が容易であっても、スター水草に
なったものをいち早く、正体不明時に自分が
手がけていたという自己満足もなかなかの
ものではないだろうか。
各便の特徴
近年において新着が来るコマーシャルルートは、
普通の人にはわかりづらいインドネシア特殊便や
明確に新しいルートであるイタリアAnubias社、
私のわがままで始まったフロリダ便(北米便)、
スリランカファーム便など、高城氏が挙げている
ようなところだろう。
ただしヨーロッパは金融危機以降、総崩れに近い状態で
新たなファームを掘り起こさないと難しいだろう。
その1つがAnubias社なのだが、かつてのGULA社の
ような奥行きが垣間見えるかどうか。良いところは
ついているとは思うのだが。
インドネシア特殊便は所在地を生かしたクリプトコリネや
交配種のエキノドルス等があった。Anubias社は
ハイドロパイパーに目が行くが、多くの「逆輸入」ものが
見られた。復活したインド便ではロタラなどの有茎種や
ホシクサ、クリプトコリネやラゲナンドラがメイン。
ただ、年末にも私が2013年は近年稀に見る水草不作の年と
書いたし、高城氏をして「地味な年になってしまった感は
どうしても否めない」と言わしめたのは残念な話。
細かな種類は高城氏の記事・年表に譲る。
新着水草を見つけよう
新着水草はまず、水草に注力しているショップ、または
担当者がいるショップでないと入荷することが殆ど無い。
当然狭き門であるし、入荷数が少ないことが多い。
もちろんコマーシャルルートのものや、あからさまに
生産品である場合は次回の入荷も望める蓋然性は高い。
しかしながら単発、もしくは1年~数年に1回の入荷となる
場合が多い。
そういったものを入手するためには常日頃、アンテナを
張り巡らせる、ラインを確保しておくことが重要。
インターネットが普及して情報の価値が下がったように
見えるし、情報を軽んじている人が多いのだが
「情報」こそが宝なのである。決して安くは無い。
入荷した場合は、「様子見」と言うくだらないことは
避ける。育つかどうかなど大した問題ではない。
状態は良いに越したことはないが、そもそも不明種の
場合は何がどうなのかわからないのだから、目を閉じて
入手する。価格など気にしない。どこまで自己満足を
追求できるかの1点しかないのだから。
仮に3本日本に上陸を確認したものを1本買ったとしよう。
2本の存在を確認しつつ育てていると、1本が溶けたという。
数日後、もう1本が枯れたという。日本でその水草は
自分の水槽に1本しかない。屈折した珍草好きには
たまらない瞬間である。
育つかどうか確認され、ショップや趣味家が増殖して
すっかり人工環境下に馴染んで、安全を担保された
ものは新着とは「呼ばない」。そう、わけのわからない
ものほど良いのだ。さすが高城氏である。
もちろん育てたり増やしたり、そもそも維持すら難しいといった
水草だけを新着と呼ぶのではなく、近年ではその代表と
なった「Newラージパール」のようにレイアウトに
使えるような水草を発掘するのも新着水草を
掻き回す理由にもなる。ただし、当たり前なのだが
来るものすべてがそんな水草ではない。それっぽいものの
中から極々稀にスターが生まれるのだ。
レイアウターでもそういう種類を探す努力を惜しまない人は
昔は多かったように思う。
誰かが見つけて育成法や使い方を確立されたものを
1年後に使うのか、入荷して正体不明の時に「これって。。。」と
話しながらスターに駆け上がるのをそばで見るのか。
真正水草好きならどちらを選ぶのかは言わずもがなだろう。
そして、スターになったとき、自分の水槽から抜いて
「あぁ、楽しかった!」と、捨てるのだ。