2016年2月7日日曜日

「現代」水草レイアウトの限界

私が身を置く水草の世界と対極にあるのがレイアウトの
世界ですが、一時はレイアウトもやらねば。。。と思った
瞬間もあった(思っただけ笑)水草好きの人間が、ある程度
知識のある第三者的視点で今のレイアウトについて
感じるところを挙げてみようかと思います。

私が水草を見るようになった時、山田氏の「アクアート」が
お手本で、水草の配置やレイアウトの考え方を真似たものです。
端折りますが、そうこうしているとFM誌に筒井氏の
オランダレポートが掲載され、あちらのレベルの高さが
紹介されました。そしてニューウェンホイゼン氏の
「Das Wunder im Wohnzimmer」(リビングルームの不思議な世界)の
写真が掲載され、衝撃を受けたものです。
※この邦題は筒井氏がつけたもので、実に良いと思います。

その後、吉野氏の「水草の楽しみ方」に繋がり、
アクアエントゥで、自分の中ではダッチ全盛で、「アクアート」に
魅かれた自分としては「ダッチ」に興味を持つのはごく自然な
流れでした。

そのころからADAの広告も目に付くようになっていましたが
今も変わりませんが、私は水草ぎゅうぎゅうが好きなので、
レイアウト的には興味を引くものではありませんでした。
なので、個人的にネイチャーアクアリウムに目が行ったのは
かなり後でした。

と、まぁこんな流れで醸成されたレイアウトの価値観な上に
途中からはレイアウトは二の次、石や木は水草を植えるのに
邪魔でしかなくなった私が思うところですので、レイアウターの
方は気にしないでください(笑)
言い訳終わり。さて、本題。

結論から行きましょう。「現代」水草レイアウト水槽はもうすでに

         「フル ポテンシャル」

だと感じるんですね。つまり伸びしろが無い。

なぜかと言うと、基本的に主役が素材であって水草では
なくなっている部分があります。
もちろん、素材を使ったレイアウトの場合、その配置が
骨格になることはわかります。なので非常に重要な部分で
あり、レイアウトの良し悪しがそこで90%以上決まって
しまうであろうことは理解しているのですが、結果的に
水草の分量があるかないかわからない程度しかない
ことが多いように思います。

例えばヘアーグラス単色の石組だと、水槽の容積に対して
水草の分量が少なくても当たり前です。そうではなく、
もう圧倒的な存在感の素材群に、オマケ程度の水草。
もちろん、そのわずかな水草が在るか無いかによって
全体の印象が大きく左右されることも緻密に計算してあると
いうのも、そこに一塊のウィローモスを置くことによって
レイアウトの出来が雲泥の差になることがあることも
よくよく理解してます。
最終形をイメージして、それに合った素材を集めて
造作することは並大抵の労力ではないというのも
わかります。イメージを脳内で画像にすることと、更に
それを形にすることの難しさも、デザインのプロたちが
安易な方向へ走ってしまうことからも想像を絶する苦悩だと
思います。

ただ、そこはそこなんですね。
水草好きからすると素材の造作は凄いんだけど、肝心の
水草は成長の読めるもの、育成が容易なもの、いつでも
入手できるもの、すなわち既存の種類を既存の用法で
使っていることが殆どなんです。要するに、その場所には
その色・その形の水草があれば、種類は何でも構わないんですね。
なので、石や木の使い方や、それを形にする根気と技術は凄いと
思うですが、「水草に驚くことが皆無」なんです。
やってるはずのものは「水草」レイアウトなんです。
私が想像する水草レイアウトと言うのは水草が主役なんです。
今は水草が素材の極一部で、石や木がメインになっていて
立場が完全に逆転しているように感じます。
今のレイアウターの方々はどちらに力を入れているのでしょう??

そして、近年よく使われる手法?が決定打になりました。
何かと言うと、水草を植えて根付くまでなのか、茂るまでなのか
わかりませんが、

「水を張らずに蓋をして水上葉で育てる」

と言う方法です。
これが普通に行われるようになったと分かった時点で、
水草レイアウトの限界を見たような気になりました。
なぜかと言うと、1つはこちら側の水草界では、水上育成は
「逃げ道」であり「保険」なんです。水中での維持・育成が
手ごわい種類において、水上葉でキープすることが、
とりあえずのロスト回避の手段であり、水質や肥料、苔などの
諸問題から逃げる、いわば「水中育成からの敗走」なんです。

恐らくいろんな意味で効率が良いのだと思います。
しかし水草しかやらない人たちは、今のこちらの世界を
「あんなもん、水草じゃなく観葉(園芸)じゃん。」と言うでしょう。
そういう声もクリプトコリネの水上育成の時代から実際に
聞いてきました。
しかし、水草を水の中で育てずに、初期の大変な期間に
水上育成を行っているということは、知らず知らずのうちに
こちらの世界に一歩近づいているのです。

そうしないと成立しないということは、そこが
「現代」水草レイアウトの限界
と言うことになるのではないかと私は感じてしまうわけなんです。

決して批判しているわけではなく、コンテストと言う限られた
時間の中でミスが許されない状況ではノーミス・ノンストップで
完成させないといけないのは理解しています。そしてそこへの
効率的・合理的な手法として高湿度育成の導入がなされたで
あろうことも想像できます。もちろん「お前が言うな!」と言うのは
承知しております(笑)なので、その辺はどうか寛容に。。。
外野から見て、こういう風に感じるのも、また1つの
側面だと言うことなんです。
「水草」レイアウト水槽において「水草」の存在が素材を生かす
ものでは本末転倒ではないかと思うんですね。それは
「水草」レイアウト水槽ではなく、単なるレイアウト水槽なんです。
水草を引き立たせるために石や木があるべきだと思うのは
今はもう少数派なのかもしれませんね。

2 件のコメント:

  1. 大阪在住のYOSSYという者です。
    初めてコメントさせていただきます。

    まさに僕があのコンテストに対して思っていたことと同じなので嬉しいです。
    「水草レイアウトコンテスト」とわざわざ「水草」ってタイトルしているのに、どうみてもじっくり育てた美しい水草本来の姿が見られない作品が多くて。。。

    毎年僕はなんか新しい水草の可能性があるような作品を応募することを目的に出品しています。
    当然順位は度外視していますが。。。

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    1. >YOSSYさん
      ブログ移行後初コメントありがとうございます。

      レイアウトとして考えると、どのような形であれ水槽内で
      完結していれば良いのだと思いますが、水草レイアウトとした場合、
      もちろん水草レイアウトに対する価値観もそれぞれではありますが、
      それでもやはり現状は追及している方向が当初とは異なっているように
      感じます。
      どちらが良い悪いではないので難しい問題ではありますね。

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