2016年10月2日日曜日

ピクタム マイノリティ (3)

さて、今回も引き続き廃盤商品的緑三色のご紹介です。
ただし、どこかの商品とは異なり価値は上がりません。
ひたすら自分の趣味への邁進であり探求であります(笑)

第1回、第2回、ともにAZ便のピクタムでした。
まぁ物量を考えると当然の結果ですが、緑三色を
明確にここまで分けてリリースしている、つまり各地で
緑三色を採集しているのもAZ便だけという見方も出来ます。
副産物的ではあると思いますが(笑)
それでも個性ある緑三色を単なる緑三色(またはバイカラー)で
埋没させずに済んだのはまたこのおかげです。
ただし、世間的にはとっくに沈み切っていますが。。。

と言う訳で今回もAZ便緑三色づくし!



女子中学生シリーズ(笑)
JCS-b バイカラー AZ1212-1
JCSシリーズの緑三色。育成当初はほどほどだった株が
大きくなるにつれ2色目の面積が広がってきました。
ちょっと珍しいパターンですね。移動を頻繁に行ったのが
奏功したのか撮影時点ではなかなか綺麗に葉が展開してます。


右側の葉は葉先から半分くらいは殆ど地色が
ありません。ライトグリーンデビルですね(笑)
これが付け根まで広がるとかなり凄い!

イレギュラー産地?ちょっと独特。
Pandang AZ0213-3
独特の色合いと言うか質感と言うか。。。
必ず絣模様が入るところもまた良いですね。
PandangであってPadangではないです。
絣模様の面積が増えるにつれ、その独特の
雰囲気が更に不思議な感じを与えていると思います。
個人的な印象としては「木版画」っぽいと思っています。

葉脈に入る黄緑と絣模様、そして3色目の緑が
融合するとこれがまた何とも言えない。
AZ便屈指の細葉
サイレントナロー"スイカ" AZ0912-3
明らかに細葉です。風車してます(笑)
カッコイイですね。
そしてしっかり緑三色(笑)
良い感じの比率とコントラスト。
葉先付近に模様が寄り気味になっていると
ちょっと変な感じですね(笑)
風車してやるぞ、的な形になってますね。


いかがでしたか?AZ便の緑三色は本当にバラエティに富んでいます。
もちろん全てではないにしろ、緑三色だけでこれくらいの差を生み出す
ピクタムが凄いですね。

次回は気分を変えて(変わるのか?)AZ便以外の緑三色をご紹介します。
と言ってもサンプルはかなり少ないので番外編と言ったところでしょうか。

その後もう1回くらい出来そうです(笑)




2016年9月22日木曜日

ピクタム マイノリティ (2)

前回から引き続き、個人的に魅力満載のピクタムである
緑三色にスポットを当てます。

まぁ世間的にはほぼ産廃扱いだとは思いますが、
最初から見続けている身としては思い入れはありますし、
商業的には難しいためほぼ誰も採ってこなくなったので、
手元にあるものはちゃんと育てようと思ってます。

一時期、「作」が。。。と言う話によくなっていましたが、
緑三色の良株を見る機会が全く無いのは寂しい話。
まぁ、こちらでも販売用に急いでカットして作る必要が
皆無になった緑三色は趣味で育てられるので
手持ち全タイプ立派にしていきたいですね(笑)


では早速、日本で唯一のダレトク緑三色・ギャラリー(笑)




Class2の中にあった別タイプ。
Class2-R AZ0710-9
初便のClass2の中にあった別タイプ。
やや大型で模様も個性的です。
確かほぼ未リリースだったはず。
なかなか厳つい模様なんですよね。
葉の形状は通常の葉幅で長めと言った感じ。
名前のRは他のクラス2と分けるために
私が勝手にRootsのRを付けただけです。


