2018年7月19日木曜日

逆に長期維持/番外編 水槽から消えるクリプトコリネ

かつてはレイアウトの主役であったクリプトコリネの
存在が急速に薄れてきたように感じています。

現在は主に組織培養カップで販売されています。
もちろん、昔ながらのポットでも流通していますが、
かつてのようにあちこちのショップで多種のポットを
見ることは殆どありません。
更に昔は鉛巻やバラ株などがあり、店頭でも
バラ株を直植えにして1株単位で販売されていました。
特殊な種類ではなく、ウェンティやルーケンス、
バランサエと言った種類が、です。

問屋での在庫量・販売数量も近年は激減しており、
需要が無くなっていることがよくわかります。

ソイル系の底床が全盛となった昨今、先日の記事にも
書きましたが比較的短期間でのリセットが
当たり前となり、長期間向き合うことで魅力が
発見できるクリプトコリネには厳しい環境と
なっているように感じます。

短期間で結果を出すことが求められる場合は
イレギュラーが起こる蓋然性が高く、何かあった時の
修正に時間を要するクリプトコリネは使用されないことが
多いのではないかと想像します。

更には近年定番となったレイアウトのかたちである
前景や中央を化粧砂で埋め尽くすスタイルや
尋常じゃない量の石や木を利用して立体的に組み上げる
スタイルのためにそもそも水草を植える場所が無いので
クリプトコリネは選択肢に入らないと言う事が
考えられます。

例えば最も有名なレイアウトコンテストの
2017年の水槽を見てみましょう。
1~7位までは主な使用水草の記述があるので確認すると
1位にパルバ、2位にウェンティグリーンがあるだけです。
そして、いずれも主役や準主役ではありません。
もちろん、上位の方々クラスになると。種類や数量、
ボリュームなどは緻密な計算で決定していると
思いますが、やはり代替えが利きそうな使用法です。

優秀賞27位までは使用している水草が不明なので
写真から判断するしかありませんが、恐らくは
1~2作品程度ではないでしょうか。

かつては前・中・後茎すべてに用いることが出来る
優秀な水草であり、長期に渡って複数種が同一水槽内で
見事に繁茂していることが水草水槽管理能力の高さの
象徴であったクリプトコリネが殆ど使用されなく
なったことは、レイアウト水槽が基本的に
短期思考になっていることの証左であると
考えることが出来ます。

更には大磯等と違い、ソイル系の底床は基本的に
使い捨てなので、短期でリセットすることにより
消耗品的な扱いとなります。
乱暴に言えば、例えばエアリフト式投げ込みフィルターや
外掛けタイプのフィルターの交換濾材と同等の扱いと
なるわけです。
つまり、その部分は短期間で交換してもらうことが
大切なのです。

ちなみに、クリプトコリネはミスト式と言う手法には
全く不向きなため、そのような下準備を行う
レイアウト水槽には用いることはできません。
(もちろん追加することは可能ですが)

これらのように、双方向での短期思考化の中では
残念ながらクリプトコリネが主役にはなることは
無さそうです。

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