2011年12月8日木曜日

レアな水草??

近年はレアな水草と言う文言を見かけることが多くなっております。
または「超レア」「激珍」などと表現されることがあります。
果たしてそれがどのように珍しいものなのか、まずは考える必要が
あります。

魚やエビなどは私の範疇外ですので、それらに対する尺度は
持ち合わせておりませんが、水草に関することでしたら、水草や
それに近い植物のみを扱っている専業の立場から申し上げることが
出来るかと思います。

ところで何を持ってレアと言うのか、その辺りから考えたいと思います。
南米辺りから種類のわからないエキノドルスが1株入荷したとします。
既存のどの種類にも当てはまらない草姿です。
この時点では、かなりレアだと言えるでしょう。

これを私が増殖させて5株になったとします。この時点ですでに
日本に5株存在していますが、私の手元にしかないので、それなりに
レアだと言っても間違いではないと思います。

これを4人のお客様に販売して、それぞれ5株にしたとします。
更に私の1株が5株に増えたとすると、25株になります。
そして2人のお客様が、行きつけのショップに4株持って行き
それぞれすべて売れたとします。

もうこなるとレアでも何でもありません。
元株の第一所有者と全くつながりのないところで販売されていれば
すでに「レア」でも「激珍」でもありません。
採集者から直で仕入れていないショップの店頭に並んだ
時点で、すでにレアでもなんでもないでしょう。

次にわかりやすい例えで、AZ便やTB便のブセで初めての
タイプが入荷して、日本上陸総数が50株とします。
私の中ではすでに「レア」ではありませんが、初めてのタイプ
と言うプレミアを乗せて、「ブセの中ではレア」と言うことにします。

採集元から4店舗に卸されたとして、すでに日本で4か所で
販売されているので、持ち込んだ瞬間は「ブセの中ではレア」
ですが、この時点でそこまでは言えなくなります。
それが全数ユーザーにわたって、全員が茎を3分割したと
します。2ヶ月後には何株でしょう?

「もうレアではありません。」

謳い文句は難しいところですし、草の価値を創造する側の
人間としては、大切にしていただける草であり続けるには
レアである方が良いのかもしれませんが、そう言うことだと
考えております。

2011年6月5日日曜日

組織培養される可能性の有無

水草市場にもごく稀にトレンドが発生することがあり、ある期間に
特定の属、またはある科のいくつかの属に人気が集中することがあります。

初めは極々一部のショップや業者がそれらの魅力や可能性を見出して
取り扱い始めます。そこでマニアの中でもその仲間に注目する、先見性の
ある人が少し現れます。
そうなると、次の入荷が待たれるところですが、プロ側は熱心なマニアの
要望に応えようとします。そして新たな種がもたらされます。
そのころには、限られた場所ではありますが、それらの名前や画像を
時折見かけるようになります。

そうなると、更に一部の人たちがその存在に着目してコレクションや育成を
楽しみ始めます。まだその頃は、特定のショップのみに最新種が入荷する
こととなり、増殖株などもごく少量しか出まわりませんが、目にする機会は
飛躍的に増えることとなります。

その後の展開はかつてのインターネットが無い時代や、ナローバンドの
時代では伝播する速度も緩やかだったのですが、現在の大容量の
インターネット接続の普及・コミュニケーションツールの発達等により
良くも悪くも超高速で広まるようにまりました。
そうなると存在自体は一般化に向けて動き出すのですが、入荷数・頻度の
上昇による価格の緩やかな下落と、水草の単価として許容できる範囲が
異なる層からの期待価格とのギャップが生じることとなります。

そこで持ち上がるのが

「ファームによる組織培養大量生産→価格下落」説

であります。

まず、この状態が発生する対象としては、有茎草はあり得ないと
言うことです。何故かと言いますと、有茎草の場合はそんなものを
期待するまでもなく個人レベルで短期間に大量に増殖させることが
可能であること、海外から日数をかけて輸送したものより、翌日に
クロネコヤマトで届いたものの方が状態が良いということ等が
あります。また、ファームで生産する場合費用が発生しますが、
個人育成の場合、「趣味ですので費用は0」です。それが猛烈な
勢いで伝播するわけですから、日本で人気があるからと言って、
風変わりな有茎草をコストをかけて、日本での人気が頂点付近の
期間に間に合うように出荷してくるのは、国内ショップですら
現状では困難を伴うのですから、ファームレベルでは事実上
不可能であります。

