2016年12月30日金曜日

恒例!印象に残った水草&植物 2016

2016年もいよいよ終わりに近づいています。
水草業界も観賞魚業界も氷河期真っ只中。。。
聞こえてくる業界話は、相変わらずな内容ばかり。
基本的に売れるものを作るのではなく、
売れているものを売ろうとする体質なので
物が売れなくなると沈むしかない。
数値だけ見ると下げ止まったように見えなくも
ないのでしょうけど、中身はまた別問題。


水草はと言うと。。。
入荷らしい入荷は相変わらずのペースですが、
首の皮一枚、繋がっております。
順位はそろそろ意味をなさない状態ですので
今年からは省略します。

さぁ今年も1年の締めくくりをやっておきましょう。
来年はあるのか?

※例年通りですが、「当店に入荷した」中から
選んでいます。イベントや直販のみ、他店入荷は
知らないです。



水草各種


クリプトコリネ
コメント:TB便の入荷がちらほらあるのと、神畑便でファームの
新作が稀に入荷しているのは近年変わらない感じです。
なぜかデナリーが頑張っている感じ(笑)サイズ的には
日本のアクアリウム志向になっている印象ですが、
日本を見ているわけではないんですよね。
・アポノゲチフォリア(神畑便)
まともに入荷したのが10年ぶりくらいじゃないでしょうか。
水上・水中ともに当時から維持している人が何人いるのか
わかりませんが、ネット上には出てこない。なので殆どが
失われているように思います。
再チャレンジの機会が出来て非常に喜ばしい種類。
確認はしてませんが、恐らくは昔と同じく採集したものを
ファームで養生?後にリリースと言ったところでしょう。


アヌビアス
コメント:
アフリカのワイルド便が復活!かと思いきや前半のみ。
やはり熱帯の人たちは扱いづらい(笑)
・ナナ 'Pangolino'(DENNERLE)
最近何かと頑張っているデナリー(笑)日本と同じく
あちらもパッとしないのか、小型志向が強まっている。
ブセ的な使い方が出来そうでちょっと楽しみです。
高いですけどね(笑)
・バルテリィvar.バルテリィ MUYUKA(カメルーン便)
今までバルテリィとして入荷したタイプの中では
かなり変わってるんじゃないかと思います。
私が入荷したすべてのアヌビアスを見ているわけでは
ありませんが、もしかしたらお初のタイプかもしれません。
・ハスチフォリア(ナイジェリア便)
耳が前に返るやつ。久々にこのタイプの入荷はうれしいですね。
ナイジェリアからは当然初です。
・コンゲンシス混じり(ギニア便)
丸葉が混ざって入荷。実はランケオラータかと
思っている。育てている人は画像アップしてください。


エキノドルス
コメント:何とも言えず近年は寂しい限りです。ワイルドや
それらしきものは来ているようですが、うーん。。。
まぁ多少のエビデンスはあった方が良いよね。
・ハディレッドパール斑入り(神畑便)
候補がこれくらいしか無い、と言うのが正直なところ。
斑がどのくらい安定しているのかは不明。出荷量とサイズを
考えると不安定な気がしますね。


ブセファランドラ
コメント:主にTB便で入荷しますが、ここ最近は現地の
個人や業者の輸出が増加して、それに色んな便の名前
そのものや類似した名前が付けられているので完全に
混乱しています。
パールグレイやディープパープル、ハニービー、キシイくらい
キャラが立ってないとわからないです。
・Kayu lapis4(TB便)
色とサイズが良いと思います。あの色が継続するなら
かなり目立つんじゃないかと思いますがどうでしょう?


アポノゲトン
コメント:個人的には水草最後の砦くらいに考えている
ジャンルです。純然たる水草で、未入荷種がまだまだ
控えていて水槽内での育成も難しくないグループは
もうあまり残っていないと思う。
それでいて、休眠や突然茶色くなるあの症状など
?な部分が残されている。
・トフス(神畑便)
優勝(笑)いきなりファームからやってきたオーストラリアの
北部に自生する種類。長さはともかく、葉幅や色と
言ったところが優秀。水草水槽にもってこいの1種です。
2016年はこれがMVPですかね。神畑さん、ありがとう!


