2018年8月12日日曜日

不可逆的境界


ちょうど8年前にこんな記事を書きました。
水草と園芸に垣根はあるのか

私は水草の人でダッチアクアリウム好きなので、
この記事の内容にもある通り水草以外の水槽外で
育てる植物は装飾だったり気分転換だったり
と言うのが出発点です。

過程は端折りますが、その後は採集者が持ち帰る中身は
水草から陸上植物にシフトし、水草が売れなくなった
こともあり、水草が持ち帰られることは殆ど無くなりました。
もちろん、私自身アグラオネマ ピクタムをアクア業界に
持ち込んだ張本人でもあり、それらを「面白い!」と
思ったことは、現状を考えるとそれは間違いでは
なかったと言え、答え合わせてはさせて頂いております。

ただ、個人的には水草があるのが前提で、水草を
やりつつリ陸上植物を買ってケースを増やしたり、
陸上植物に興味のあった人が水草の存在を知るように
なったりと言った具合に双方向の流れを想定
「したかった」のですが、やはり水草水槽と言うのは
特殊過ぎると言うことがあるのでしょう、
当然のように陸上植物由来の方からの流入と言うのは
見込めませんでした。
こちらも答え合わせと言ったところでしょうか(笑)

しかしながら逆はかなりの速度で進行しました。
もちろん他の理由も色々あるのですが、入荷自体が
そういった陸上植物がメインとなったことや、
それに合わせて植物の即売イベントや外部からの
参入、更にはもっと大きな潮流などが影響を
及ぼしていると考えられます。

外部や大きな潮流とは、以前の記事にも書いた通り、
良くも悪くも世間を賑わしているこう言った状況を
指しています。
見えざる手
コマーシャリズム

そして結果的には予想通り水草とそれらの植物は
殆ど切り離された状況になっています。
→その手は「水草」を動かさない

もちろんそれが悪いこととは思っていません。
しかしそこには境界が存在していることを何年か
かけて確認することが出来、これもまた答え合わせが
完了した次第です。

そして、元々は熱帯魚の飼育と水草の育成を
趣味としていた人々は次々と上陸を果たしました。
その境界をすり抜けて行くと、その後ろには
戻ることも壊すことも困難な、通った時とは異なる
大きな境界が横たわっているのです。


2018年7月29日日曜日

重箱の隅

水草のファームと呼ばれるものが海外にはいくつも
あります。
それらを相対的に見た時に、それぞれ役割なり
立ち位置みたいなものがあって、例えば高品質で
最先端の水草を提供する、または比較的安価で
多くの種類を供給する、などでしょうか。

こちら側からすると、それぞれの立ち位置を
勝手に想像していて、出来ればそのように
行動して頂きたいのですが、なぜかは不明ですが
謎のこだわりみたいなものがあります。

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トロピカはレッドシャープリーフをランセアであろうから
南米産ではなくアジア産とか言ってますが、あの時期に
アラグアイア産の水草が多数入荷してましたし、あの中に
1種だけ日本産が入っているのも変な話です。
しかもトロピカはランセアっぽいと言うだけで
ランセアと断言して販売しているわけではない(販売名に
Hygrophila lanceaとは記載していない)のに
アジア産にしているのは不思議ですね。
すでに海外のインターネットでは殆どがシャープリーフを
Hygrophila lanceaとして紹介しています。
仮に、学術的にシャープリーフがランセアだったと
しても、新たな分布域が見つかった、ではなく
南米産は誤りだ、と言うのはどうなのでしょうか。

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古い話になりますが、ロタラ ナンセアンと言う
ロタラがありますが、当初トロピカはこれを
「マヤカ sp.」として販売していました。
少し水草をやった人間からするとマヤカと
ロタラは間違えることは無いと思うのですが、
生産しているにもかかわらずなぜかマヤカ扱い
だったんですね。
これは後に訂正しています。

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当店でも栽培していますが、デナリーの
エキノドルスに「エキノドルス sp. E136
と言うのがあります。
E136と言うのはデナリーの水草コードで
E=Echinodorusで、136が番号です。
クリプトならC~、アヌビアスならA~となります。

このE136は「sp.」となっているので、つまり
種小名がわからず、エキノドルスの1種で
ファームのコード番号である136と呼んでいる
と言う事です。
これは1990年のカタログから未だにsp.のままで
E136なんですね。
もう調べる気が無く、コードが商品名に
なってるパターンでしょうか。

