2018年2月10日土曜日

水草と言う特殊な商品

水草の入荷ルートは様々あります。
一般的なところでは、ヨーロッパ、東南アジア、国内の
水草ファームからの入荷です。日本国内で流通している
多くの水草がこのルートでしょう。

私が身を置く特殊な水草界の場合はちょっと違いますね。
みなさんご存知の採集業者さんたちが持ち帰る、現地で
採集された水草(まぁ今は植物と言った方が良いですが)が
メインとなります。
プラスアルファで、問屋さんの努力による現地の業者を
使った採集品が入荷します。代表的なところでインド便、
カメルーン便、ギニア便、インドネシア便などです。
ブラジル便のように今はもう途絶えてしまったルートもあり、
過去には様々なものが入荷しました。
同じ便でも実は現地の業者が変わってることも
あります。

振り返ると、本当に多くの水草が日本にやってきては
消えて行くと言うことを繰り返していますが、幸いにも
ずっと維持されている種類もあります。

例えばトニナsp.と言う有茎草を見てみましょう。


一世を風靡したトニナsp.です。
文字通りスタープランツと言えるほどの
地位まで駆け上りました。本種が
ソイルの需要を押し上げたと言っても
過言ではありません。ADAはトニナと
レッドビーを神棚に祀るべき(笑)

本種はその独特な草姿から誰がどう見ても間違うことは
ありません。「トニナ」と言えばこの水草です。
しかしながら、水草には同種異産地、同タイプ異産地などがあり、
並べても見分けがつかないものが多数存在しています。

トニナと言えばスターレンジです(笑)
スターレンジのベレンとアルタミーラはそっくりです。
なんだったらトカンチンスも似てたと思います。
エキノドルスなんかも産地が違うだけで見分けがつかないものが
あります。
似た種類を別の環境で栽培していて、それを別々に見た場合、
まず区別がつきません。

水草以外での似たような例としてはアグラオネマ ピクタムが
あります。同産地の同系統・異タイプとして入荷しても
その産地の傾向と言うものがあるので、現地サイズ以上に
育成したり、好条件の同じ環境で栽培した場合は、一定の
模様に収斂する場合もあるかと思います。
ただ、近年は「タグ」と言う名札がついていることがあるので
それが身分証明書のような役割を果たしているようです。

しかしながら、かつての採集物の水草にはそんなものが
ありません。
もちろん葉っぱの裏に名前が書いてあるわけでも
刻印があるわけでもありません。型番があったり
照らし合わせるカタログがあるわけでもありません。
JANコードも無ければ透かしもありません。
マイクロチップも電子タグも付いてません。
質屋に持って行っても見分けはつきません。
その区別のつかない同じ(似た)種類を割と大きく
異なる価格で販売しているのが水草です。

例えばエキノドルスのウルグアイエンシス。
ワイルド(の増殖株)とファーム物が区別がつくのかと
言われると、それぞれでタイプ違いがあるので
なかなか困難を極めます。と言いますかわかりません(笑)
主に黄緑のエキノドルスはワイルドで~産ですと
言われると「そうなんだ。」としか言いようがない。
ワイルドのウルグアイエンシスですが、
これだけで見ても区別はつきませんね。。。


















また、身近なところではギニア便のボルビティスも
普通はファーム物と区別がつかないでしょう。
まぁこれは価格に大きな差は無いような。。。(笑)

そうなると重要な点がいくつか出てきます。

・販売者がその水草の出自を把握しているのか
・初便(その便)を仕入れた履歴があるのか
・採集者と取引があるのか

と言うところがあるでしょうか。
それに加えて、

・似た種を混同しないように管理しているのか
・安易に出自不明の増殖株を入手していないか

と言う部分もそれなりに重要になってくるでしょう。
ただし、これらは資格や証明書があるわけではなく、
殆どが形として見ることが出来ないものばかりです。

これはすなわち「概念を信用で売っている」と言った
ところでしょうか。そして、その価値は、例えば
当店なら私を信用して頂いていると言う部分と
みなさんがそれはそう言うものだと言う事に
合意している事で成り立っています。

なんとも不思議なものですね。。。
ちゃんとやります(笑)