2016年9月22日木曜日

ピクタム マイノリティ (2)

前回から引き続き、個人的に魅力満載のピクタムである
緑三色にスポットを当てます。

まぁ世間的にはほぼ産廃扱いだとは思いますが、
最初から見続けている身としては思い入れはありますし、
商業的には難しいためほぼ誰も採ってこなくなったので、
手元にあるものはちゃんと育てようと思ってます。

一時期、「作」が。。。と言う話によくなっていましたが、
緑三色の良株を見る機会が全く無いのは寂しい話。
まぁ、こちらでも販売用に急いでカットして作る必要が
皆無になった緑三色は趣味で育てられるので
手持ち全タイプ立派にしていきたいですね(笑)


では早速、日本で唯一のダレトク緑三色・ギャラリー(笑)




Class2の中にあった別タイプ。
Class2-R AZ0710-9
初便のClass2の中にあった別タイプ。
やや大型で模様も個性的です。
確かほぼ未リリースだったはず。
なかなか厳つい模様なんですよね。
葉の形状は通常の葉幅で長めと言った感じ。
名前のRは他のクラス2と分けるために
私が勝手にRootsのRを付けただけです。


ニアスの別産地の緑三色
2-2 AZ????-?
上手く模様が出ると葉先に向かって
燃え上がる緑の炎のようになりますが、
やや振れ幅がありますね。この株は
そこそこ大きいですが、小さくまとめると
丸葉度合いも相まって可愛く格好良くなります。
虎模様とも言えそうです。
名前の2-2ですが、私が勝手につけたものです。
ニアスの緑三色(Class2)の別産地(2産地目)と言うことで
2-2と呼び、その表記から2年2組とも呼んでました。
恐らくClass2-Rと共に当店のみオリジナル(笑)
そして2-2の特徴、葉先が針のように伸びます。
長さは安定しませんが、長い時は針の部分が
1センチ近くになります。園芸植物の芸で葉先などが
針状に伸びるのを「鈴虫剣」と言うようですが、
なるほど産卵管のようですね。
1st.チャンプールの個性派
月光 1st.Campur AZ0512-X
AZ便の中では細葉系に属すると思われます。
主脈とその周辺にだけ模様が入ることが殆ど。
ややビロードっぽいような質感も見られます。
葉の縁の強めのウエーブも特徴でしょうか。
模様はどこまでも無駄を排していますが、
主脈のみでないところが緑三色たる由縁?!
珍しく黄緑の中に地色の散りが入ってます。
主脈付近に薄い緑が見えますね。これで
緑三色です。素晴らしい(笑)
せっかくなので動画もどうぞ(笑)


一度に掲載すると記事が長くなるので3タイプくらいが
ちょうど良いと思います。
と言うわけでまた次回に続きます(笑)

2016年9月17日土曜日

ピクタム マイノリティ (1)

数年に渡って多くのタイプがもたらされたピクタムですが、
最近は入荷も落ち着いてきました。

世間一般ではとにかく派手なマルチカラーや希少性の
高いタイプが求められて来ました。 銀二色系やアチェ産の
渋めの色合いのタイプの中でもやはりビロード感であったり
模様の面積の多いものが人気です。とにかく白系色の
面積の広さ重視なところが大きいです。

みなさんのお手元にもたくさんのピクタムがやってきて
土地問題?や効率重視のために手放したタイプも
あるでしょう。例えばホシクサでいうオオシラタマ系、
エキノで言うポルト系、クリプトだとなんでしょう。
クリプトは意外とどのグループにも極少数のファンが
いるような気もしますが、クリスパチュラ系・スピラリス系
でしょうか。普通っぽいコルダータ系もそうかも知れません。
いや、クリプト好き自体も極少数でしょうけど(笑)
まぁそう言ったところが土地問題?等を理由にオミットされる
優先度合いが高いグループです。

さて、もうピンと来ましたね。ピクタムだと

「緑三色」

です。


私個人としては派手なピクタムだけが好きなのではなく。
「ピクタム」が好きなので、緑三色も興味の対象です。
もう誰も覚えていないかもしれませんが、私は一貫して
緑三色好きと言ってきました。 もちろんエウレカもアンダマンも
CWモザイクも 法皇緑もスティーリアもアチェトリカラーも
同じように 好きです。ピクタムとして見ているので自分の中では
さほど差が無いんですね。いや、好みはありますが(笑)

と言う訳で、誰得な記事。
ちょうど何タイプか見れるサイズに育ってきたことも
ありまして、緑三色を色々とシリーズでご紹介致します(笑)


まず緑三色と言えばこれ!
Class2 AZ0710-9
エウレカ、ニルバーシュと共にニアスから
やってきた緑三色の元祖です。当時の
リリースでクラス分けされていた名残で
そのまま名称がClass2になっています。
丈夫で育てやすい入門タイプとなります。
名前も草姿もカッコイイ!
Bicolor-D DFS AZ0912-1
葉の形状はClass2に近いですが、こちらの方が
印象としては細葉感がありますね。模様の面積が
Class2と比較して安定して多めです。
なかなかバランス良く模様が入っている葉です。
こちらはやや偏りがあるものの、薄い緑の中に
小さい濃い緑がわずかに飛んでいるのが良いです。
あのエウレカと同パッチ!
eu緑三色 AZ1212-5
上記の2タイプとは葉の形状が大きく異なります。
こちらはいわゆる葉っぱらしい形で大型タイプと
言った印象です。葉幅があり迫力ある草姿です。

