2017年9月8日金曜日

Newラージなんちゃら

水草不遇の時代が何年も続いていますが、そんな中にあって
近年、革命的な水草が1種だけ登場しました。

初心者からマニアまで、何かにつけて用途があり、
栽培は容易で、その性質は使用者の期待を裏切らない。

そう、みなさんご存知の

「Newラージパールグラス」

です。

本種の性質に初めて気づいた時は、
「これはもしかして凄いのが出たのかもしれない。」
と感じました。

入荷はもちろんAZ便(アズール便・甲斐さん)です。
南米からのダイレクト便で、改良品種ではありません。
最初に見た時はラージパールか何かだろうと思いました。
やや小さかったかもしれないのでキューバパールに
近いのかとも考えたように記憶しています。

この時の有茎は奇跡的な状態で入荷。
今思うと残るべくして残ったのかもしれません。
これがNewラージパールのスタートです。
今、世界にあるNewラージーパールはこれらの子孫。
当時は殆ど見向きもされませんでした。

当然ワイルド・有茎ですし、ラージパールだと
傷みが早いかもしれないので、ロストするかとも
思いましたが意外や意外、有茎なのに着状態が
良かったのもあってか溶けもしない。

新しめのソイルに植えておくと程なく展開を
始めました。その中に這うものがいくつかあったので
「這う性質もあるんだな」と言うことがわかりました。
ただ、全体を眺めると這わないものもあり、まだ
あれほど這う力が強い種類と言うことには気づいて
いませんでした。

這わない株を見ていても、普通のラージパールのように
真上には向かわず、底床から15°くらいの角度で
斜めに育つと言う風変わりなものでした。
そこで「この種類は上には展開しない。」と言うことを
確信、キッチリ這うものとそうでないものを分けて
栽培することを始めたのです。

這うものばかりを集めて増殖していた頃ですね。
こうなると興味を持つ人がちらほら出てきました。
這う方の株はソイルの間にめり込むように強烈に這うので
どうしても他の水草の陰になりがちです。それも良い機会だと
考え、暗い所ではさすがに光を求めるだろうと放置してみました。
そんな私の想像をよそに、本種は陰だろうがなんだろうが
力強く這い続け、しかも枯れることも無いと言うとんでもない
離れ業を見せました。
ここで、「この水草は前景でスターになる!」と自信を
持ちました。

今までのスターダムに上り詰めた前景草と比較しても
すべて指標で上回っていることが分かったので、なんとか
世に出してどうなるか見てみたいと思うようになりました。
それには名前があった方が良いのであれこれ考え、
少々悩みましたが、たぶんシンプルな方が良いのと
パールグラスのシリーズに加えたかったので

「Newラージパールグラス」

としました。
もちろん、以前の南米有茎ラッシュ時にラージパールが
入荷しているのは知っていましたし、それがアクアライフの
フィーチャーに載った際は産地名がついた
「サンパウロ・ラージパール」と紹介されているのは
アクアフィーチャーマニアの私は確認済み。
プラス、上に育つパールグラス:這うNewパールグラス
構図を引き継いで
ラージパールグラスに対して這うラージパールと言うことで
Newラージパールにした次第です。
オマケ的要素には入荷経路もパール、ラージパールが
普通にファームからと言うのに対して、Newパール、
Newラージパールが個人の持ち込みと言う部分も
あります。

そして現在、レイアウトでは定番種となっただけではなく、
世界的に栽培・生産されるようになりました。
前景草としてはグロッソスティグマと同等かそれ以上の
立ち位置でしょう。

このレベルのスター水草は10年に1度くらいしか出ないと
思います。ただ、ワイルドの水草が殆ど入荷しなくなった今、
もうこういう体験はさせてもらえないでしょう。


※何か記録していたわけではないのと、構成上内容は多少
 前後しているかもしれません。