2016年9月5日月曜日

水草業界の分水嶺 (3)

水草業界の分水嶺 (1)
水草業界の分水嶺 (2)


前回は組織培養カップが登場し、その扱いや
メリットなどを見てみました。
それを踏まえ、今回はなぜこれが水草業界の
転換点になるのか、と言うことについて、
個人的に感じるところを。


組織培養カップによる販売は一見メリット
尽くしのように感じられたと思います。
しかしながら、ビギナーが水草を始めようと
思った時に販売水槽が無く、お惣菜のように
冷蔵庫に入ったカップを勧められてもピンと
来ません。
すぐ隣にはレイアウト水槽があって、このカップの
水草はこれです、と言う説明もあるかもしれませんが、
全ての入荷種の水中葉を網羅することは困難です。
また、初心者であればあるほど、培地から生えている
極小の植物と水中に揺らめく水草とはリンクさせ
づらいでしょう。

水草を始めてから嵌っていく過程に各ショップの水草が
入った水槽の個性と言うものが意外と大事なんじゃ
ないかと思うんです。
レイアウトはもちろんですが、レイアウトと販売水槽を
兼ねる水槽等にそのショップの個性や水草への思い入れを
感じられるわけなんですよ。
なので、組織培養カップをメインとした陳列だと
そう言う感性に訴えかけられる機会が減ると思います。

店側も、この楽で手間も維持費も大幅にカット出来る
スグレモノに慣れてしまうと、わざわざカップで
仕入れられるものを鉛巻きやポットで買わなくなる。
それらを陳列して、販売水槽でいかに綺麗に見せ、
すぐに売れなくてもロスの無いように良い状態を
キープする技を磨く必要も要りません。

これらを考えると、組織培養カップは水草売り場の
レベル、魅力の低下に結び付くように感じます。
また、アクア業界の今の流れに沿うように、どの
ショップに行っても水草売り場は同じ光景にしか
ならず、ショップの個性は失われていきます。
誰が並べても見た目は変わりませんからね(笑)


私自身は水草の人間なので基本的には1本ずつ
植えこんでる販売水槽がメインでポットや鉛巻は
あくまでサブでしかないと考えています。
なので、「個人的な偏った意見」としては、カップの
陳列に何ら心は動かないんです。

もちろん在庫管理の上で組織培養カップを上手く
取り入れることは、お店にもお客様にも利益です。
ただ、最近の傾斜度合いを見ていると、専門店に
なればなるほど、水草をある程度以上わかっている
人が販売対象となることが多いため、説明不要で
組織培養カップが売れてしまいます。
一見ビギナー向けのように思える組織培養カップは
実は専門店商材(すでにやっている人向け)なんですね。
これもまた内向き体質を助長する可能性があるかも
しれません。

販売水槽、立ち上げ中の水槽、綺麗なレイアウト、
コケまみれの水槽、無造作に水草が植えられている水槽、
それら全てがそのショップの個性です。

販売水槽の中で、何と何を隣接させれば
引き立て合うのか、この2種は並べると見た目に
喧嘩するのではないか、何と何を並べたときに
よく売れたのか、こう言うことの蓄積がショップの
「色」として前述のような水槽に滲み出るように
思うんですよ。

また、水草自身も水の中でこそ個性が光る。
リシアは大きな気泡を抱いてこそ輝くのです。
パールグラスは群生して気泡のシャワーを放つから
感動するのです。
水上葉で入荷している水草が販売水槽内で
劇的な変化と共に全く異なる水中葉になる様に
水草の適応力を見るのです。
それはレイアウト水槽内ではもちろん、何気無い
販売水槽の片隅からも見て取れるもの。


しかしながら、水草を販売したり育成したりする上で
水すら不要になってしまい、売り場作りも画一的に
なりつつあります。また、近年は多くの場合通販で
済ませてしまうことも多く、昔のように感動的な
水槽や水草との出会いの機会も激減してしまいました。

前述の通り、その後の水草人生において多大な
影響を及ぼす水槽と言うのはなにも美しい
レイアウト水槽だけではありません。
出来るだけ容易に、無駄なく、便利にを追及した結果、
何気ない設備も含めたその水槽全体や中身の
極一部からでも見て取れる膨大な情報は
もう必要とされなくなってきたのかもしれません。

水はどこに向かって流れているのでしょう。

2016年8月28日日曜日

水草業界の分水嶺 (2)

