以前、このような記事や、別にこのような記事をこのブログに書きました。
ちょうどあれから約1年過ぎようとしていますが、
状況はどのように変化したでしょうか。
自身の店に引きこもっている私ですが、なんとか
外の情報は収集しています。
そこから判断できるのは、やはり業界自体が矮小化しているに
他ならないと言うことです。
相変わらず業界では明るい話は聞こえてきません。
有名大型店の閉店も続いています。そして中・大型店や
チェーン店と言えど、苦戦しているように見受けられます。
もちろん小売店のみならず、その上の段階でも苦戦が
続いています。
一見、好調なように見えても、それはユーザー目線から見た
限られた一側面でしかありません。
取り巻く環境は厳しく、皆さんが驚くようなことがあっても
不思議ではないのです。
また、全国的に見て勢いがありそうなところは小売以外の
後ろ盾がある事が多く、それは一般ユーザーからは
見えないものです。
そうなると以前の記事にも書いた通り、数字が出せる
安易な方向へ傾かざるを得ない、と言うことになります。
以前の記事では、容易に手を出しやすい小型水槽と言うものへ
業界全体が一斉に動いたことを指摘しました。
その動き自体は主にメーカーの影響が大きくみられた
ように思います。
さて、今回は草を中心に小売店を見てみたいと思います。
一般的には以前の記事内にも書きましたが、小型水槽ブームの
最大の弊害として、没個性があります。
内容が重複しますが、小型水槽は当然ながら小さな魚を
少数しか飼育することが出来ません。
また、ビギナー向けであることが多い小型水槽で飼育できる
丈夫な(これも可哀想な表現ですね。良くない環境でも
頑張って生き残ることが出来る、と言った方が良いかもしれません)
小型魚と言うのは種類が限られてきます。
と言うことは小型水槽が幅を利かせているこの状況下で
限られた販売スペースに入れる魚種の優先順位は自ずと
決められてしまいます。
そうです、どこに行ってもいる魚が同じになってしまうのです。
この趣味の楽しみであるショップ巡り(もはや死語に近い?)を
したとしても、見る景色に違いが無くなるのです。
そうなるとユーザーの楽しみがまた一つ削がれてしまい、
ショップの矮小化が進むとともに、それが問屋にも波及
してしまいます、それがまたショップの選択肢を狭め、その結果
ますますショップの個性が薄れ、結局ユーザーがショップから、
この趣味から離れて行ってしまうのです。
個性の出し方はそれぞれで良いと思いますし、それは
今日始めて明日明後日に認知され歓迎されるものでは
ありません。そういうお店こそユーザーにその真贋を
じっくりと見極めらるべきものであるでしょうから。
残念ながら個性を認められるには不遇の時期が長いと
思いますし、またその時期を耐えられるだけの様々な力が
なくてはなりません。
一般的には年々個性を持って出来るショップが減少しているのは
明らかですが、そこで草業界を見てみましょう。
この狭い草業界にも稀にブームのようなものが起きます。
古くはダッチアクアリウム、そしてヨーロッパファームの
改良エキノ。南米便全盛時のトニナ・有茎草、そこから
派生したホシクサブーム。同時にやってきた深緑エキノや
採集ものが増え始めたクリプトコリネ。
このあたりはかなり大きな動きでした。
今思えばこの時に下地が出来上がりつつあったのかもしれません。
そして更に(狭い)世間を大きく動かしたのが、何と言っても
「ブセファランドラ」の存在です。
世の中の景気後退と共にその存在感を増していったこの
ブセファランドラは、今までそう言った類の草を
扱ってこなかったショップをも動かします。
こちらとしてはクリプトコリネがメインの時代に
その性質から気の休まらない日々が続くので、その
気分転換にと、私が始めた周辺のサトイモ科の模索の中、
良いタイミングで登場してくれた草と言った感じでした。
そこに可能性を見た私はTBさんに無理を言って色々
お願いしました。そうしているうちにブセファランドラの
認知度も徐々に向上してきました。
ただ、私がお付き合いさせて頂いている採集者の方々は
卸先を限りなく絞り込んでいます。
狭い世界での情報発信と入荷です。需給自体はその
限られた範囲内でバランスは取れていましたが、
ブセのポテンシャルの高さから思わぬ人気となりました。
少しだけでも水草を知っているショップからすると
この業界低迷の物が売れないご時世、日々努力して
販売している1束250円の水草よりこの3000円もする
アヌビアス ナナの出来損ないみたいなのが飛ぶように
売れているのは異様な光景です。日に日に存在感を
増すこの草を売らない手は無い。
もちろんその流れはユーザーにも波及していて、
ヤフオクでは日に日にブセの出品が増え、価格も
高騰したようです。
長くなってきたので端折りますが、概ねこう言った流れを
経て、あちこちでブセファランドラを見るようになりました。
別にそれが悪いと言っているわけではありません。
ブセファランドラが1ジャンルとしてある程度の地位を
築けたのは一般化と言う方向性があったからです。
そしてブセファランドラを通じてこういう世界があることを
垣間見た人たちの中から、ほんの一握りのマニアが
生まれることを私は待っていますので。
また、そういう流れを経て水草の楽しみを発見できる
ショップが全国に少しだけ出来れば良いとも思ってます。
ブセの「ブーム」は去りましたが、1ジャンルとして残り、
価格面では私の想像通りで、世間で言われていた
価格破壊と程遠い物であるにせよ、海外ファームでの
組織培養なりの生産まで行われるようになったのです。
さて、翻って現在。
主役は引き続きサトイモ科。私個人は出来るだけ
多岐に渡るよう努力はしてますが、メインはどうしても
アグラオネマ ピクタムになっています。
ブセファランドラの価格帯で映画マルコムXの
1シーンにあったマルコムが手を翳したように
なるのですから、同じ現象が1つ上の世界で起こると。。。
そうです、結果としてブセに変わって売れるもの、しかも
世界が違う。当然起こるべくして起こりました。
引き続き業界で売れるものは無い、景気も良くならない、
業界は冷え込む一方。
そこにスターが現れると野中の一本杉が如く、注目が集まり、
誰もがそこにすがろうとするのです。もちろんそうなるのは
わからなくはないですし、発信源であるこちら側の多くが
そうなってしまいがちなのですから一定の理解はしています。
ただ、こだわりも何もなく、人気商材の1つとして
そのようなものに興味も思い入れもなく、どこかと
戦うかのようにかき集め騒ぎ立てる姿には、個性など感じず、
そこから感じ取れるものは、本来あるべきものとは
全く異質の熱量でしかないのです。
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