2022年5月29日日曜日

持っておきたい水草関連書籍【6】

水草マニアと言うものは基本的に

収集や栽培自体を楽しむことが多く

レイアウトは二の次と言ったことも

しばしば。かくいう私もそんなものは

そっちのけで適当に水草を放り込むと

いった始末。。。(笑)

しかしながら少しは見れる水槽を

作ってみたくなる瞬間もあるかも

しれない。。。さりとてNAは面倒。

でもレイアウトのヒントが欲しい。

そんなマニアなあなたに(笑)















アクアティックシーンって良い響きですよね。

水草の生える水中の1シーンを切り取って

レイアウトとして再現すると言った

感じでしょうか。

もちろん自生地を完全に再現するわけではなく

イメージを水槽内に作り上げています。

アトラスレイアウトを中心に、すべての

レイアウトにコンセプトがあり、それを

表すタイトルが付いていることで

想像を掻き立ててくれます。


おすすめポイント

こういったレイアウト集の場合、

急ごしらえで直前に植えました感が半端無い

水槽が多くなりがちですが、本書に掲載される

レイアウトは多くの水草がその水槽で

繁茂しているか、完全な水中葉で生育しているので

違和感が全くありません。

吉野さんが水草を植えるのが上手いと言うのが

大きいとは思いますが(笑)

※吉野さん以外のレイアウトもあります。

各レイアウトの解説ページには配置図と名称が

書いてあるので非常に便利です。

解説文もどういったコンセプト・狙いがあって

水草や魚の種類を選定・配置しているのかを

明確にしており、製作者の意図がよくわかります。

こういう点は近年の書籍には欠けている気がします。

今はレイアウト自体が商品広告化しているから

と言う側面もあるでしょうね。


ダッチを志すなら水草の楽しみ方が必携なのと

同様に、アトラス・レイアウトを作りたい人は

本書が大いなる指針になることは間違いありません。


AQUATIC SCENE

定価2800円

1986年6月25日発売

著者 吉野敏

写真 小林道信

ISBN 4-89512-312-X

2022年5月23日月曜日

アヌビアス ~きれいな水槽植物~ Part 6 最終回

前回はマニアが好む耳付きの種類を紹介しました。
これらは流通が少ない種類が多く、採集物やその
増殖株でしか入手出来ないものが多く、まさに
コレクターズアイテムと言ったところです。
もちろん、その草姿はとてもナナ等と同じ
仲間であるとは思えないくらい勇ましく巨大な
種類が殆どで、その佇まいに魅了されるマニアも
多いかと思います(人数は少ないのですよ)。

その特徴的な草姿故、耳付きの種類は非常に
わかりやすい魅力があるのですが、実は本当に
マニアックなのはスルーされがちな細い葉や
狭い葉を持つ種類と言えます。
これらはついてくる名前がランケオラータや
コンゲンシス等と言ったファーム物で古くから
馴染みのあるものが多いためインパクトに
欠けるのですが、よくよく見ると変なのが
混ざってることがあります。

An. barteri var. angustifolia
ギニア便定番種で昔からずっと輸入されていた
バルテリィvar. アングスチフォリアです。
入荷はファーム物のように同じ物が殆ど。
トロピカから来る本種は赤くない。




















An. barteri var. ?? 
入荷名はアフゼリィでしたが
それとも違うような感じです。
その入荷の中に混じっていた
模様が入るような葉を持つ個体。
草体はアングスチっぽい。




















An. sp. 
カメルーン便のバルテリィvar. ナナとして
入荷しましたがいつものカメルーンナナとは
全く別物でした。ナナと言うよりは
草姿はグラブラと言った印象ですね。
これはすんなり水中化しました。






















An. sp. 
sp.物ですが、細葉ウェーブで
葉柄が短めだったので草姿的には
バルテリィvar. グラブラに近いタイプ
ですが、上記の物ともまた異なる感じ。



















An.
sp. 

sp. 物として入荷しましたが
同じ物の中に3~4タイプ混ざっていました。
この葉は葉先や質感が変ですね。


















An. barteri 
var. ??

バルテリィvar. グラブラとして入荷するも
全体は葉柄が長く、葉の質感も併せて
とてもそんな草姿ではない印象です。


















An. afzelii ??
入荷名はコンゲンシス。
入荷の中から葉っぱがかなり丸い株を
抜き出してみたもの。カッセルマンの
水草図鑑に掲載されている
アフゼリィに似ていて面白い。






















An. cf. heterophylla
cf. ヘテロフィラとして入荷したもの。
それにしては葉が長いようにも見えますが
葉脈の感じはヘテロフィラっぽい。














葉のアップ。個人的にはこのタイプは
結構お気に入りだったりします。
個人的には心の中で勝手に
ロングリーフコーヒーフォリアと
呼んでいるのはここだけの秘密(笑)
