前回は水草が供給される流れの変化を
見てみました。
今回は流通も含めた販売方法が迎えた
大転換点を考えてみたいと思います。


さて、その転換点とは。。。


「組織培養カップ」


の登場です。

もちろん昨日今日出てきたわけではありませんが、
これが主流になろうかと言う雰囲気が出てきています。
組織培養カップのメリットは、輸送や陳列、梱包が
容易になり簡略化できる点です。
他にはよく言われるコケやスネール等の混入を
防止できるということもあります。

更にファームから問屋では植物検疫でのリスクが
大幅に下がり、空港で処分されることはまず無いと
思います。
そして問屋~ショップにおけるメリットとして挙げた
前述の内容をより具体的な例と共に見てみましょう。


デナリーのヒット作、クリプトコリネsp.'フラミンゴ'
本種は組織培養カップでしか入荷しません。




















・ストックの容易さ
これは問屋、ショップ共通です。涼しい所に
並べるだけ。まぁ弱光当てておけばOKですかね。
あと、更に低温にしておけば日持ちがします。
専用冷蔵庫も発売されました(笑)

・梱包の簡略化
特に問屋の場合は全国各地への発送があります。
水草の場合は、ポット、鉛巻、バラ株、そして
昨今の観葉植物への流れでそれらも一緒に
発送することが多くなっています。
そして当然上記すべて、梱包の方法が異なるため、
これは人の手でやるしかないので、物凄く手間。
カップならビニール袋に重ねてぽいっと入れるだけ。
小売りの場合も水槽から出して、袋に入れ、輪ゴムで
縛り。。。と言うことをしなくて良いので、問屋と同様に
時間も手間も減らすことができます。

・陳列の簡略化
最近の水草専門店(あるのか?)や水草に注力
しているショップにおいてもカップとなると、既に
水槽すら不要な訳で、水槽を使わないと言うことは、
底床・二酸化炭素の添加、強めの照明、当然ながら
水すら必要でないため、換水も不要。コケの心配も
無し。そうなると経費はもちろん、手間やスペースの
大幅な削減が可能です。必要なものは棚とLED1灯のみ。
もしくは、冷蔵庫内に並べるだけ。

・補足
ファーム目線で考えてもメリットがあると思います。
アヌビアスやクリプトコリネなどは、蘭と同じく
組織培養で生産した苗をある程度のサイズでポットに
植えて、そこから出荷サイズに育成するわけですが、
その育成過程をユーザーに丸投げできる(笑)
昔と違って組織培養の効率は上がっているでしょうから
育成前の段階で販売出来るとなると、出荷サイクルが
早くなり、かなりコストダウンになるのではないかと
想像します。




この組織培養カップは、当初は逆に珍しく、東南アジアの
ファームものが最初だったような。。。ここは記憶が
はっきりしませんが、まぁ入荷したらちょっと物珍しい
感じでしたね。
そうこうするうちにトロピカやアヌビアスと言った
ヨーロッパのファームから少しずつ入荷するように
なりました。徐々に拡大しているところを
見ると、どうしてもこちらに傾いてきているようです。
そして、国内のいくつかの業者からの供給も
始まっています。

トータルで見るとかなりの種類数になってきています。
しかもトロピカの生産に拍車がかかっているのと、
ADAがカップ用の冷蔵庫を特約店に販売したのを
見る限り、かなり注力しているように感じます。


一見、良いこと尽くしのようにも見えますが、
そう感じるのは、アクア業界の体質に慣れ過ぎて
いるからです。
これは前述通り、供給側のメリットが殆どです。
もちろん、コケやスネールを持ち込まないと
言うのは、ユーザーにとってありがたいこと
てしょうし、小さいくはないメリットなのかも
しれません。


ただ、そのメリットと引き換えに失うものがいくつも
ある様に私は感じています。
次回はその点を考えてみたいと思います。


。。。続く


2016年8月11日木曜日

水草業界の分水嶺 (1)

最近の水草の流通はどうなっているのでしょう?

