2015年10月22日木曜日

重箱の隅

インターネット上には本当にいろんなことが書かれています。
何時間でも見てられますね(笑)
そこそこ暇な店ですが、まぁそればかりもやってられません。

今回は名称と由来について。


「エキノドルス フムルス」
以前にも書いたことがあるのですが、この名前に
ついて掘り下げたのは私くらいしかいないはずです(笑)
こういう疑問を持つ人に、今のところ出会ってない。
ただ、どこかで本種についてのやりとりをネット上で見かけた
覚えがあるのですが、その中で何かしらの質問の
答えが、私の以前のブログ記事とそっくりだった記憶が
あるんですね。。。どこだっけ?

昔は「オリエンタルから入荷する小さなチェーン系の
エキノみたいな水草だけど、水上葉は丸葉で、あっという間に
枯れてくる。ボンボンみたいな花芽が付いている。」と言う
認識だったはず。
原産地はブラジルとなっているものの、性質が
エキノっぽくないので「エキノ?」と言った印象のある
草でした。
フムルス=humulusと書くのでヒュムルスと呼ばれることも
ありましたが、どこでそうなったのか、なぜかこれが
「ハムリック」と呼ばれるようになっていました。
どうしてもこの「ハムリック」が気持ち悪くて色々
調べるようになったのです(笑)
そうです、調べる動機が「ハムリック気持ち悪い」と
言うところなんですね(笑)

私が洋書を入手するようになってフムルスを調べると
Echinodorus humilis」と言う名で載っており、
Alisma humileからエキノドルスになったようでした。
シノニムはSagittalia humilisRanalisma humilisの2つが
ありました。そして産地がセネガルからスーダン、
ザイールから北ローデシアとあります。
(ドイツ語なのでちょっと微妙ですが)
※ザイール:現・コンゴ民主共和国
 北ローデシア:現・ザンビア共和国

別の書籍には、Ranalisma humilisで載っており、
シノニムにEchinodorus humilisとあり、やはり起源は
熱帯アフリカ、セネガルからナイルエリアとあります。
ただし、こちらの書籍には「ラナリスマ属には2種あり、
そのうち1種は南アジアで見つかったロストラータ種である。
こちらはヨーロッパには未入荷。2種目のフミリス種は
輸入されており、アクアリウムやテラリウムで育成される。」
とありました。

と言うわけで、どうやらアフリカ産のオモダカ科らしいと
のことで、「アフリカンチェーンソード」と呼ばれることも
あったと思います。


しかしながら今となっては「ラナリスマ ロストラータ」と言う
名で輸入され、産地はマレーシアになっています。
昔のマザーを無くしてアジアで採集し直したのか、
はたまた元々アフリカ起源の物ではなかったのか、
その点は不明のままですが、1点、貴重な情報として
フミリスの方がロストラータより小さいという記述があります。
確かに昔のフミリスは小さかったような記憶があり
近年のロストラータになってから見た時に
「ん?ちょっと大きくなった?」と言う印象がありました。
差としてはブロードリーフテネルスとサンフランシスコ
ブロードリーフテネルスくらい違うかな。そこまでではないか。。。
って、誰がわかるんでしょ??(笑)

まとめると私個人の見解としては、その昔ヨーロッパ(ファーム)から
東南アジアファームに渡り、生産されていたラナリスマがフミリスで、
それを東南アジアファームが何らかの理由でマレーシア産に
入れ替え生産している現行品がロストラータと言うのが、
落としどころではないかと考えています。

もちろん今となっては検証も出来ないし、サイズの記憶も
上書きされてしまったものかもしれないので定かでは
ありません。私の感覚の中ではある時期を境にモノが
入れ替わってる感じがしているのは事実ですが。。。

ただし、いずれにせよ「ハムリック」とは呼ばないのです(笑) 

重箱の隅

私もこの業界に身を置いてそこそこの時間が
流れました。
基本的には水草の人なので、水草にはこだわってきた
つもりです。そしてそこそこの年齢になっているので
凝り固まった考えになりつつあります。
もちろん色々なご意見はあると思いますが、それは
今回はちょっと横へ置いておきます。

私がお店を始めてほどなく、ご縁がありまして
無知な私がホームページを持つこととなりました。
当時は家から持ってきたWindows'95、回線は
ダイヤルアップ接続です。PCのハードディスクは
1.5Gほど、撮影するデジカメは25万画素。
そういう時代から時間があればネットを
見るようになりました。