模様の面積が地色よりも多く、緑三色と言うのが
とてもわかりやすい。The 緑三色、と言ったところでしょうか。

さすがエウレカと同じパッチですね。
エウレカっぽく模様が流れるように入っています。
ただし、上の画像のように普通の葉もありますので
毎回この模様になるわけではありません。

こうして比較するとなるほど違うような気がする、と
思って頂けるかもしれませんが、それぞれ単品で
子株の状態で見せられるとよくわかりません(笑)
緑三色こそじっくり付き合わないと理解できないように
思います。
まだいくつかタイプがありますので、次回ご紹介致します。

2016年9月5日月曜日

水草業界の分水嶺 (3)

水草業界の分水嶺 (1)
水草業界の分水嶺 (2)


前回は組織培養カップが登場し、その扱いや
メリットなどを見てみました。
それを踏まえ、今回はなぜこれが水草業界の
転換点になるのか、と言うことについて、
個人的に感じるところを。


組織培養カップによる販売は一見メリット
尽くしのように感じられたと思います。
しかしながら、ビギナーが水草を始めようと
思った時に販売水槽が無く、お惣菜のように
冷蔵庫に入ったカップを勧められてもピンと
来ません。
すぐ隣にはレイアウト水槽があって、このカップの
水草はこれです、と言う説明もあるかもしれませんが、
全ての入荷種の水中葉を網羅することは困難です。
また、初心者であればあるほど、培地から生えている
極小の植物と水中に揺らめく水草とはリンクさせ
づらいでしょう。

水草を始めてから嵌っていく過程に各ショップの水草が
入った水槽の個性と言うものが意外と大事なんじゃ
ないかと思うんです。
レイアウトはもちろんですが、レイアウトと販売水槽を
兼ねる水槽等にそのショップの個性や水草への思い入れを
感じられるわけなんですよ。
なので、組織培養カップをメインとした陳列だと
そう言う感性に訴えかけられる機会が減ると思います。

店側も、この楽で手間も維持費も大幅にカット出来る
スグレモノに慣れてしまうと、わざわざカップで
仕入れられるものを鉛巻きやポットで買わなくなる。
それらを陳列して、販売水槽でいかに綺麗に見せ、
すぐに売れなくてもロスの無いように良い状態を
キープする技を磨く必要も要りません。

これらを考えると、組織培養カップは水草売り場の
レベル、魅力の低下に結び付くように感じます。
また、アクア業界の今の流れに沿うように、どの
ショップに行っても水草売り場は同じ光景にしか
ならず、ショップの個性は失われていきます。
誰が並べても見た目は変わりませんからね(笑)


私自身は水草の人間なので基本的には1本ずつ
植えこんでる販売水槽がメインでポットや鉛巻は
あくまでサブでしかないと考えています。
なので、「個人的な偏った意見」としては、カップの
陳列に何ら心は動かないんです。

もちろん在庫管理の上で組織培養カップを上手く
取り入れることは、お店にもお客様にも利益です。
ただ、最近の傾斜度合いを見ていると、専門店に
なればなるほど、水草をある程度以上わかっている
人が販売対象となることが多いため、説明不要で
組織培養カップが売れてしまいます。
一見ビギナー向けのように思える組織培養カップは
実は専門店商材(すでにやっている人向け)なんですね。
これもまた内向き体質を助長する可能性があるかも
しれません。

販売水槽、立ち上げ中の水槽、綺麗なレイアウト、
コケまみれの水槽、無造作に水草が植えられている水槽、
それら全てがそのショップの個性です。

販売水槽の中で、何と何を隣接させれば
引き立て合うのか、この2種は並べると見た目に
喧嘩するのではないか、何と何を並べたときに
よく売れたのか、こう言うことの蓄積がショップの
「色」として前述のような水槽に滲み出るように
思うんですよ。

また、水草自身も水の中でこそ個性が光る。
リシアは大きな気泡を抱いてこそ輝くのです。
パールグラスは群生して気泡のシャワーを放つから
感動するのです。
水上葉で入荷している水草が販売水槽内で
劇的な変化と共に全く異なる水中葉になる様に
水草の適応力を見るのです。
それはレイアウト水槽内ではもちろん、何気無い
販売水槽の片隅からも見て取れるもの。


しかしながら、水草を販売したり育成したりする上で
水すら不要になってしまい、売り場作りも画一的に
なりつつあります。また、近年は多くの場合通販で
済ませてしまうことも多く、昔のように感動的な
水槽や水草との出会いの機会も激減してしまいました。

前述の通り、その後の水草人生において多大な
影響を及ぼす水槽と言うのはなにも美しい
レイアウト水槽だけではありません。
出来るだけ容易に、無駄なく、便利にを追及した結果、
何気ない設備も含めたその水槽全体や中身の
極一部からでも見て取れる膨大な情報は
もう必要とされなくなってきたのかもしれません。

水はどこに向かって流れているのでしょう。