昔から変わらないのは、海外のファームから
問屋が輸入して、それを小売店が仕入れる。
または、主に九州の阿蘇あたりの国内ファームから
問屋が仕入れ、それを小売店に販売する。
その2点だったと思います。

昔から魚などはあったと思いますが、南米有茎や
エキノドルスブームの頃からは、小売店が栽培したものを
問屋に卸す、と言う逆方向への流通も目立つように
なりました。

そして更に近年の傾向として、メーカーなどが器具ではなく
水草を販売することに注力し始めたことが、個人的には
意外と大きな動きだったと感じています。
これは器具だけでは利益率の改善が見込めないことや、
販売数(売上高)の伸び悩み・減少に起因するのだと思います。

そもそも良いものを作れば売れる、当然良いものは
それなりの価格になる、と言うのが普通ではあります。
そしてしばしば趣味の世界ではそれがある程度通用する
ことがあります。理想的ですね。
しかしながら良いものはそもそも壊れにくい上に、
それなりの価格と言う点、併せて使い続けて愛着が湧く、
と言うことを考えると短期間での回転が見込みづらくなります。

景気が良く、誰もが趣味に時間もお金もかけることが
出来るご時世であれば、その良いものが新規ユーザーに
売れ、ヘビーユーザーは古くなったりデザインが変われば
新たに買い直す、と言う需要が見込めますが、現状は
まったく期待できません。
そうなると消耗品で、となるのですが、そもそも水草水槽で
考えた場合、殆ど消耗品が無いんですね。

詳細を見てみましょう。

<年単位で買い替えることはないもの>
・水槽
・照明
・フィルター
・キャビネット
・CO添加器具類
・タイマー
・ハサミ
・ピンセット
など

<数か月単位で買い替えることはないもの>
・底床
・肥料類
など

<1か月程度で買い替えるもの>
・CO2小型ボンベ

しかしながら小型ボンベは水草をやればやるほど
業務用の大型ボンベを使うようになりますし、
現状、小型ボンベを使うライトユーザーの人数が
拡大しているとは考えられません。

さぁ、あとは何が残っているでしょう?(笑)
そうですね、水草と魚・エビ類(いわゆる生体)です。
更に、自社で効率よく低コストで生産出来て、
輸送コストやリスクが低いのはどちらでしょう。

もうおわかりですね。

「水草」

です。

不文律みたいなものはそのうち破られるものでは
ありますが、例えば問屋が小売りをやる。
まぁ大卸価格で仕入れて小売りが出来るのだから
価格面では絶対的に有利ですよね。
小売店からしたら完全に反則です。なので、
「基本的には」やらない。まぁやってますけど。

もちろん、誰が水草を小売店に卸すのかは自由です。
決まりなんてありません。
ただ、メーカーが水草を生産してショップに直接卸すと
いうことは、つまり水草を輸入したり、国産ファームから
仕入れて小売店に卸している問屋の領域を食う訳です。

これも流れとしては仕方がないのかもしれません。
以前にも申し上げたと思いますが、市場に対して
業者がまだ多すぎます。干上がる池の僅かな水の
中に魚がひしめき合ってるのですから。
どうあがいても販売数が伸びないのであれば、
利益率を上げるしかありません。そうなると
発想としては水草の生産に行きつくわけです。
水草に携わっている商売人として当然の成り行きだと
思います。


そして現在、上記の流通の変化に加え、水草の販売方法は
大きな転換点を迎えたのです。

次回はそこを掘り下げていきたいと思います。


。。。続く


2016年6月20日月曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part4-2 最終回

さて、引き続きクリプトコリネの魔力である
「溶け」についてです。


前回のPart4-1の最後でやや脱線しましたが、
本線に戻って。。。

溶けた際にしなければならないことは
「ひたすら換水」と「溶けた葉の除去」です。
もちろん、設備上の不具合等も解消しなければ
なりません。
私は葉を出来るだけ多く残したいので、部分的に
溶けている場合は、その溶けた箇所だけ手で
擦り落として吸い出します。
翌日、同じ部位の溶けが進行していれば更に
擦り落として吸い出します。
これはかなり少数派、と言いますか、恐らく日本で
私だけじゃないでしょうか(笑)
人によっては少しでも溶けていたら付け根から
カットすると思いますが、私は生きている箇所は
全部残します。
なぜかと言うと、その部分は溶けが収束したら
そのまま残るからです。