ニアスの別産地の緑三色
2-2 AZ????-?
上手く模様が出ると葉先に向かって
燃え上がる緑の炎のようになりますが、
やや振れ幅がありますね。この株は
そこそこ大きいですが、小さくまとめると
丸葉度合いも相まって可愛く格好良くなります。
虎模様とも言えそうです。
名前の2-2ですが、私が勝手につけたものです。
ニアスの緑三色(Class2)の別産地(2産地目)と言うことで
2-2と呼び、その表記から2年2組とも呼んでました。
恐らくClass2-Rと共に当店のみオリジナル(笑)
そして2-2の特徴、葉先が針のように伸びます。
長さは安定しませんが、長い時は針の部分が
1センチ近くになります。園芸植物の芸で葉先などが
針状に伸びるのを「鈴虫剣」と言うようですが、
なるほど産卵管のようですね。
1st.チャンプールの個性派
月光 1st.Campur AZ0512-X
AZ便の中では細葉系に属すると思われます。
主脈とその周辺にだけ模様が入ることが殆ど。
ややビロードっぽいような質感も見られます。
葉の縁の強めのウエーブも特徴でしょうか。
模様はどこまでも無駄を排していますが、
主脈のみでないところが緑三色たる由縁?!
珍しく黄緑の中に地色の散りが入ってます。
主脈付近に薄い緑が見えますね。これで
緑三色です。素晴らしい(笑)
せっかくなので動画もどうぞ(笑)


一度に掲載すると記事が長くなるので3タイプくらいが
ちょうど良いと思います。
と言うわけでまた次回に続きます(笑)

2016年9月17日土曜日

ピクタム マイノリティ (1)

数年に渡って多くのタイプがもたらされたピクタムですが、
最近は入荷も落ち着いてきました。

世間一般ではとにかく派手なマルチカラーや希少性の
高いタイプが求められて来ました。 銀二色系やアチェ産の
渋めの色合いのタイプの中でもやはりビロード感であったり
模様の面積の多いものが人気です。とにかく白系色の
面積の広さ重視なところが大きいです。

みなさんのお手元にもたくさんのピクタムがやってきて
土地問題?や効率重視のために手放したタイプも
あるでしょう。例えばホシクサでいうオオシラタマ系、
エキノで言うポルト系、クリプトだとなんでしょう。
クリプトは意外とどのグループにも極少数のファンが
いるような気もしますが、クリスパチュラ系・スピラリス系
でしょうか。普通っぽいコルダータ系もそうかも知れません。
いや、クリプト好き自体も極少数でしょうけど(笑)
まぁそう言ったところが土地問題?等を理由にオミットされる
優先度合いが高いグループです。

さて、もうピンと来ましたね。ピクタムだと

「緑三色」

です。


私個人としては派手なピクタムだけが好きなのではなく。
「ピクタム」が好きなので、緑三色も興味の対象です。
もう誰も覚えていないかもしれませんが、私は一貫して
緑三色好きと言ってきました。 もちろんエウレカもアンダマンも
CWモザイクも 法皇緑もスティーリアもアチェトリカラーも
同じように 好きです。ピクタムとして見ているので自分の中では
さほど差が無いんですね。いや、好みはありますが(笑)

と言う訳で、誰得な記事。
ちょうど何タイプか見れるサイズに育ってきたことも
ありまして、緑三色を色々とシリーズでご紹介致します(笑)


まず緑三色と言えばこれ!
Class2 AZ0710-9
エウレカ、ニルバーシュと共にニアスから
やってきた緑三色の元祖です。当時の
リリースでクラス分けされていた名残で
そのまま名称がClass2になっています。
丈夫で育てやすい入門タイプとなります。
名前も草姿もカッコイイ!
Bicolor-D DFS AZ0912-1
葉の形状はClass2に近いですが、こちらの方が
印象としては細葉感がありますね。模様の面積が
Class2と比較して安定して多めです。
なかなかバランス良く模様が入っている葉です。
こちらはやや偏りがあるものの、薄い緑の中に
小さい濃い緑がわずかに飛んでいるのが良いです。
あのエウレカと同パッチ!
eu緑三色 AZ1212-5
上記の2タイプとは葉の形状が大きく異なります。
こちらはいわゆる葉っぱらしい形で大型タイプと
言った印象です。葉幅があり迫力ある草姿です。