有茎草
コメント:来てないんじゃないかな。。。。。
ひたすら待っているのがオランダから来ない。


シダ(水生種)
コメント:流石になかなか来ませんね。たぶんあるんだと
思いますが、今後も難しそう。。。


その他
コメント:水草の入荷自体が少なく、そのため現地採集物の
不明種がありません。
・ニムファsp.(カメルーン便)
球根じゃなく根茎になる種類はあまり来ないんじゃないかな。
ニムファはあれ待ち。。。


水草以外の植物

アグラオネマ ピクタム
コメント:2016年に入って入荷は激減。選択の余地が
あまりないかもしれない。お気に入りはちらほらと
ありました。


サトイモ科
コメント:見返してたらホマロメナフィーバーでした。
引き続きLA便で面白い種類が入荷しています。
あの頃からは想像もつかない状況ですよ。。。
・sp. Sumatera 'ぺったんこ'(LA便)
勝手のぺったんこと呼んでますが(笑)そのうち
学名が付くようです。植えれないので置くだけ草(笑)
・sp. '銀鮫'(LA便)
鮫肌の白いタイプ。次は赤かな??期待してます(笑)
・sp. '鮫肌C'(LA便)
丸葉でカワイイので気に入ってます。
・sp. Sibolga timur(AZ便)
赤と緑が入荷した中で極少数キラキラしたのが
いました。それです。
・sp. Pendang(TB便)
初ではないものの、数年間待ち望まれていた種です。
ようやく来ました。長かった、長すぎた(笑)

キリがないのでこの辺で。


シダの仲間
コメント:極々少ないヒアリング調査("Roots"調べ)によると
主軸をシダに移している人がちらほら。以前書いたと
思いますが、もう種類が頭に入らないので私自身は
詳しくないですが、種類が多いだけあって興味深いものが
多く存在します。分布も広いし。
・セラジネラ ピクタ(LA便)
以前から気になっていたのですがようやく販売することが
出来ました。おもちゃみたいなセラジ。
・ダナエア ウェンランディ(LA便)
新芽紫とか素敵です。他のコロンビア物も産地だけでも
高評価でしょう。手元にはありません。
・ドリナリアsp.Akonolinga(カメルーン便)
アフリカに居たのね。


その他の植物
コメント:まぁ色々と入荷しますが、個人的な好みと言うか、
何と言うかは傾向がありますね。
・コドノボエアcf.プミラ(LA便)
もふもふ~(笑)割とひとめぼれなので毎回LAさんに
出せますか?と。
何度も仕入れるも残らず。まぁ良いことです。
・ソネリラ プルケラ(LA便)
これも入荷時にぴくっと来ました。個体差が結構あるのか
少しずつ模様が違いました。3~4株は欲しくなる感じですね。
・メラストマsp.Smatera(LA便)
ピンクドットのやつです。なんとなく印象に残ってます。
・アルディシアsp.(LA便)
カリマンタンの凄い模様の大きい種。なんかインパクトが
ありました。ジュエルアルディシアの変わり(笑)



まとめ?!
水草は相変わらず低調です。まぁ今後もこんな感じでしょう。
トフスの様に急に変なのがファームから突然やってくるのに
期待したいです。神畑さん頑張って!!!
ピクタムは多分まだ分化の途中だと思っているので探せば
変なのは出そうですが、数年間で相当数のタイプが出ているので
よほど個性派でないとインパクトはないかもしれません。
なのでエウレカ・ニルバーシュは偉い!
丈夫で美しく、カッコイイと言う優秀な植物なので世間に
見つかると良いのですが。

陸上植物は特殊な種類を除き、設備に制約が少なく、
導入もしやすいので入荷する種類は増えています。
すでにサトイモ科とシダ類以外が多くみられるため、
次々に目新しいものが出てきていますが、それらに
どのくらい思い入れがあって、どうやって遊べるか、
ではないかと思います。こだわってこその趣味ですし。

まとめがこじんまりまとまってしまった。。。
優等生だ(笑)


2016年12月17日土曜日

エキノドルス ~アマゾンソードプラントの仲間~ Part3

90年代後半から新たに商業ルートに乗り始めた
エキノドルスのグループがあります。
そう、

「透明深緑葉系エキノドルス」

です。
このグループは一部の水草マニアの間で熱狂的な
ブームとなりました。
商業ルートとは言うものの、出元は個人なのですが
とんでもなく魅力的なエキノドルスが入荷したことは
水草業界に多大なる影響を与えたのは間違いありません。