先端や縁が溶けてしまった葉。
溶けが進行中に溶けた部分を吸出し、
溶けたら吸い出しを繰り返し、溶けが収束
したので、葉の60%程度が残りました。

こちらは葉の大部分を失ってしまいました。
しかしながら、ここで溶けは止まり、なんとか
生き残りました。なんともいじらしいですね。。。



個人的にはこの溶け残った葉にも役割があると考えています。
また、前述の斑点だらけになってしまった葉も、換水を続けて
対処していると、そのまま溶けないこともよくあります。
溶けの嵐の中を耐え抜いたこれらの葉は、見た目も良くなく、
今にもまた溶けそうな印象があるのですが、全体の溶けが
完全に止まれば、これらの葉の溶けの進行も止まります。
そして役割を果したら、すっ。。。と枯れていきます。
この「枯れ」も見た目は溶けているように見えますが、
悪い「溶け」ではありません。私はこれを「枯れ溶け」と
勝手に呼んでいます。

枯れ溶けが始まったところです。大溶け時に
葉先をいくらか失っていたのですが、耐え抜き、
状況が安定→好転したところで、役目を終えました。

こちらは更に枯れ溶けが進んでいます。
大溶け時の葉が崩壊していく感じと異なり、
葉の形を残して中身だけ抜けていくような
印象です。この場合、基本的に溶けは
他の葉に広がるようなことはありません。


大規模な溶けは油断した時に必ずやってくるので、
クリプトコリネからの警告なんだと思ってます。
「お前がさぼってるから、手抜きしてるからこうなるんだぞ。」
「さぁ、なんとかしてみろ。」
あたふたと必死で毎日換水して、なんとか溶けが収まり、
換水ペースを徐々に落として、通常通りに戻った後に
待っているのは。。。


破壊後の大復活です。


以下の仮説等は個人的な想像で、主にヒュードロイ水槽での
出来事なので科学的根拠は全くありませんが、私は、
溶け=細胞の崩壊、と認識していて、細胞が崩れることに
よって中身が流出するために水槽と言う閉鎖環境では
短時間で水が一気に濃くなり(クリプトの溶けるスピードは速い)、
更なる溶けを誘発する、と考えて対処行動を組み立てています。

※現地での溶けは見たことありますが、水槽の
それとはちょっと違うと思います。

溶けが収束して、再生が果たされる時には、植物体の量が
大幅に減っている上に、流出した成分が栄養素となり、
また、繁茂していた葉に覆われていた各株の生長点にも
光が当たる様になるので、必ず以前よりもしっかりとした、
色の濃い葉が展開します。
頻繁な換水をしているため、殆どは水槽の外に取り出されて
いるようにも思いますが、それまでの貧栄養の安定環境とは
異なる養分の組成になっている印象です。

単に光が当たる様になったから茶色が出ると言うことであれば、
絶好調時において有茎草のように水面に棚引いている葉が
茶色にならないとおかしいのですが、そうはなりません。
また、大溶けの後半から復活の過程で必ず同じことが起こります。
「珪藻の発生」と「ミジンコ類の発生」です。
珪藻やミジンコ類は常にどこかには存在しているのですが、
この時は普段より多めに見られるようになります。
珪藻は安定してくると普段通りの量に戻ります。ミジンコはその後
しばらくは多め見られます。イメージとして水槽の立ち上げが
上手くいった感覚に近いです。

完全に環境が落ち着いたようで、減少したもの
まだ見られる珪藻とミジンコの類。


黄色っぽい葉が大溶けを耐え残った葉です。
復活して隙間なく新しい葉が茂りつつあります。
大溶けの後は底床が丸見えになるくらい
スカスカになるので、かなりテンションが下がります(笑)


今回は復活の最中に蛍光灯からLEDに
照明を変更しました。すると今までとは明らかに
異なる葉の展開が見られました。葉幅が広いです。
約20年の中で初めて見る葉の形状です。

この大復活こそが、私がクリプトコリネの水中育成がやめられない
大きな理由の1つです。この一瞬の達成感を味わうために
すべての苦労があるのです。それまでは苦行ですよ(笑)
溶け=クリプトからの課題だったりするわけですが、その課題を
見事クリアすると与えられるご褒美として、更に美しい群生を
見せてくれる。そしてまだアクアリウムの世界では説明されていない
この溶けと復活の不思議なプロセス。こんなところにクリプトの
魅力はあるのだろうと思います。