模様の面積が地色よりも多く、緑三色と言うのが
とてもわかりやすい。The 緑三色、と言ったところでしょうか。

さすがエウレカと同じパッチですね。
エウレカっぽく模様が流れるように入っています。
ただし、上の画像のように普通の葉もありますので
毎回この模様になるわけではありません。

こうして比較するとなるほど違うような気がする、と
思って頂けるかもしれませんが、それぞれ単品で
子株の状態で見せられるとよくわかりません(笑)
緑三色こそじっくり付き合わないと理解できないように
思います。
まだいくつかタイプがありますので、次回ご紹介致します。

2016年9月5日月曜日

水草業界の分水嶺 (3)

水草業界の分水嶺 (1)
水草業界の分水嶺 (2)


前回は組織培養カップが登場し、その扱いや
メリットなどを見てみました。
それを踏まえ、今回はなぜこれが水草業界の
転換点になるのか、と言うことについて、
個人的に感じるところを。


組織培養カップによる販売は一見メリット
尽くしのように感じられたと思います。
しかしながら、ビギナーが水草を始めようと
思った時に販売水槽が無く、お惣菜のように
冷蔵庫に入ったカップを勧められてもピンと
来ません。
すぐ隣にはレイアウト水槽があって、このカップの
水草はこれです、と言う説明もあるかもしれませんが、
全ての入荷種の水中葉を網羅することは困難です。
また、初心者であればあるほど、培地から生えている
極小の植物と水中に揺らめく水草とはリンクさせ
づらいでしょう。

水草を始めてから嵌っていく過程に各ショップの水草が
入った水槽の個性と言うものが意外と大事なんじゃ
ないかと思うんです。
レイアウトはもちろんですが、レイアウトと販売水槽を
兼ねる水槽等にそのショップの個性や水草への思い入れを
感じられるわけなんですよ。
なので、組織培養カップをメインとした陳列だと
そう言う感性に訴えかけられる機会が減ると思います。

店側も、この楽で手間も維持費も大幅にカット出来る
スグレモノに慣れてしまうと、わざわざカップで
仕入れられるものを鉛巻きやポットで買わなくなる。
それらを陳列して、販売水槽でいかに綺麗に見せ、
すぐに売れなくてもロスの無いように良い状態を
キープする技を磨く必要も要りません。

これらを考えると、組織培養カップは水草売り場の
レベル、魅力の低下に結び付くように感じます。
また、アクア業界の今の流れに沿うように、どの
ショップに行っても水草売り場は同じ光景にしか
ならず、ショップの個性は失われていきます。
誰が並べても見た目は変わりませんからね(笑)


私自身は水草の人間なので基本的には1本ずつ
植えこんでる販売水槽がメインでポットや鉛巻は
あくまでサブでしかないと考えています。
なので、「個人的な偏った意見」としては、カップの
陳列に何ら心は動かないんです。

もちろん在庫管理の上で組織培養カップを上手く
取り入れることは、お店にもお客様にも利益です。
ただ、最近の傾斜度合いを見ていると、専門店に
なればなるほど、水草をある程度以上わかっている
人が販売対象となることが多いため、説明不要で
組織培養カップが売れてしまいます。
一見ビギナー向けのように思える組織培養カップは
実は専門店商材(すでにやっている人向け)なんですね。
これもまた内向き体質を助長する可能性があるかも
しれません。

