近年、水草関係の謳い文句に「癒し」と言う単語が頻繁に使われるように
なりました。
日本においては、世界的金融危機などの追い打ちもあり、閉塞感が
漂う状況が続いており、ストレス社会となっていることも否定できません。
そういった中、ストレス解消や癒しと言ったキーワードで様々な商品や
サービスが提供されているのは周知の事実であります。
緑(植物)を見ることは、目にも優しく、精神的にも落ち着くと言った作用も
あるのでしょう。
水草も植物です。同様に癒し効果があるのかどうか、考えたいと思います。
確かに美しくレイアウトされた水槽や、活き活きと生育している水草を
見ると「綺麗」・「癒される」等の声を聞くことがあるかと思います。
しかしながら、それは第3者的な視点であり、その水槽・水草の管理・育成を
している側、すなわち私たちはどうなのでしょう?
確かにレイアウトの完成直前や育成難種が育った際の喜びや満足感は
あるでしょう。みなさんも思い返してください。まず、セッティング前には
器具類の選定があります。メーカー、価格、スペックなどトータルでの
費用対効果を追求します。それにはネットショップの価格を比べたり
ショップのセールを待ったりします。
次にセッティングですが、空の水槽からはじめる場合はともかく、リセットとなると
それは大変な労力です。
そして、水を張った翌日から藻類発生を防ぐための戦いになるでしょう。
セッティングの後は、二酸化炭素の量が不安定となったり、フィルターの
アクシデントなど多くのトラブルの要素がつきまとうものであります。
水草を買いそろえる際も、価格・種類・状態等納得してスムーズに準備できる
ことは稀です。
植栽後は育成ですが、育つもの・育ちが悪いものの差が出始めたり、やはり
藻類の発生が見られたりと四苦八苦です。
上手く育てばトリミングに追われ、育たなければ藻類とのせめぎ合いとなります。
また、入荷が立て続けにあったり、物入りの時に限って欲しい草が入荷したりと
買いたいのに買えない状況もあることでしょう。
クリプトコリネやホシクサが翌日に溶けていることもしばしばあることです。
もちろん、そう言ったすべての過程を楽しんでいると言えば、なるほど
その通りです。しかしながら、その際には程度の差こそあれストレスを感じる
こととなるでしょう。
つまり、水草水槽は決して「癒し」ではなく、それなりのストレスなのです。
ストレスは一概に害ではありませんので、問題はないのですが、
水草水槽=癒し、という構図は決して正しいとは考えられません。
見るだけの人にとっては綺麗な水草水槽は癒しになるかもしれません。
また、状態の良い水槽を維持できている間は見ていると嬉しい気持ちになります。
しかしながら、やはり日々の水槽周辺の出来事に振り回されることを
考えると、管理者側=ショップで買い物をするユーザーとしての結論は
「水草水槽、即癒し、と言うのは全体像を捉えてはいない」
と言わざるを得ません。水草水槽=癒しと言うのは、基本的には日々の管理を
する人「以外」に当てはまる構図であります。
水草水槽は戦いであり、自己実現であり、自己表現であり、自己満足です。
さて、みなさんはいかがでしょう?
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