2020年4月18日土曜日

前景草のアンチテーゼ

前景草とはなんでしょう??
基本的には水草水槽の鑑賞面のガラスから最も近いエリアに
植える草丈の低い水草で、芝生や絨毯と言った趣になる様に
密に茂り広がっていく種類と言ったところでしょうか。

レイアウトの中でも前景は重要で、区画としては
出来るだけ早期に仕上がるのが良さそうな感じです。

かつては

・ピグミーチェーンサジタリア
・(旧)エキノドルス テネルス
・ヘアーグラス

以上3種が三大前景草と言ったところでしょうか。
少し面倒くさいところでは、

・ヨーロピアンクローバー
・コブラグラス
・クリプトコリネ パルバ
 (ウィリッシィ、ルーケンス)

等がありますが、この辺りは割と通好みと言う印象を
受けますね。ちょっと腕がある、他の人と違ったことがしたい、
そういう人が扱ってた感じです。
今でもこの辺が上手く使える人を見かけると
「お、やるな!」と思うのですが、しばらく
そういった感覚になった記憶がありません。

水槽がもう少し大きくなったり、ダッチアクアリウムの
要素が取り入れられると

・ヘテランテラ
・ロベリア カージナリス
・パールグラス
・ホトニア

前景にヘテランテラを用いた水槽です。
使い方次第ですがそれなりにメンテは必要です。


と言った種類が考えられます。ただし、このダッチ系前景草は
レイアウトに対する気持ちとは別に、その水草に対する執着みたいな
ものがないと無理なんですよね。だから最近見ないんです。

ロベリア カージナリスは
区画の形状を整えやすい。


更に少し前までくると

・グロッソスティグマ
・キューバパール
・インディアンクラススラ
・ウォーターローン
・ゴイアスドワーフロタラ
・ミニヘアーグラス(ショートヘアー)
・エラチネ ハイドロパイパー
・ミゾハコベ系
・Newラージパールグラス

などなど枚挙に暇がありません。

ゴイアスドワーフロタラは良い水草です。
99年に本種の水上葉を初めて手にして
水中葉が展開した時の感動は忘れません。




前景草と言えばこう言ったラインナップとなるでしょう。
近年高い頻度で使われるものや、いわゆる定番種と言われる種類が
ちらほら見受けられますね。

さて、前景草とは?それに求められるものは?と考えると
冒頭に挙げたように、比較的短期間に横方向へ次々に展開し、
意図した区画に隙間なくびっしりと茂ると言う事が重要です。

まぁ私のように至極マイペースで水草水槽をやっている場合
そんなことは無いのですが、なぜか短期間でやり遂げないと
いけないレイアウトと言うものが存在しているため、その場合
とにかく全自動で素早く区画を埋めると言う事が超絶求められる
条件であったりします(笑)
そうなると前述の様々な前景草の中でその条件を満たすのは
ごく限られた種類になります。
その筆頭が世界を埋め尽くしたNewラージパールグラスです。
本種は吉野屋みたいな前景草ですね(笑)

Newラージパールグラスは
非常に優れた前景草ですがあまり
考える必要が無いので善し悪しですね。
あの時、這うと分かった時の直感は正しく
世界的スターに登りつめました。

トリミングは面倒くさいと言うのに前景草にはスピードを求めながら
こまめに管理すると言う点に何とも言えないパラドックスを感じるのは
私だけでしょうか(笑)
もちろん、多くの水草レイアウトとその取り組みを否定するわけでは
ありません。しかしながらそれが全てではなく、のんびりじっくり
取り組む長期維持水槽で普段触ることも考えたことがないような
前景草を時間をかけて密生させるのも悪くないかと思います。

以前キープしていたカーペットスターです。
年単位で少しずつ手動で区画を拡大させます。


1区画を成立させることに対して、ここまで時間がかかること、
達成感を味わえることはそうそう無いと思います。例えば60センチ水槽の
前景をパルバで作るのとNewラージパールで作ることを考えれば
想像できますよね。

成長の遅い前景草でしょ?黒ひげつくじゃん!って?
そこはあなたの技術でなんとかするんですよ(笑)

※オマケ※
成長速度の遅い前景に使えそうな水草
・クリプトコリネ パルバ
・クリプトコリネ ルテア 'ホビット'
・セレベスカーペットスター(エリオカウロンsp.スラウェシミニ)
・エレオカリスsp.スラウェシ
・ブセファランドラの仲間(ミクランサ、ピグマエア等)
・アヌビアスの仲間(プチ、パンゴリーノ、スターダスト等)