An. sp. 
恐らく同じタイプ(種類)と思われますが
こちらはsp.として入荷しました。
幾分ヘテロフィラっぽくはありますが
やはり葉が細長い様に感じます。





















あの頃にあんなのが来ていたはず。。。と思い出しながら
少し遡ってピックアップしました。買えなかった、
買わなかった種類もかなり多くあったと思いますので
これでも極一部と言えるでしょう。
こういった細葉や狭い葉の種類はどうしても耳付きに
比べて購入・栽培される機会が少ないかと思います。
もちろん私もそうなのですが。。。

やはりアヌビアスは一般的にビギナー向け、入門種、
熱帯魚水槽のお飾りと言った風潮が業界内に根強く
残っています。もちろん入口はそんなものなので
それで良いのです。ただ、情報の発信側がそう言った
姿勢でいるといつまでも何も変わりません。
主な雑誌で何年も何年もそう扱われてきたので
出来上がったイメージは簡単には払拭出来ない。
1ジャンルとしては昔から確立しているものの
ワイルド物さえも安売りの対象となってしまった。
挙句の果てにはバナナネモグリセンチュウのために
カメルーンやギニアからの直接輸入は出来なくなり、
もう新たな種類が入荷することもほぼ叶わない。
今でこそマニアが大事に育てているのを見かけますが
現状がもうゴールでしょうね。

アヌビアスは水草を始めてから何年もずっと
アクアリストの側にいるような存在です。
気が付けば必ず水槽のどこかに居ていつも変わらぬ
姿を見せてくれている。たまにびっくりするくらいの
速度で枯れることもありますが。。。(笑)
そんなアヌビアス、ワイルドでもファーム物でも
お気に入りの1種を見つけて長い付き合いを
始めて見るのも悪くないと思いますよ。


アヌビアス ~きれいな水槽植物~ 
終わり。

2022年5月22日日曜日

持っておきたい水草関連書籍【5】

基本的にアクアリウムに関しては

昔から日本より海外の方が進んでいたので

あちらには水草関連の書籍にも多くの

良書が存在しています。もちろん古くから

あるため情報自体は古くなっていますが

古いと言う事は今の情報のアップデート前、

つまりその基礎になっている部分とも

言えます。なので流れを知ると言う事に

ついてはかなり有益であるでしょう。


熱帯魚関連の書籍でお馴染み
TFHの本です。なんとも
味のある表紙ですね。














中身も良い感じに古めかしく、写真もカラーと

モノクロが入り混じっていてとなんとも言えず

洋書と言った雰囲気を醸し出しています。

ページ数も多く参考になる部分も色んな意味で

多いです。

著者にビッグネームがあるのでそれだけでも

なかなかの満足感。本棚にもかなり映えます(笑)


おすすめポイント

古いからと侮るなかれ、この書籍あたりから

色々と変わっていったのかと感じることが

出来る内容です。水草として(と思われる)、

スキスマトグロッティス、アグラオネマなどが

掲載されているのもこれ以降さほど無いのでは

ないでしょうか。

日本ではかなり後になって紹介されるエキノドルスの

オパクスやホレマニー、アクアリウム用の水草として

既に知られていたと言うのもさすがと言える種類の

フロスコパやリモセラ等が掲載されています。

クリプトコリネの掲載も仏炎苞と共に多数掲載

しています。今はシノニムに落とされている学名での

掲載も多く、ある意味ためになります。

ほぼ図鑑となっており、レイアウトは無いと言っても

良いですが、現地画像が散りばめられており

なかなか良い刺激になるんですよ。


アクアリウムに用いる水草の推移や

ヨーロッパの底力が知れる良書だと思います。


aquarium plants

定価---

1977年

著者 dr. Karel rataj and thomas j. horeman

ISBN 0-87666-455-9


2022年5月15日日曜日

持っておきたい水草関連書籍【4】

 熱帯魚業界が盛り上がっていた時代は

様々な書籍や雑誌が出版されていました。

月刊誌もそうですが、不定期に発売される

ジャンルごとに特化したムックも多数

見られました。もちろん多くは熱帯魚で

プレコ、コリドラス、ドワーフシクリッド、

カラシン、等と言った具合です。

そんな中にも時折水草を取り上げたものが

あったのです。



松坂氏率いるアグアプロダクションの
Aqua magazineの別冊として発売された
Aquarium Plantsです。まさに
アクアリウムの草、ですね。
















発行元がアグアプロダクションと言う事もあり

メインは南米です。完全に水草のみとなっていて

水草好きの人は無条件で買っても良いですね。

表紙の時点でかなりヤバい(笑)

今も昔も水草の書籍自体は少ないのは変わりませんが、

本書はその内容の良さから長年水草好きには

「緑の本」的な感じで親しまれており、「アグアの

緑本に載ってたあの赤いエキノみたいなやつ」

と言った会話が成立するくらいです(笑)