販売水槽、立ち上げ中の水槽、綺麗なレイアウト、
コケまみれの水槽、無造作に水草が植えられている水槽、
それら全てがそのショップの個性です。

販売水槽の中で、何と何を隣接させれば
引き立て合うのか、この2種は並べると見た目に
喧嘩するのではないか、何と何を並べたときに
よく売れたのか、こう言うことの蓄積がショップの
「色」として前述のような水槽に滲み出るように
思うんですよ。

また、水草自身も水の中でこそ個性が光る。
リシアは大きな気泡を抱いてこそ輝くのです。
パールグラスは群生して気泡のシャワーを放つから
感動するのです。
水上葉で入荷している水草が販売水槽内で
劇的な変化と共に全く異なる水中葉になる様に
水草の適応力を見るのです。
それはレイアウト水槽内ではもちろん、何気無い
販売水槽の片隅からも見て取れるもの。


しかしながら、水草を販売したり育成したりする上で
水すら不要になってしまい、売り場作りも画一的に
なりつつあります。また、近年は多くの場合通販で
済ませてしまうことも多く、昔のように感動的な
水槽や水草との出会いの機会も激減してしまいました。

前述の通り、その後の水草人生において多大な
影響を及ぼす水槽と言うのはなにも美しい
レイアウト水槽だけではありません。
出来るだけ容易に、無駄なく、便利にを追及した結果、
何気ない設備も含めたその水槽全体や中身の
極一部からでも見て取れる膨大な情報は
もう必要とされなくなってきたのかもしれません。

水はどこに向かって流れているのでしょう。

2016年8月28日日曜日

水草業界の分水嶺 (2)

前回は水草が供給される流れの変化を
見てみました。
今回は流通も含めた販売方法が迎えた
大転換点を考えてみたいと思います。


さて、その転換点とは。。。


「組織培養カップ」


の登場です。

もちろん昨日今日出てきたわけではありませんが、
これが主流になろうかと言う雰囲気が出てきています。
組織培養カップのメリットは、輸送や陳列、梱包が
容易になり簡略化できる点です。
他にはよく言われるコケやスネール等の混入を
防止できるということもあります。

更にファームから問屋では植物検疫でのリスクが
大幅に下がり、空港で処分されることはまず無いと
思います。
そして問屋~ショップにおけるメリットとして挙げた
前述の内容をより具体的な例と共に見てみましょう。


デナリーのヒット作、クリプトコリネsp.'フラミンゴ'
本種は組織培養カップでしか入荷しません。




















・ストックの容易さ
これは問屋、ショップ共通です。涼しい所に
並べるだけ。まぁ弱光当てておけばOKですかね。
あと、更に低温にしておけば日持ちがします。
専用冷蔵庫も発売されました(笑)

・梱包の簡略化
特に問屋の場合は全国各地への発送があります。
水草の場合は、ポット、鉛巻、バラ株、そして
昨今の観葉植物への流れでそれらも一緒に
発送することが多くなっています。
そして当然上記すべて、梱包の方法が異なるため、
これは人の手でやるしかないので、物凄く手間。
カップならビニール袋に重ねてぽいっと入れるだけ。
小売りの場合も水槽から出して、袋に入れ、輪ゴムで
縛り。。。と言うことをしなくて良いので、問屋と同様に
時間も手間も減らすことができます。

・陳列の簡略化
最近の水草専門店(あるのか?)や水草に注力
しているショップにおいてもカップとなると、既に
水槽すら不要な訳で、水槽を使わないと言うことは、
底床・二酸化炭素の添加、強めの照明、当然ながら
水すら必要でないため、換水も不要。コケの心配も
無し。そうなると経費はもちろん、手間やスペースの
大幅な削減が可能です。必要なものは棚とLED1灯のみ。
もしくは、冷蔵庫内に並べるだけ。