つまり、環境が変わるたびに溶けたり葉色や形状を変化させたりと
こちらの行動がはっきりと反映されるところが魅力と言うわけです。
そして、上の画像のような群生を維持するのに行うことは、
リシアのような煩雑な巻き直しやこまめな栄養素の添加、
有茎草における頻繁なトリミングなどではなく、たった1つだけ。
定期的な換水のみ。渓流系の場合はこれに尽きます。
(ピートスワンプ系は少々異なりますが)
ひたすら無駄な行為はそぎ落としていき、ひたすら当該種の好む
環境へと時間をかけて水槽を作り上げていく。凄いことの
ようですが、やってることは観察と換水だけ。そう、基本的には
楽なんですね。
こんなことだけで、たった1種が20年も飽きることのない姿を
見せ続けてくれる水草、クリプトコリネ。


販売されているクリプトコリネを前に悩んでいるみなさん、まず
ダメ元でも良いのでご自宅の水槽に植えてみると良いと思います。
きっと他の水草では体験できないことがあるはずですよ。

今はもう無い、HBD「Hans Barth Dessau」の札。



クリプトコリネ ~この美しい水草~
ひとまず終わり。


2016年5月25日水曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part4-1

さて、今回で4回目になりました、クリプトコリネの
魅力ですが、ひとまずPart4で最後にしたいと
思います。。。が、書いてるうちにとんでもなく
長くなったので2回に分けます(笑)

記念すべき最終回にふさわしくクリプトコリネ
最大の魅力、いや、魔力について。


―――――溶ける。


これですね。
溶けを語らずしてクリプトコリネは語れません。

ある日突然、昨日まで瑞々しく開いていた葉は
見るも無残な姿に。。。
「なぜ。。。?先週の換水の時にはなんとも
なかったのに。。。急に溶けるなんて!」

クリプトコリネの水中育成を行っていると
誰しもいつかは通る道です。たまに聞く声で
「いや、溶けたことないんですよ。」と言うのが
ありますが、それはラッキーです。そしてまた
溶けを経験せずにクリプトコリネを育てた、
などと言ってはイケマセン(笑)
。。。すみません、冗談です、と言いたいところ
ですが、「溶け」は、クリプトコリネ育成の
必修科目です。

でもこの溶けこそが、クリプトコリネ最大の
特徴と言っても過言ではありません。
同じ水草で、ホシクサや有茎草なども
環境の変化などで溶けるように枯れますが
それとは別次元のものです。


まず溶けは突然やってきません。そこには
必ず理由があります。いつもと違うほんの
些細なことがトリガーとなって、クリプトコリネは
まるで自らの意思を持っているかのように
その葉を溶かします。
そしてその前にしばしばシグナルを出しています。

ヒュードロイの葉。よく見るとそばかすのように
斑点が出ているのがわかります。
溶ける前にはこの斑点が出ることがあります。

手前の葉はかなり多くの斑点が見られます。
もちろん、他の葉にも出ていますね。
こうなるともう大溶け前夜です。
個人的に「死の斑点」と呼んでます(笑)

上の画像のように、溶ける前に葉の表面に斑点が出ることが
あります。これが出てしまうと溶け確定と思っても良いので
見つけた時には覚悟して対処に入らねばなりません。

ここで、溶けた様子を。。。と画像と動画で解説したかったの
ですが、15年12月末に大溶けやらかしたので、これは
ブログのネタに、とは思ったものの精神的にカメラを
向ける気になれずサンプル撮れず。。。スミマセン。
ブロガー失格ですね(笑)

。。。で、何も無しと言う訳にいかないので、サンプルとして、
15年維持しているヒュードロイ水槽の話を。。。
この水槽は120x45x45(cm)と言う大きめの水槽で
底床は大磯と言うこともあり、非常に安定しています。
ただ、管理者がその安定に胡坐をかくことがありまして、
1~2年に1度のペースで大幅に溶けています。
もちろん、数えきれない株数が繁茂しているので、
キャパ的に頭打ちになった時にクリプト自身が数(割合)の
調整を行うように溶けているだろう側面も感じますが、
多くの場合は確実に栽培者の怠慢やミスが原因です。

この水槽に限ってではありますが、その例をいくつか
挙げてみましょう。

※基本的に「大溶け」を前提に話を進めています。
 日々の小規模な溶けに関しては、大溶けの要素を
 見つめ直せばある程度は良いのだと思います。
 まぁ安定した環境づくりです。

・液肥の添加
これは水質に直接働きかけるので影響は出やすいです。
一番酷かったのは、120x45x45の本水槽にECA1滴で
溶けました。
これは水自体が原因となるので、換水で対処すれば
OKです。