トニナやスターレンジが東南アジア、欧州から入荷しています(いました?)が
これらは日本でのブームが終焉を迎えるころにようやくある程度
コンスタントに入荷するようになりましたし、組織培養で単価が下がったと
言うものではありません。普通に栽培して、むしろいろんな面を考慮すると
割高に入荷しております。
また、ファームの定番種としての機能は明らかに年々低下してるのが
現状であります。

かつて、その説がごく一部でささやかれたのは透明深緑葉系エキノドルスで、
組織培養の株が安価で出回ると言う話も散見されましたが、水草の歴史を
振り返ると、それが不可能であることを推測するのは至極容易なことであります。
結果的にオパクスやイボレ等の丸葉系が組織培養で大量生産されることは
ありませんでしたし、私個人が収集している様々な情報を整理すると
今後も無いと思われます。

クリプトコリネに関しても、欧州の研究家・ハイアマチュア等が日本の
何倍もの歴史をバックに持ち、育成しているにもかかわらず、ファームから
入荷するのはスリランカ狭葉系、タイやインドの細葉系のみであることや、
こちらも私個人で収集した情報からも、今後も無いと思われますし
もしあるとしても、かなり先のこととなるでしょう。

そして現在はブセファランドラに注目が集まっているかと思われます。
こちらも歴史が示す通り、組織培養で大量に生産されることは
考えにくいと思われます。

まず第一に、「採ってきた方が早い」のです。
東南アジアファームから入荷する同じような草にピプトスパサ リドレィが
あります。しかし、これはとても組織培養されているとは思えません。
大量に採集したものをファームにてストック、それを販売していると
考えるのが妥当であります。
また、近年の入荷状況を見ても容易に理解できるかと思います。
そして、ファームが(大きな市場を考えた時であり、私はそうは思いませんが)
見た目の大して変わらない植物を何通りも区別してそれぞれ組織培養に
かけると言うことは合理的ではありません。他種と同様に、様々な面を
考慮して今後も無いと思われます。

ですが、私の想像を覆して大量生産がなされ、流通し始めた場合は
下記のようになると考えますので、一般化という面では成功と
なり得るかと思いますが、低価格での流通と言う面では、大きな
意味はないと思われます。

・1産地または1タイプのみの流通
・それも、産地は不明
・ポットに1~2株入り
・市場価格は700~1500円
・根茎は殆ど無いか極短い
・一定期間で流通は滞る
・日本がターゲットではない

余談ではありますが、ミクロソリウムでも人気種である「本ナロー」ですが
こちらも大量生産されて入荷するわけではありません。ミクロソリウムの中で
日本国内において最も人気のあると思われる本種が海外ファームでは生産
されません。
あまり大きくならず、使いやすいトロピカ社の「ミクロソリウム フィリピン」も
生産は終了しました。それが何を意味するのか、想像に難くありません。

先日入荷したトライデントはアクアフルールが入手して6年と言う年月を
経て、ようやくリリースされました。
これらは一度、元株が国内の趣味家に投入されれば、ファームからの
入荷を待つよりも、国内での栽培株の流通の方が早いのです。
トライデントがなぜ、フルールからの入荷を待たねばならなかったのか。
これは本種をレイアウトに使用しているメーカーがユーザーの要望に
前向きであればそうはならなかったのでしょう。

2011年2月28日月曜日

これから楽しんで頂きたい水草

近年、金融危機や原油高騰などの煽りからか、欧州のファームの
寂しいニュースが続いたように思われます。
しかしながら、採集者の方々や残った有力ファームからは
新たな水草が国内に導入されることも途絶えないというのは
喜ばしい限りです。

下記のような水草や熱帯植物は、様々な角度から育成・維持することに関して
検討されて良いかと思われます。新たな魅力を感じることができるかと
思います。


推奨水草:スリランカ便(名称はインボイスネーム)
アポノゲトン “コンパクタ”
アポノゲトン ナタンス “ラウンドリーフ”

推奨水草:トロピカ便
アポノゲトン クリスプス “レッド”
ハイグロフィラ ピンナティフィダ

推奨水草:神畑インド便
クリプトコリネ 全種
ラゲナンドラ 全種
インド固有種等

推奨植物:TB便
ブセファランドラ 全タイプ
アリダルム 各種
スコッタルム サリケエンセ
ツルアダン?Melawi
光るシダシリーズ
バードウィングファン
ホマロメナ 各種

推奨植物:AZ便
エキノドルス 全種
南米有茎草等 全種
スコッタリエラ?
バードウィングファン
アグラオネマ トリカラー Nias
ホマロメナ 各種

推奨水草:一般ルート
アポノゲトン 各種
アヌビアス 各種