・補足
ファーム目線で考えてもメリットがあると思います。
アヌビアスやクリプトコリネなどは、蘭と同じく
組織培養で生産した苗をある程度のサイズでポットに
植えて、そこから出荷サイズに育成するわけですが、
その育成過程をユーザーに丸投げできる(笑)
昔と違って組織培養の効率は上がっているでしょうから
育成前の段階で販売出来るとなると、出荷サイクルが
早くなり、かなりコストダウンになるのではないかと
想像します。




この組織培養カップは、当初は逆に珍しく、東南アジアの
ファームものが最初だったような。。。ここは記憶が
はっきりしませんが、まぁ入荷したらちょっと物珍しい
感じでしたね。
そうこうするうちにトロピカやアヌビアスと言った
ヨーロッパのファームから少しずつ入荷するように
なりました。徐々に拡大しているところを
見ると、どうしてもこちらに傾いてきているようです。
そして、国内のいくつかの業者からの供給も
始まっています。

トータルで見るとかなりの種類数になってきています。
しかもトロピカの生産に拍車がかかっているのと、
ADAがカップ用の冷蔵庫を特約店に販売したのを
見る限り、かなり注力しているように感じます。


一見、良いこと尽くしのようにも見えますが、
そう感じるのは、アクア業界の体質に慣れ過ぎて
いるからです。
これは前述通り、供給側のメリットが殆どです。
もちろん、コケやスネールを持ち込まないと
言うのは、ユーザーにとってありがたいこと
てしょうし、小さいくはないメリットなのかも
しれません。


ただ、そのメリットと引き換えに失うものがいくつも
ある様に私は感じています。
次回はその点を考えてみたいと思います。


。。。続く


2016年8月11日木曜日

水草業界の分水嶺 (1)

最近の水草の流通はどうなっているのでしょう?

昔から変わらないのは、海外のファームから
問屋が輸入して、それを小売店が仕入れる。
または、主に九州の阿蘇あたりの国内ファームから
問屋が仕入れ、それを小売店に販売する。
その2点だったと思います。

昔から魚などはあったと思いますが、南米有茎や
エキノドルスブームの頃からは、小売店が栽培したものを
問屋に卸す、と言う逆方向への流通も目立つように
なりました。

そして更に近年の傾向として、メーカーなどが器具ではなく
水草を販売することに注力し始めたことが、個人的には
意外と大きな動きだったと感じています。
これは器具だけでは利益率の改善が見込めないことや、
販売数(売上高)の伸び悩み・減少に起因するのだと思います。

そもそも良いものを作れば売れる、当然良いものは
それなりの価格になる、と言うのが普通ではあります。
そしてしばしば趣味の世界ではそれがある程度通用する
ことがあります。理想的ですね。
しかしながら良いものはそもそも壊れにくい上に、
それなりの価格と言う点、併せて使い続けて愛着が湧く、
と言うことを考えると短期間での回転が見込みづらくなります。

景気が良く、誰もが趣味に時間もお金もかけることが
出来るご時世であれば、その良いものが新規ユーザーに
売れ、ヘビーユーザーは古くなったりデザインが変われば
新たに買い直す、と言う需要が見込めますが、現状は
まったく期待できません。
そうなると消耗品で、となるのですが、そもそも水草水槽で
考えた場合、殆ど消耗品が無いんですね。

詳細を見てみましょう。

<年単位で買い替えることはないもの>
・水槽
・照明
・フィルター
・キャビネット
・CO添加器具類
・タイマー
・ハサミ
・ピンセット
など

<数か月単位で買い替えることはないもの>
・底床
・肥料類
など

<1か月程度で買い替えるもの>
・CO2小型ボンベ

しかしながら小型ボンベは水草をやればやるほど
業務用の大型ボンベを使うようになりますし、
現状、小型ボンベを使うライトユーザーの人数が
拡大しているとは考えられません。

さぁ、あとは何が残っているでしょう?(笑)
そうですね、水草と魚・エビ類(いわゆる生体)です。
更に、自社で効率よく低コストで生産出来て、
輸送コストやリスクが低いのはどちらでしょう。