・底床肥料の添加
近年はもう年に1度イニシャルスティックを入れるか
入れないかとなっていますが、昔の成長期におこしを
1個埋めたらそこから同心円状に溶けが広がりました。
とりあえず底床内の肥料濃度を下げなければ
いけないので吸出し、すなわち換水。

・炭酸ガスの過剰添加
これも気付かない時は気付かない。一番酷かったのは
タイマーのピンのOFFが利いておらず、24時間添加に
なっていた時です。延々と溶けが続き、かなり長期間
毎日換水し続けたのですが、原因に気付いたら収束に
向かいました。この水槽で一番キツかった出来事です。
対処としては炭酸ガス量を適正に戻すか、止めて
しまえば良いのですが、溶け自体は進行するので
やはり換水。

・換水不足
最近溶けた原因です。絶好調の時期が2年近く継続
しており、完全に油断して怠りました。
だいたい定休日に発動してくれるので、気付くのは
遅れます。。。見つけた時は近年最大の溶けで、
溶け方(量もですが質ですね)もかなりヤバい感じでした。
そのため、思い付きはしたのですが画像と動画を撮る
精神状態にはなれず。。。
この理由の場合は、クリプトが耐えて耐えて。。。。。
「もう無理っ!」と言って溶けるのでスピードが速い。
やるべきことは。。。原因が換水不足なので、当然
換水しかない。


さて、鋭い読者の皆さんならもうお気付きでしょう。
溶けた時にやらねばならないこと。それは

「換水」

です。
これしかありません。

いや、秘策があと1つあります。それは
ステラコリン!。。。ではなくてですね(笑)
クリプトに話しかけることです。
まぁオカルト的なことになりますが、あいつら、
話聞いてます(笑)
上記4つの溶けの原因にプラスして、こちらの
「発言」があるんです。冗談みたいに聞こえますが、
ヒュードロイの水槽の前で軽く見るような発言を
すると、数日後に決まって調子が崩れました。
だから日々褒めてやってください。

あ、私病んでませんよ(笑)


。。。Part4-2に続く


2016年5月13日金曜日

コマーシャリズム

まぁとにもかくにもあちこちで植物だのボタニカルだのと
賑わっております。
私が数年前に感じて予想した、植物を道具とした
マーケットの創出と言うものが、見事に顕在化した
わけです。(と、思いこんでます(笑))

※参照
見えざる手

何年もかけて醸成し、しっかりと果実として実りつつ
あるようで。想像通り、様々な業界から進出したり、
既存の業者が業務拡大したりと、ここぞとばかりに
盛り上がっているようです。


ただし、そこに趣味的理想や過度な思い入れを持って
接したりそれらを期待するのは間違いです。
先んずれば人を制す、先手必勝。
どういう形であれ他より先に需要のあるものを
供給する。ましてや既に需給が逼迫しているものや、
新たな市場であればなおのこと。
こんなことは水草でも繰り返されていることです。
もちろん、もっと前から園芸の世界でもそうでしょう。
ショップもこぞって店頭に並べております。

その際に、「レアもの」と称されるもの等は、最初に
どんなに珍しくてもそれが増えないものなら
いざ知らず、丈夫でよく増えるなら以前にも書いた通り
答えは既に出ているのです。それはほどなく
「レアもの」ではなくなります。
また、簡単に現地で数が採れるものであっても
同様です。
そして時には、「何故このチョイス?(笑)」と言う
種が組織培養で大量生産されることもあります。

そこに需要があるなら供給できる人が勝ちですので
スピード勝負でしょう。その植物がどういう物かは
別問題です。そして、それをコントロールすることなど
出来るわけもありません。
1人の意思で動かしているわけではないのだから。
(ただし、そう言うジャンルも存在するのも事実ですが、
そんなものは一般レベルに降りてきません。)


また、マニアの世界ではなく一般層にまで広めようと
考えた場合、そこに商業的ドラマがあれば更に興味を
持たれやすくなります(例えばプラントハンター)。
もちろん、現在のムーブメントは世間一般が対象なので、
その点は必要であるのですが、マニアが望むような詳細な
情報は無用の長物です。
例えば、殆ど人が訪れない島で首狩り族が居た村から
命からがら1株持ち帰ったとか、その昔、貴族に雇われた
最初のプラントハンターが採って来た植物が同じ場所で
200年ぶりに発見され持ち帰られた、とか。
そう言うのは大切なのですが、それがアグラオネマなのか
チューリップなのかは、世間的には大した問題では
ありません。
なので、それらの名称やそれに関する情報などは
間違っていて当たり前くらいに思っていた方が良いです。
グランデでもスペルバムでも、どっちでも良いんです。
「森の王冠」の方がキャッチーでしょ?