それから15年ほど。その間ネット環境は大きく
様変わりし、説明の必要はないでしょうけど
今のこの状況です。
そして入荷する水草も増え、様々な不明種も
もたらされました。今は水草のみならず多くの
植物がやってきます。

ネットで容易にあちこち飛び回れるようになると
入ってくる情報量も増大します。入荷に伴い
水草の種類もどんどん増えます。情報収集は
不可欠となるので、ネットだけではなく、売れる
当てもない月刊誌を毎月購入しては水草関連だけは
目を通していました。
お店と言う立場を利用して水草関連の洋書も
買い漁りました(笑)

しかしながらネットや雑誌を見ていると、どうしても
気になって仕方がない、何かの拍子に思い出して
もやもやする、と言うことがいくつか見られるように
なりました。
そこで、これからシリーズでお伝えしていこうと
思います。

今回は主に水草の名称について。その辺は結構
こだわりがあるんです。
ただし、私個人の主観であることをお忘れなく。
もちろん、出来る限り事実に基づいての情報を
書くようにしています。


「オーストラリアンドワーフヒドロコティレ」
水草をある程度やってきた人ならば、この水草を
見た瞬間、

「あぁ、ノチドメね。」
「マリチマでしょ?」
「シブソルピオイデスかな?」

となるわけです。ここまでは至って普通。
これが出ないようだと水草好きではない(笑)
あの草姿でデンジソウとは思わないのですが
どういう訳かオーストラリアンクローバー、
略してオークロと呼ばれるようになっています。
これ、私はダメなんですよね。。。

反してパンタナールハイグロ ピンクや
パンタナールヘミグラフィスsp.ですが、この辺は
最初から属どころか科もわからず、便宜上付けた
名前であったり、商品名として付いたということ
ありきなので違和感はありません。


「エキノドルス sp. 'サターン'」
この「サターン」ですが、もちろん種小名ではなく
通称名(商品名・品種名とも言えるでしょうか)です。
で、もちろんこのサターンは「Saturn」で「土星」を
意味する言葉で、「Satan」=「悪魔」ではないのです。
これは名付けた本人の談ですので間違いありません。
しかし、いつまでたってもSatanとの表記に
出くわします。個人的にはここを間違えている時点で
エキノドルス好き??。。。と思うわけです。

ちなみに名付けた方のコメントで、「Saturn」には
別の意味もあるので興味のある方は調べてみて下さい、
と言っていました。
後にエキノドルス 'ケリュケイオン'と言うものが
出てくるので、「Saturn」が神話からの引用で、ローマ神話の
農耕神であるサートゥルヌスを意味していると想像できますね。
悪魔ではなく、むしろ神、的な(笑)
もしかしたらアニメや漫画、ゲームからの引用かも
しれないですが。。。(笑)


「ロタラ メキシカーナ」
入荷名はロタラ メキシカーナであって、
オリエンタルのカタログに「プレミアム レッド」とか
付いてないです。なので、後付けでこういうことを
すると、別物のように解釈できていますので、
やめた方が良い。
残念ながら育成難なのか立ち上げ難なのかで
流通は殆ど見られません。ただ育つところでは
育っていたようなので、そこまで育成難種では
ないように思うのですが。。。
確か入荷が水中葉で、着状態が良くなく
立ち上がらなかったものが多かったように
記憶していますが。。。
しかしファームはなぜ水上葉で生産しないのか
よくわからない。。。
細い葉と赤い色は人気が出ると思うのですが
なぜでしょうね。


「ゴイアス ドワーフロタラ」
そう呼び始めたのは志藤氏と私なので、当時その二人は
ゴイアス ドワーフロタラ 「レッド」とは呼んでなかったと
思います。少なくとも最初にリリースした私はそうは
呼んでません。
ブラジルはゴイアスから持ち帰られた小さな水上葉を
最初に水中葉に展開させた一人は私ですが、
第一印象は「ピンク」だったので、色を名前に入れるとしたら
ドワーフロタラ ゴイアスピンクになってたかも。
Newラージパール同様、這う性質に感動したものです。
もちろん、あのサイズ、色、形状にも。
ちなみに最初は1本3000円、3本7500円だったかな。
そのくらいの価値がある有茎草なんです。
まぁ新着南米有茎草の下限が3000円/1本と言った
ところだったので、そう考えると安い部類です。

最近見かけたのは新作?「ゴライアスドワーフロタラレッド」。
ドワーフって言ってるのにゴライアス。。。
小さいのか大きいのかどっちなんだ???(笑)
そもそも地名ですらなくなってるのですが。。。

続く。。。