かつてはレイアウトの主役であったクリプトコリネの
存在が急速に薄れてきたように感じています。
現在は主に組織培養カップで販売されています。
もちろん、昔ながらのポットでも流通していますが、
かつてのようにあちこちのショップで多種のポットを
見ることは殆どありません。
更に昔は鉛巻やバラ株などがあり、店頭でも
バラ株を直植えにして1株単位で販売されていました。
特殊な種類ではなく、ウェンティやルーケンス、
バランサエと言った種類が、です。
問屋での在庫量・販売数量も近年は激減しており、
需要が無くなっていることがよくわかります。
ソイル系の底床が全盛となった昨今、先日の記事にも
書きましたが比較的短期間でのリセットが
当たり前となり、長期間向き合うことで魅力が
発見できるクリプトコリネには厳しい環境と
なっているように感じます。
短期間で結果を出すことが求められる場合は
イレギュラーが起こる蓋然性が高く、何かあった時の
修正に時間を要するクリプトコリネは使用されないことが
多いのではないかと想像します。
更には近年定番となったレイアウトのかたちである
前景や中央を化粧砂で埋め尽くすスタイルや
尋常じゃない量の石や木を利用して立体的に組み上げる
スタイルのためにそもそも水草を植える場所が無いので
クリプトコリネは選択肢に入らないと言う事が
考えられます。
例えば最も有名なレイアウトコンテストの
2017年の水槽を見てみましょう。
1~7位までは主な使用水草の記述があるので確認すると
1位にパルバ、2位にウェンティグリーンがあるだけです。
そして、いずれも主役や準主役ではありません。
もちろん、上位の方々クラスになると。種類や数量、
ボリュームなどは緻密な計算で決定していると
思いますが、やはり代替えが利きそうな使用法です。
優秀賞27位までは使用している水草が不明なので
写真から判断するしかありませんが、恐らくは
1~2作品程度ではないでしょうか。
かつては前・中・後茎すべてに用いることが出来る
優秀な水草であり、長期に渡って複数種が同一水槽内で
見事に繁茂していることが水草水槽管理能力の高さの
象徴であったクリプトコリネが殆ど使用されなく
なったことは、レイアウト水槽が基本的に
短期思考になっていることの証左であると
考えることが出来ます。
更には大磯等と違い、ソイル系の底床は基本的に
使い捨てなので、短期でリセットすることにより
消耗品的な扱いとなります。
乱暴に言えば、例えばエアリフト式投げ込みフィルターや
外掛けタイプのフィルターの交換濾材と同等の扱いと
なるわけです。
つまり、その部分は短期間で交換してもらうことが
大切なのです。
ちなみに、クリプトコリネはミスト式と言う手法には
全く不向きなため、そのような下準備を行う
レイアウト水槽には用いることはできません。
(もちろん追加することは可能ですが)
これらのように、双方向での短期思考化の中では
残念ながらクリプトコリネが主役にはなることは
無さそうです。
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