2020年4月10日金曜日

長期維持水槽のポートフォリオ #7

長期維持水槽に使えるであろう水草を#6までで見てきました。

#1 イントロ
#2 着生
#3 ロゼット
#4 有茎草
#5 クリプトコリネ
#6 エキノドルス

これを見て鋭い人はこう思ったのではないでしょうか。

「全部じゃん」

そう、取り敢えずどんな水草でも長期維持水槽に
用いることが出来るのです。
ただ、自分が使いたい水草と育つ水草に乖離が
あったり、何をメインにしてサブでどの辺を使って
遊ぶか、メンテナンスに割ける時間や労力はどの程度か、
そう言った部分を考えると使える種類の比率や
種類が変わってきます。

長期維持水槽も最初は新品です。
まぁ当たり前ですが(笑)
例えばソイル系の底床でセットした場合、取り柄えず
適当に何でも育つので入れたい水草を入れれば良いと
思います。そうです、普通に水草水槽を楽しむだけ。

その過程で様々な水草を楽しんだり実験をしてみたり
たまにはやらかしてみたり。そうするうちに時間は
経過するものです。
そうしていると自然に自分の好きな種類やその水槽で
割と楽に管理できる種類が残ることになることが
多いのではないでしょうか。

2001年6月号のアクアライフに掲載された
水槽なので19年は経過してる感じですね。
ほぼ全面有茎草~全面クリプトロザエ~
そしてエキノだアポノゲトンだと放り込み
ずーっと遊んでます。当然底床の入れ替えは無し。


さてここからが長期維持のスタートです。
好みの水草でそれぞれやりたいことが違うと思いますが、
#1~#6の水草を上手く組み合わせて、古い底床を活かしつつ
じっくり育てる水草+部分的に入れ替えて楽しむ水草の
エリアを使い分けていきます。
そして優先すべきはそれらを踏まえた上で、

「とにかくあまり手間がかからないようにする」

と言う事です。

例えば前景をCry.パルバやカーペットスター、
這うように成長する小型のブセファランドラなどに
しておくとトリミングは殆ど不要です。

殆どブセなのでメンテは非常に楽だと思います。
古くからの方はご存知かもしれませんが、
昔、入口で泥沼みたいになっていた水槽です(笑)
当然リセットなんかしてません。自慢には
ならない。。。設置して10年以上かな。



後景はシダ類やクリプトコリネ、アポノゲトンの類に
しておけば定期的なメンテナンスをわずかに行うだけで
大丈夫です。もちろん1区画程度であれば有茎草でも
問題ありません。
足元を上手く隠せるならアヌビアスなんかも良いでしょう。

よく登場する20年選手ですね(笑)
今はロゼットかそれに近いものがメインと
なっています。日頃のメンテナンスは
水を抜いて入れるだけ(笑)あとは時々トリミング。


中景は手入れがしやすく自由度の高いエリアなので
縦方向に成長するブセファランドラ、クリプトコリネの仲間、
小型のミクロソルムや小型のアヌビアス、有茎草でも
良いと思います。
センタ―プラントとしてクリナムやエキノドルスも使えます。
もちろんお気に入りのクリプトコリネを茂らせると言うのは
とても素晴らしいと思います。

これも19年くらいだと思います。
ニムファが出たり引っ込んだり、エキノが
どんどん移動したりと変化も多いです。
時々有茎草を入れ替えたり、実験にホマロメナや
スキスマトグロッティスを沈めたりと退屈もしません(笑)



水草を種(しゅ)として維持しようとするとそのストレスたるや
かなりのものです。しかしながら好きな種類が馴染む水槽を
作り、水草と言うよりも水槽全体を維持していくと言う
方向性で進めるとなぜか楽な気がします。
水草自体は時には水上葉が展開することや、休眠することも
あります。もちろん黒髭に覆われたり驚くほど綺麗になったりと
良い時も悪い時も経験できます。

新規セッティングもリセットも新たに取り組む楽しさが
あると思います。しかしながら長期維持は文字通り
長期間維持しないとその魅力は感じることが出来ないのです。

まぁだらだら出来て楽なだけですけどね(笑)
性格にあった水草水槽を心がければ細く長く楽しめると
思いますよ。


長期維持水槽のポートフォリオ。。。終わり