今、再び珍奇植物としてもてはやされているチランジアも
昔にエアプランツとして大量に輸入され、大量に消費
されたもので、そのブームの去り際などは換金するのに
投げ売りされたと聞きました。
そう言う時期を経て 本当に好きな人たちだけがやる様に
なったのかと思いますが、再度こういう流れになったので、
また同じ事が繰り返されるでしょう。

これらもその一例と言うべきかわかりませんが、朝の
ワイドショーにも取り上げられるようになった盗難や
専門業者や日本だけには止まらない採集や販売の
広がりなどが見られます。


アクア関係では引き続きと言いますか、再びと
言いますか、ドラマやトーク番組などのセットに
水草?水槽が置かれていることが目立ちます。
また、大野君(嵐)のドラマでは社長室でメダカが
飼育されています。ショップの水槽の前で思い悩む姿も
ありました。まぁメダカブームですからね。

不思議なのは、水草(やアクアリウム)はメディアに
登場しても確実に広がらず、テレビに出ようが、
映画の題材になろうが、本が出ようが日本と業界固有の
理由があるので確実に無理なのですが、なぜか時々
取り上げられるんですよね。
あれを見て「流行ってる!」と見るのは早計で、特定の
業者等の利害関係で成り立っていると見るのが
自然じゃないかと思います。なのでビジネスチャンスが
ある!ってことにはならないでしょう。
もちろん個人で上手く立ち回る分には別ですが。

そして今年も例の本が発売されるようです。
見出しだけ見ましたが、乗っかってますね、珍奇植物(笑)
まぁ以前から言い続けている水草界の筆頭である
レースプラントは出てると思います(笑)
あとはなんでしょう?タヌキモやウォーターローンと言った
食虫あたり、溶ける水草クリプトコリネでしょうか。
切れ込みのある葉なんかもそうですかね。ブセなどの
着生するものとか。
しかしながら、すべてが馴染み深すぎて、珍奇も何も
無いです(笑)水草好きならみーんな知ってる草です。


もちろん、乗るのも背を向けるのも自由です。
商業的な行動を否定するものではありません。
多くの人の目に触れることによって、興味を持つ人が
居て、その中から愛好家が生まれるのは何度も
見てますから。なので当然ビギナーの取り込みは
重要ですから、それはそれに相応しい形でやれば
良いのです。

継続できるのであれば。

2016年5月2日月曜日

クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part3

クリプトの魅力は尽きることが無い、と言う訳で。。。
今回で3回目。レイアウトについての概要などを。


諸事情ありまして、すっかり小型水槽が定着してしまった
我が国ですが、そんな中でもクリプトコリネは楽しむことが
出来る、言わば万能選手なんです。

Part1Part2にも書きましたが、様々な種類があり、
増殖形態から密生することが多いので、レイアウト向きの
水草なんですね。
そして、クリプトが群生するとその個所をベースに
レイアウトを考える。基本植え替えない。
そう、水槽のレイアウト全体をクリプトの群生を中心に
考えるんですね。恐らく近年はこの発想は無いでしょう。
クリプトの群生はそのくらいの価値があるんです。
水草がご主人様!と言う訳ですね。


例えば小型水槽で人気のありそうなサイズの
30x30x30、いわゆる30キューブですが、
こういった水槽でもクリプトの育成やレイアウトは
可能です。コブラグラスやヘアーグラスの代わりに
パルバが使えます。
もちろん、1ポットから始めるとそれらより何倍も
時間を要します。
そして、定番の前景種なら茂りきる前にバッサリと
トリミングしてしまいますが、パルバの場合は、
茂るまでのことを考えると勿体なすぎて切れない。。。
そう、パルバ残しの他変更、となりますね。
すなわち手がかからないとも言えます。これは
水槽維持にとても重要なことです(笑)

これは使いまわし。。。パルバです。
これは6045でクリプトレイアウトを作った時の
画像ですが、400株くらい買ったかな。
植えたのは画像の面積の5倍くらい。
全体の画像を残してないのが悔やまれる。。。
(底床はアマゾニア)