それまではなぜか先行して来ていたポルトアレグレンシスを
片親に持つアパート、そしてホレマニーのみが辛うじて
流通していただけですが、ついに洋書でのみ知られていた
オパクスとポルトアレグレンシスそのもの、そして野生の
ホレマニーも入荷。通常の黄緑色の種類や赤系の
改良品種などのエキノドルスも大変魅力的なのですが、
この深い緑色をした、透明感のある葉は別次元の美しさを
放っていました。

使いまわし画像しか残ってませんが。。。
初便「サンタマリア」です。種類としては
ポルトアレグレンシスだと思いますが、
7本葉脈が最大の特徴で、ポルトの
良タイプと言えるでしょう。当然ながら
大きく育てないと魅力は堪能できません。

エキノドルス オパクス。
かつてはキューピーアマゾンと混同?されると言う
よくわからないことになっていましたが、本物が入荷して
間違いようが無くなりました(笑)
形状、質感、サイズ等、どれを取っても素晴らしい種です。
当時、組織培養で値崩れすると言うデマが流れました。


ご存知「ホレマニーグリーン ブロードリーフ」。
エキノドルスの王様として君臨する本種が
大きめの水槽で伸び伸びと生育する姿は
筆舌に尽くし難い美しさです。見れば必ず
誰もが一度は育ててみたくなるはずです。

こちらは同じホレマニーでも赤いタイプ。
入荷名は「スーパーレッド」
条件が揃うと驚くような色彩を見せてくれる
大変美しい個体群です。赤ワインのような
その色彩は赤黒く、水草には見えないくらいです。

エキノドルス sp. "サターン"
サタンではなくサターン、悪魔ではなく土星。
そしてローマ神話の農耕神。10年以上たっても
未だに間違えられている気がします。。。
作り物の様な堅さと不思議な凹凸を持つ葉が
大変魅力的な種類です。個人的には2000年と
2003年しか扱ってないのでそれ以外には言及
しづらいですが、2000年の個体群だけ別の様に
感じますね。ただしミレニアムなんて名前で
来てないです。あと、サターンで入荷して
サターンではなかったものがいくつか見られました。
なのでそれはサターン別タイプ、ではなく、
「別物」です。入荷名と実物が違えば、
例えその名前で入荷してもタイプ違いではなく
「別物」です。

とにかくこのグループは今までのエキノドルスとは
性質が異なり、育成や増殖の方法を確立するのに
一考の余地あり、と言った感じでした。
もちろんエキノドルスですので丈夫は丈夫ということで
色々試すことは出来たので、安定してどこかしらから
供給されるようになりました。

それもあってか投機的なブームは過ぎ去り、見かける
機会も減ったものの、なんとか日本のアクアリウムには
いくつかの種類やタイプが残ったように思います。
残るべくして残るのは、いつも言っているように、
キャラが立っているもの=一目で違いがわかるもの、と
言ったところでしょうか。

しかしながら、目にすることが無くなったタイプには興味深い
ものもあり、もう二度と見れないと思うと非常に残念です。

当時の想いはエムピージェーの年刊誌である
「AQUA PLANTS」の創刊号に深緑のエキノの育成や
タイプ分けと言う形でぶつけてありますが、今はもう
あんなパワーはありませんね。。。(笑)
なので、詳細はそこに譲ります(笑)あのころと多少見解が
変わっていることもあるのですが、今はもうそれを
どうこう言う必要性は感じません。

ホレマニー、ポルトアレグレンシス、オパクス。
すべて特筆に値する水草です。
このままアクアリウム界に残ってくれることを
願います。



さて次回は、エキノドルスの更に一歩深い所へ。

カッセルマン、元気にしてるのかな。。。


。。。続く

2016年12月2日金曜日

エキノドルス ~アマゾンソードプラントの仲間~ Part2

引き続きエキノドルスの魅力について、クリプトコリネ同様
私の主観で書いていきたいと思います。


魅力としては、まずは入手、栽培ともに容易な点が
挙げられるでしょう。
Part1で述べた通り、何気なく植えた水草がアマゾンソード、
すなわち「Ech.ブレヘリィ」だったり「Ech.アマゾニクス」です。
これらの種類は「丈夫」「安い」「綺麗」と三拍子揃った
水草です。
もうこれだけでも凄いことなのに、これが入門種である
エキノドルスはとにかく偉い(笑)