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これは長らく言い続けていることですが、
アクアフルールのクリプトに「ブローサ」や
「モエルマニィ」、「ネビリィ」などがあります。
古くからのマニアなら、あぁ、あれね(笑)
なるのですが、そういう事情に詳しくない場合は
気付くことは無いと思います。

フルールのブローサはスリランカの狭葉系で
確かウェンティだったように思います。
モエルマニィもそんな感じだったような。。。
ネビリィは、まぁ昔からのことを考えると
仕方ないかな、と思うので除外しても良いかも
しれません。
結局それらは本物ではないと言う事です。
もう10数年そのままなので、訂正するとか
見直すとか言う発想自体が無く、こちらも
商品名として使用しているんだと思います(笑)
なので、フルールのブローサを育てても
あの激しくデコボコした厳つい葉にはなりません。

数年に一度、ブローサを買ったのですが、
ルーツさんのとちょっと違うんですよね、と
言われることがありますので、たまに
書いておいた方が良いかもしれないと(笑)



。。。と言った具合に、謎のこだわり?!が
色んなファームにあるのです(笑)
まぁなんとなくヨーロッパのファームには
その辺はある程度きちんとやって欲しいなぁ、と
思うのは私だけでしょうかね。

2018年7月19日木曜日

逆に長期維持/番外編 水槽から消えるクリプトコリネ

かつてはレイアウトの主役であったクリプトコリネの
存在が急速に薄れてきたように感じています。

現在は主に組織培養カップで販売されています。
もちろん、昔ながらのポットでも流通していますが、
かつてのようにあちこちのショップで多種のポットを
見ることは殆どありません。
更に昔は鉛巻やバラ株などがあり、店頭でも
バラ株を直植えにして1株単位で販売されていました。
特殊な種類ではなく、ウェンティやルーケンス、
バランサエと言った種類が、です。

問屋での在庫量・販売数量も近年は激減しており、
需要が無くなっていることがよくわかります。

ソイル系の底床が全盛となった昨今、先日の記事にも
書きましたが比較的短期間でのリセットが
当たり前となり、長期間向き合うことで魅力が
発見できるクリプトコリネには厳しい環境と
なっているように感じます。

短期間で結果を出すことが求められる場合は
イレギュラーが起こる蓋然性が高く、何かあった時の
修正に時間を要するクリプトコリネは使用されないことが
多いのではないかと想像します。

更には近年定番となったレイアウトのかたちである
前景や中央を化粧砂で埋め尽くすスタイルや
尋常じゃない量の石や木を利用して立体的に組み上げる
スタイルのためにそもそも水草を植える場所が無いので
クリプトコリネは選択肢に入らないと言う事が
考えられます。

例えば最も有名なレイアウトコンテストの
2017年の水槽を見てみましょう。
1~7位までは主な使用水草の記述があるので確認すると
1位にパルバ、2位にウェンティグリーンがあるだけです。
そして、いずれも主役や準主役ではありません。
もちろん、上位の方々クラスになると。種類や数量、
ボリュームなどは緻密な計算で決定していると
思いますが、やはり代替えが利きそうな使用法です。

優秀賞27位までは使用している水草が不明なので
写真から判断するしかありませんが、恐らくは
1~2作品程度ではないでしょうか。

かつては前・中・後茎すべてに用いることが出来る
優秀な水草であり、長期に渡って複数種が同一水槽内で
見事に繁茂していることが水草水槽管理能力の高さの
象徴であったクリプトコリネが殆ど使用されなく
なったことは、レイアウト水槽が基本的に
短期思考になっていることの証左であると
考えることが出来ます。

更には大磯等と違い、ソイル系の底床は基本的に
使い捨てなので、短期でリセットすることにより
消耗品的な扱いとなります。
乱暴に言えば、例えばエアリフト式投げ込みフィルターや
外掛けタイプのフィルターの交換濾材と同等の扱いと
なるわけです。
つまり、その部分は短期間で交換してもらうことが
大切なのです。

ちなみに、クリプトコリネはミスト式と言う手法には
全く不向きなため、そのような下準備を行う
レイアウト水槽には用いることはできません。
(もちろん追加することは可能ですが)

これらのように、双方向での短期思考化の中では
残念ながらクリプトコリネが主役にはなることは
無さそうです。