もちろん、ポットもので販売されているスリランカ産の
狭葉系、タイの細葉系なども使用できます。
大きくなりそうなら条件を徐々に絞ればよいだけです。


レギュラー60(60x30x36)だと背景はトンキネンシスや
カウディゲラあたりでしょうか。
中景~はウェンティ系、キー、アフィニスと言ったタイプ。
上手くやれればブローサ、アウリクラータ、ストリオラータ等。
一般種だと面白い所でポンテデリフォリアやコルダータ。
前景は。。。パルバ(笑)、またはウィリッシィ。
今ならホビットもありですが、これもパルバと同じく
必要なだけ買わないとダメっぽいです(笑)
。。。とまぁ、60くらいになると殆ど使えますね。
恐らくクリスパチュラvar.クリスパチュラ。
バランサエほど強烈ではないので水槽の
サイドからバックにかけて使いやすい感じ。
(底床は大磯)
キーです。前回の画像の寄りですね。
葉柄が伸びないので、間の抜けた感じに
ならず、上手く密生してくれています。
下草は南米コブラですが、パルバと思って
見て下さい(笑)まぁこんな感じです。
(底床は大磯 かなり前の状態です)

オリエンタルからペッチィで入荷する種。
よくあるウェンティと比べ細葉でやや頼りない感じ。
色彩と雰囲気は一般的なウェンティ系とは異なる。
(底床はアマゾニア)

大型水槽の前景付近の場合はパルバの3倍速以上で育つ
トロピカ社のルーケンスが使いやすいかもしれません。
まともに成長すると30センチ近くにはなるはずなのですが、
そこはあれですよ、トリミング(笑)

ポンテデリフォリアの水中葉です。
大磯水槽でよく育ってくれました。
魚がタイガープラティと言うところがまるで
洋書の1ページ(笑)産地合ってないですが。。。
60でも使えますが大型水槽の方が
魅力は伝わる種類だと思います。
(底床は大磯)

アクアソイルが出来て、クリプトの育成も容易になった
部分が大きく、パルバの生育はかなり違うと思いますし、
スリランカ狭葉系なんかも成長は速いです。
なので、かなり楽にはなっていますが、基本的に
クリプトの育成はじっくり楽しむ方が面白いと思います。

小型水槽の場合は、二酸化炭素も極僅かに添加する
だけで良く、それだけで順調に育ってくれます。
小型の高圧ボンベなら1本を2~3ヶ月で使い切る
程度の添加量で良いと思います。
有茎草と違って、煩雑なトリミングに追われることは無く、
のんびりと向き合うことが出来ます。
もちろん、クリプトコリネは条件の下方への適応力が
高いので、二酸化炭素の添加を行わなくても、
定期的な換水と、生体の存在で育成することが
可能です。

ソイル系の底床がよく育つのですが、大磯などの
底床でも特に問題はありません。
ただし、二酸化炭素の添加が無い場合、ソイルよりも
更にじっくりと育てることが必要になります。
また、種類によってはソイルの方が何倍も育てやすい
ものがありますので、その辺は下調べをしても
良いと思います。




クリプトコリネの自生地は主に東南アジアであるため、
その地域の魚と合わせることによって、レイアウトの
収まりが更に良くなります。
個人的には現地へ訪れたのは数回で、あまり
見る機会もなかったのですが、サラワクで見た
旧ゾナータのそばを数匹の群れで泳ぐペンタゾーナは
忘れられません。
見た場所は異なりますが、クリプトコリネの自生地
付近では馴染みのある熱帯魚たちが生息しています。
マレーシアではレッドラインラスボラやマキュラータ、
スリランカではブラックルビーやフィラメントサスに似た種、
ベトナムではリネオラータ、グリーンバルブなども
見れました。

使いまわしてスミマセン。。。歴代PCがクラッシュしてるので
画像があまり残ってません。。。
この水槽はスリランカのクリプトをメインにしたレイアウト
だったので、魚はチェリーバルブになっています。
ホント、この水槽の画像を残してないとかどうかしてますね。。。


やはりクリプト・レイアウトにはバルブ系がよく似合う。
小型水槽なら、ボララス、小型のダニオあたり、
60あたりからはプンティウス、旧ラスボラなんかが
良いですね。
アクセントに小型のグラミーやおとなしめのローチ
なんかも良いでしょう。
こういうのを考えてるだけでも結構楽しいんです。
現地のイメージを想像させる水草もなかなかありませんよ。


。。。続く