また、エキノドルスは南米産と言うことからとにかく
お馴染みの熱帯魚たちに似合う。
初めて買ったネオンテトラから、ハマりにハマった
珍カラコレクション、小型魚に使う金額のリミッターが
外れたアピスト、底が見えないコリドラスコレクション。
そう言った魚たちが泳ぐ水槽にはエキノドルスが
違和感なくマッチします。むしろ、無い方がおかしい
くらい言っても過言ではない(笑)
立派に育ったアマゾンソードの葉の間を泳ぐカラシンや
葉の上で休むコリドラスなどは可愛らしいものです。


エキノドルスはロゼット型と言う形状のため、葉が放射状に
展開します。そのため、これでもかと存在を主張します。
そう、この存在感!水槽の中の主役たるに相応しい。

写真があまりよくありませんが、
自己主張してる感はよく伝わるかと(笑)
モデルはAZ1110-8モンテカルロ3。
ナローリーフっぽいホレマニーです。

特に近年のレイアウトでロゼット型の水草、特に
エキノドルスが使われない理由としては、この存在感が
あるのだと思います。単体で放つこの圧倒的なパワーを
捌き切れないと言ったところでしょうか。
個人的にはレイアウトはダッチスタイルが好きなのですが、
このロゼットの扱いにおいて、ネイチャー系のレイアウトと
決定的な違いがあるんですね。最近の人だとこの言葉を
使ったことが無いかもしれない、「センタープラント」と言う
概念です。

少し前に有茎を並べてみた水槽です。
今は水上が出たり棚引いたりしてますが。。。
画像中央の'グイアネンシス'がもう少し伸びると
良い感じのセンタープラントになるのではと
思います。左のホレマニーと右のエキノらしき
水草は移動が困難なため、動かさずに有茎を
配置してあります。奥行45cmはちょっと厳しい。
ただし、本人はロゼットの3点である程度
バランスはとっているつもり!?(笑)

また、ネイチャーアクアリウムでは以前物議を醸した?
「例えそれが子株であっても、大型化するイメージが
あるため、大きくなる水草を前景付近に植えない。」と言う
縛りがあります。
上の画像がまさにそれですね。
その辺りのこともあってか、エキノドルスがレイアウトに
使用されることが減ったために、書籍等でなかなか
レイアウトに佇むエキノドルスの雄姿を見ることが
無くなってしまったのだと思います。

ただし、エキノドルスの本当の魅力はそこではありません。


Ech.ウルグアイエンシスです。
この圧倒的な存在感!!1株に水槽を明け渡しても
良いと思わせるのはエキノドルスならではです。
草単体が放つパワーが凄い!こうなるとレイアウト云々の
次元ではないことがご理解いただけるかと思います。
いかなる技巧も作為もこの存在感の前には無意味なのです。
Ech.ポルトアレグレンシスです。
本種は様々なタイプがありますが、これは
ごく初期に入荷した葉が立つタイプです。
画像が古い上、デジカメのスペックが
低かったこともあり見づらいですが、
何者も寄せ付けない圧力を感じます!!
左上にB.モーリーとサイアミーズが居るので
サイズを想像してみて下さい。


この存在感は底床にしっかりと根を下ろし、勢いよく
水中葉の展開が始まったころからその片鱗を見せるので
一度植えたら動かさない覚悟で見守りましょう。
そう、これは根張りのなせる業なのです。
しかしながら、このようなエキノドルスの見事な大株を
見る機会はほとんどなくなってしまいました。
その理由の1つとしては、やはり以前から指摘している
業界の動向と日本自体が抱える理由に因るところが
あると思います。

もちろん、楽しみ方は大きくするだけではありません。
冒頭にも述べた通り、カラシンやアピスト、コリドラス
と言った南米の熱帯魚たちに似合うのはエキノドルスです。
現地に想いを馳せるレイアウトにはエキノドルスは最適。
その際には、やはり好きなだけ大きくなってもらっては
困りますので、ちゃんとコントロールしてレイアウトに
収まってもらう訳です。
誤解の無いように言っておきますが、ネイチャー系の
レイアウトにもエキノドルスは使えると思ってますよ。
色んな条件はありますが(笑)


次回はエキノドルスの中でも特殊なグループについて
書きたいと思います。


。。。続く