もうおわかりですね。

「水草」

です。

不文律みたいなものはそのうち破られるものでは
ありますが、例えば問屋が小売りをやる。
まぁ大卸価格で仕入れて小売りが出来るのだから
価格面では絶対的に有利ですよね。
小売店からしたら完全に反則です。なので、
「基本的には」やらない。まぁやってますけど。

もちろん、誰が水草を小売店に卸すのかは自由です。
決まりなんてありません。
ただ、メーカーが水草を生産してショップに直接卸すと
いうことは、つまり水草を輸入したり、国産ファームから
仕入れて小売店に卸している問屋の領域を食う訳です。

これも流れとしては仕方がないのかもしれません。
以前にも申し上げたと思いますが、市場に対して
業者がまだ多すぎます。干上がる池の僅かな水の
中に魚がひしめき合ってるのですから。
どうあがいても販売数が伸びないのであれば、
利益率を上げるしかありません。そうなると
発想としては水草の生産に行きつくわけです。
水草に携わっている商売人として当然の成り行きだと
思います。


そして現在、上記の流通の変化に加え、水草の販売方法は
大きな転換点を迎えたのです。

次回はそこを掘り下げていきたいと思います。


。。。続く


2016年6月20日月曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part4-2 最終回

さて、引き続きクリプトコリネの魔力である
「溶け」についてです。


前回のPart4-1の最後でやや脱線しましたが、
本線に戻って。。。

溶けた際にしなければならないことは
「ひたすら換水」と「溶けた葉の除去」です。
もちろん、設備上の不具合等も解消しなければ
なりません。
私は葉を出来るだけ多く残したいので、部分的に
溶けている場合は、その溶けた箇所だけ手で
擦り落として吸い出します。
翌日、同じ部位の溶けが進行していれば更に
擦り落として吸い出します。
これはかなり少数派、と言いますか、恐らく日本で
私だけじゃないでしょうか(笑)
人によっては少しでも溶けていたら付け根から
カットすると思いますが、私は生きている箇所は
全部残します。
なぜかと言うと、その部分は溶けが収束したら
そのまま残るからです。

先端や縁が溶けてしまった葉。
溶けが進行中に溶けた部分を吸出し、
溶けたら吸い出しを繰り返し、溶けが収束
したので、葉の60%程度が残りました。

こちらは葉の大部分を失ってしまいました。
しかしながら、ここで溶けは止まり、なんとか
生き残りました。なんともいじらしいですね。。。



個人的にはこの溶け残った葉にも役割があると考えています。
また、前述の斑点だらけになってしまった葉も、換水を続けて
対処していると、そのまま溶けないこともよくあります。
溶けの嵐の中を耐え抜いたこれらの葉は、見た目も良くなく、
今にもまた溶けそうな印象があるのですが、全体の溶けが
完全に止まれば、これらの葉の溶けの進行も止まります。
そして役割を果したら、すっ。。。と枯れていきます。
この「枯れ」も見た目は溶けているように見えますが、
悪い「溶け」ではありません。私はこれを「枯れ溶け」と
勝手に呼んでいます。

枯れ溶けが始まったところです。大溶け時に
葉先をいくらか失っていたのですが、耐え抜き、
状況が安定→好転したところで、役目を終えました。

こちらは更に枯れ溶けが進んでいます。
大溶け時の葉が崩壊していく感じと異なり、
葉の形を残して中身だけ抜けていくような
印象です。この場合、基本的に溶けは
他の葉に広がるようなことはありません。


大規模な溶けは油断した時に必ずやってくるので、
クリプトコリネからの警告なんだと思ってます。
「お前がさぼってるから、手抜きしてるからこうなるんだぞ。」
「さぁ、なんとかしてみろ。」
あたふたと必死で毎日換水して、なんとか溶けが収まり、
換水ペースを徐々に落として、通常通りに戻った後に
待っているのは。。。