おすすめポイント

前述しましたがアグアプロダクションの本なので

南米の現地写真がふんだんに使われており、非常に

見ごたえのあるものとなっています。またその中に

チラ写りしているホシクサなどを探すのも楽しみの

1つです。南米の各エリアごとに写真があり、同じ

ブラジルでも様子が大きく異なることもうかがい知れます。

図鑑の写真も美しく、ほぼ水槽内の水中葉で掲載され、

概ね流通している種類に限定されているところも

好感が持てます。当然インデックスは学名と通称名が

あり、良書の基本を押さえた内容です。

もちろん、東南アジア、アフリカの水草、現地写真も

ありますが、やはり南米が多いですね。


恐らくはこの書籍でしか見ない現地写真も多く

今現在で見てもハイレベルな内容となっており

必携書と言えるでしょう。



Aquarium Plants

定価2,500円

1990年4月1日発行

松坂實 富沢直人

ISBN----

2022年5月8日日曜日

持っておきたい水草関連書籍【3】

 水草の図鑑と言うものはそう多くありません。

ましてや多種多様な水草が掲載されて

それなりに信頼できるようなものと言ったら

更に限定されます。

近年、何度か発行されましたが直近

20年ほどで数冊程度と言ったところでしょうか。

趣味として水草水槽をやっていく上で

調べものと言うのは尽きないものです。

初めて手にする水草に対して少しくらいは

準備をして取り組みたい、と言った場合

何の仲間でどういった傾向があるのかと言う

ヒントが図鑑には隠されていることがあります。



世界の水草と言うなんとも
わくわくさせてくれるタイトル。
当時のアクアリウムに用いられた
水草の多くはここにあります。


箱入りで1・2・3と言うのは
3冊組だからなのです。
表紙も何とも趣のあるチョイス。

























こんな豪華な図鑑が出せたのは、時代の賜物なのか

先日発売された「水草おもしろ話」と同じく

採算度外視だったのか。。。それはわかりませんが

やはり著者お二方の熱量なのでしょう。

とにかく水草のことを調べるのはこの3冊で、

様々な情報が盛り込まれています。

もちろん情報は当時の物で、学名や分類等

今は見直されているものも多くあるかと

思いますが、それでも幅広い種を

取り上げていることを考慮すると

文句なしに役に立つと言えるでしょう。


おすすめポイント

まさに図鑑です!(笑)

科・属ごとに細かく分けられており、水草の

優れた書籍に共通している、学名・通称名の

両方を用いたインデックスは非常にわかりやすい。

種類ごとに学名、和名、シノニムなども

表記されており、名称を照合するのにも役立ちます。

写真は種類によって水中葉、自生地の様子、水上葉、

ビオトープ(水鉢)等になっていますが、いずれも

美しく見やすいです。

アクアリウム用の水草のみならず、日本産水草や

湿地の植物等も含まれており、自家採集物を

楽しむ際も参考になります。

とにかく水草と呼べそうな物を網羅しているので

調べものではなく単純に見ているだけでも

かなり楽しめます。


恐らく、後にも先にもこのレベルの水草図鑑は

国内で出ることは無いでしょう。

様々な条件が重なって奇跡的に出版された

図鑑だと思います。


世界の水草 1・2・3

定価 各2,200円

1994年4月1日

著者 山崎美津夫 山田洋

ISBN 4-7952-3012-9

ISBN 4-7952-3013-7

ISBN 4-7952-3014-5


2022年5月1日日曜日

持っておきたい水草関連書籍【2】

 水草関連の書籍に何を求めるか、と言うのは

大事なポイントだと思います。

【1】でご紹介した「水草の楽しみ方」を

ネイチャーアクアリウムを始めたい人に

渡してもさほど意味がありません。

目的意識を持って選択するのも必要な

事だと思います。ただし、水草と言う

趣味において情報や知識を増やしたいので

あれば、良書と言われるものはすべて

拾っておく方が良いでしょうね。

さて、今回は。。。


カッセルマンのそのものズバリ
「エキノドルス」
何とも潔いですよね(笑)
しかしこれが無いと始まらない。























エキノファン必携書の1冊です。

本書や同じくカッセルマンの水草図鑑を

ベースに話を進めないと話がまとまりません。

しかも当時は安かった。こんな素晴らしい本が

あんな値段で買えたと言うのは良い時代でした。

そしてすでにこの頃からカッセルマンは

サービス精神が旺盛でサイン入りもありました(笑)


おすすめポイント

とにかくエキノ尽くしです。当たり前ですが(笑)

写真が美しく貴重な現地写真も掲載されており

そこから様々なことをくみ取ることが出来るので

見ていて楽しいです。

やはりカッセルマンはベースがアクアリウムの人

なんでしょうね。図鑑の写真の多くが水中葉で

水槽内で育っているものとなっています。

「水草の楽しみ方」もそうですが、この「水中葉」

と言うのが個人的には結構大事なことだと

思っています。

メインは原種ですが、改良品種も代表的なものが

取り上げられています。安易にポット物の

画像を使用せずほぼ水中葉と言う素晴らしい

こだわりで、カッセルマンのエキノドルスに

対する熱量が感じ取れます。

学術的な側面も少しあり、各種の花や、葉模様、

種子の形状などにも触れています。

写真が多いのは非常にありがたい限りですね。


エキノドルスを語る上で避けることは出来ない

書籍であることは間違いありません。


Echinodorus

定価----

2001年発行

著者 Christel Kasselmann

ISBN 3-921684-98-X

ISBN 3-921684-99-4