破壊後の大復活です。


以下の仮説等は個人的な想像で、主にヒュードロイ水槽での
出来事なので科学的根拠は全くありませんが、私は、
溶け=細胞の崩壊、と認識していて、細胞が崩れることに
よって中身が流出するために水槽と言う閉鎖環境では
短時間で水が一気に濃くなり(クリプトの溶けるスピードは速い)、
更なる溶けを誘発する、と考えて対処行動を組み立てています。

※現地での溶けは見たことありますが、水槽の
それとはちょっと違うと思います。

溶けが収束して、再生が果たされる時には、植物体の量が
大幅に減っている上に、流出した成分が栄養素となり、
また、繁茂していた葉に覆われていた各株の生長点にも
光が当たる様になるので、必ず以前よりもしっかりとした、
色の濃い葉が展開します。
頻繁な換水をしているため、殆どは水槽の外に取り出されて
いるようにも思いますが、それまでの貧栄養の安定環境とは
異なる養分の組成になっている印象です。

単に光が当たる様になったから茶色が出ると言うことであれば、
絶好調時において有茎草のように水面に棚引いている葉が
茶色にならないとおかしいのですが、そうはなりません。
また、大溶けの後半から復活の過程で必ず同じことが起こります。
「珪藻の発生」と「ミジンコ類の発生」です。
珪藻やミジンコ類は常にどこかには存在しているのですが、
この時は普段より多めに見られるようになります。
珪藻は安定してくると普段通りの量に戻ります。ミジンコはその後
しばらくは多め見られます。イメージとして水槽の立ち上げが
上手くいった感覚に近いです。

完全に環境が落ち着いたようで、減少したもの
まだ見られる珪藻とミジンコの類。


黄色っぽい葉が大溶けを耐え残った葉です。
復活して隙間なく新しい葉が茂りつつあります。
大溶けの後は底床が丸見えになるくらい
スカスカになるので、かなりテンションが下がります(笑)


今回は復活の最中に蛍光灯からLEDに
照明を変更しました。すると今までとは明らかに
異なる葉の展開が見られました。葉幅が広いです。
約20年の中で初めて見る葉の形状です。

この大復活こそが、私がクリプトコリネの水中育成がやめられない
大きな理由の1つです。この一瞬の達成感を味わうために
すべての苦労があるのです。それまでは苦行ですよ(笑)
溶け=クリプトからの課題だったりするわけですが、その課題を
見事クリアすると与えられるご褒美として、更に美しい群生を
見せてくれる。そしてまだアクアリウムの世界では説明されていない
この溶けと復活の不思議なプロセス。こんなところにクリプトの
魅力はあるのだろうと思います。

つまり、環境が変わるたびに溶けたり葉色や形状を変化させたりと
こちらの行動がはっきりと反映されるところが魅力と言うわけです。
そして、上の画像のような群生を維持するのに行うことは、
リシアのような煩雑な巻き直しやこまめな栄養素の添加、
有茎草における頻繁なトリミングなどではなく、たった1つだけ。
定期的な換水のみ。渓流系の場合はこれに尽きます。
(ピートスワンプ系は少々異なりますが)
ひたすら無駄な行為はそぎ落としていき、ひたすら当該種の好む
環境へと時間をかけて水槽を作り上げていく。凄いことの
ようですが、やってることは観察と換水だけ。そう、基本的には
楽なんですね。
こんなことだけで、たった1種が20年も飽きることのない姿を
見せ続けてくれる水草、クリプトコリネ。


販売されているクリプトコリネを前に悩んでいるみなさん、まず
ダメ元でも良いのでご自宅の水槽に植えてみると良いと思います。
きっと他の水草では体験できないことがあるはずですよ。

今はもう無い、HBD「Hans Barth Dessau」の札。



クリプトコリネ ~この美しい水草~
ひとまず終わり。